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建築物の外観と費用対効果 [時事ネタ]

 例えば「大阪マルビル」という建物がある。これは円柱形の建物で丸いから「マルビル」です。わかりやすく覚えやすく梅田では目印みたいなものになっている。  例えば「HEP FIVE」というショッピング・モールの屋上には観覧車がある。観覧車自体の収益はどれだけのものがあるんか知らんけれど、すくなくとも「HEP FIVE」という建物が今や大阪梅田の名物になっていることだけは間違いないやろう。  形が目立つということは、良くも悪くもなにかネタになるということで、悪いことやないと思う。  なんでこんなことを長々と書いたかというと、橋下大阪府知事が府立大型児童館ビッグバンの視察でなにやらけったいなことを言うているのが気にかかったからですね。以下、新聞記事を引用する。 “大阪府立施設の必要性の見直し作業を進めている橋下徹知事は23日、府立大型児童館ビッグバン(堺市南区)を視察に訪れ、館長で漫画家の松本零士さん(70)と意見交換した。宇宙船をイメージした外観は松本館長のデザインだが、「この形にこだわる必要はなかったのでは」と疑問を投げかける一幕もあった。  ビッグバンは171億円かけて建設され、99年6月に開館した。橋下知事が疑問を呈したのは奇抜な建物の外観。「設計はどなたが」と尋ねると、松本館長が「デザインは私です」。橋下知事が「この形でなくても子どもは遊べる。費用対効果の検討は」と畳みかけると、担当職員が「費用の比較はしてないと思う」と弱り切った表情で答えた。  この日、三つの施設を視察した橋下知事は記者団に「松本さんの責任とはいえない」とかばいながらも、他の府立施設も含めた感想として、「府民の税金を使うのに金の使い方がでたらめ。めまいがする。破産者の典型例ですよ、こんなの」と強い口調で話した。  一方、松本館長は「見ていただいただけでもうれしい。ご判断は知事にお任せするしかない」と語った”  さてその橋下知事がめまいを起こしたという外観はというと、こんなのです。

 この建物のデザインについては、私はたいして面白いとも思わんけれど、ただ、費用をかけずにモダン建築ののぺっとしたビルにしてたらどうか。少なくとも子どもが「なんかありそうなところ」というような期待はせえへんと思う。とりあえず目立ってるやんか。それが大事。
 建築デザインの費用対効果なんて、長期的なスパンで見んとわからんでしょう。というよりも、外観そのものの費用対効果なんてどうやって算出するの。「通天閣の外観の費用対効果」「太陽の塔の外観の費用対効果」なんてものを算出できますか。一見むだに見えるかも知れんけれど、金で換算できるものやないということですわ。  外観を問題にするんやなく、この府立大型児童館ビックバンが大阪の子どものためにどのように役に立っているか、これがあることによって「子どもが笑う大阪」になっているかどうか、橋下知事が検証すべきはそこやないかと思う。  その結果子どもにとって何の役にもたってへんということになったら、費用対効果に見合う高額な利用料を設定するもよし、民間に売却するもよし。  大阪府の赤字の元凶みたいに文化施設を扱い、それを「費用対効果」という即物的な物差しでしか計られへん。ほなら赤字解消はせんでええんか、という人もいると思うけれども、ただ自分の価値観にはないから切り捨てるという、そんな気まぐれなことで抜本的な解決ができるのかという疑問が残るのですね。「めまいがする」のは私のほうですわ、とおるちゃん。

 昨日も書きましたが、ブログリニューアルの関係で、メンテナンス期間中の日記はhtmlスタイルの「ぼやき日記」で公開します。2月25日(月) 15:00 ~2月27日(水) 23:50までは公式サイトトップページ(http://www014.upp.so-net.ne.jp/t-kita/index.html)から日記をお読みください。


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コメント 10

垂直応力

ゼネコンの積算をやったことのある人間から言わせてもらえば、建設費に影響するのはデザインよりも材料なんですけど、その辺は分かってないみたいですね。なにやら館長をいじめるための発言みたいに聞こえます。
by 垂直応力 (2008-02-25 00:41) 

雫石鉄也

 このままでは大阪府は文化の荒野になりますね。
 他府県のことながら、心配します。
by 雫石鉄也 (2008-02-25 04:32) 

小林泰三

テレビで見ましたが、デザイン云々はコストのことではなく、「汎用性が乏しいので売却しにくい」と言ってました。
by 小林泰三 (2008-02-27 23:33) 

t-kita

「費用対効果」って、コストのことのように聞こえるんですけれどねえ。知事は売却できるかどうかを視察しに行っているということですか。まず「民間への売却」ありきなんですね。うーむ。
by t-kita (2008-02-28 00:30) 

小林泰三

夕張市の「石炭村」や「めろん城」を連想したのではないでしょうか? 活用すれば、金には変えられない価値を生み出したはずですが、現実的には財政を破綻させ、市民を苦境に陥れてしまいましたから。
府民や職員もどんどんアイデアを出していかなくてはならない時期になったということでしょうか?
by 小林泰三 (2008-02-28 22:15) 

t-kita

結局は「ビッグバン」をなんのためにつくり、どう活用しているか。そこにつきると思います。
赤字を承知で維持すべきものなのか、テーマパーク的な遊び場にしてしまうのか。それによって知事の方針も決まってくるように感じます。
by t-kita (2008-02-29 23:55) 

azuma

文化施設には無駄が付きもので、造るのであればこれは避け難いところがあります。結局府民の総意としてその無駄を受け入れる余裕があるかどうかでしょうね。とにもかくにも造った施設をつぶすわけにはいかないので、ここは前向きに考えて、いかに府民に愛される施設に育てていくかに注力することだと思います。まあ大阪府の場合、極端に問題ありの施設はないのではないでしょうか。無駄なのはそこに巣食う1000万からの年収の職員なんですよね。民間なら300万の仕事内容なのに困ったものです。知事がハコモノ視察のなかで、職員の引揚げを即断した施設もあったようで、愛される施設になるには、まずはこういう改革からです。
by azuma (2008-03-16 23:15) 

t-kita

前に書いたのと繰り返しになりますが、やはりどれだけ府民のためになっているか、その内容で規模の縮小の仕方などが決まるのだろうと思います。その基準をどうひいていくかなど、なかなか簡単にはいかないだろうなという気がします。
by t-kita (2008-03-16 23:50) 

azuma

知事によってハコモノ勤務職員の無駄な給与はかなり圧縮されそうで、せめてその分を立派なハードに見合ったソフト面の充実に当てるなどすれば、魅力ある施設に育つ可能性は充分あるのですが。文化施設は絶対にソフトが命であり、これまでが余りにも内向きの運営だったわけですから。

現時点でどれだけ府民に役立っているかという視点を一歩進めて、知事には自身の力を信じてハコモノ再生に挑戦してほしいと思いますね。殺すより生かすほうが、知事の株も一段と上がるのではと思いますし。
by azuma (2008-03-18 23:07) 

t-kita

私もそう思います。すでにハード面ではできあがっているのですから、まさに「子どもが笑う」というマニュフェストに沿ったものとして何度も利用したいと思える魅力ある施設にしてくれれば、と願っています。
by t-kita (2008-03-18 23:30) 

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