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広川太一郎の死 [追悼]

 大相撲小言場所「平成二十年春場所展望~大関陣よ奮起せよ~」を新規更新しました。

 声優の広川太一郎さんの訃報に接する。死因はがん。享年68。
 洋画、特に「MASH」やとか「モンティ・パイソン」みたいなブラックな笑いを軽薄にアドリブをまじえて演じさせたら、この人の右に出る声優さんはいてなかったと、これはもう誰に反論されようと断言したいね。
 ナレーションでもシリアスなものはもちろん、軽妙なナレーション(「なーんてなことを言ってみたりしてみたり」てな具合)での軽やかさが忘れられん。思えば「広川節」の名調子を聞きながら育ったんよ、私らの世代は。新聞の記事ではまるで「宇宙戦艦ヤマト」の古代守が代表作みたいに書かれたりなんかしたりしているけどよ。広川太一郎でアニメの声というたら「ムーミン」のスノークだってばさってばさ。あ、宮崎駿版「名探偵ホームズ(テレビ版)」のホームズもすっとぼけてていかったんでないかい。
 アニメでは最後のレギュラーは「MEZZO」という深夜アニメやったと記憶している(ゲストでは特撮やけど「ゲキレンジャー」に悪役の声で出演をしているのが遺作らしい)。さすがに滑舌が悪く全盛期を知る者には寂しい限りやったけれど、黒川という軽薄でも実は凄腕というキャラクターを存在感たっぷりに演じていたなあ。そうか、あれ以来、声を聞かんなあと思うていたら、闘病中やったんやね。
 もし「モンティ・パイソン」の吹き替えが広川さんや青野武さんたちやなかったら、あんなに日本の視聴者が楽しめるものになってなかったんと違うかな。今は洋画の吹き替えの声優さんは本来の俳優さんと声質が似ていて演技も指定どおりにやらんとあかんという状況らしいけど、広川さんたちの時代は吹き替えの脚本や演出や声優が横のものを縦にして違和感のないように、そして視聴者が楽しめるものにするという工夫を丹念にしていた時代やったのです。そして、それを基礎知識のように吸収して育ったのが私たちの世代なのです。
 それがどんなに貴重なものやったか。この年になってわかるのです。
 謹んで哀悼の意を表します。ありがとうございました。

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もっちゃん

 先月「空飛ぶモンティ・パイソン “日本語吹替復活” - DVD-BOX」が発売され、見たいなぁと思っていたところ。
 私の印象に残っているのは、ミュージカル映画「チキ・チキ・バン・バン」のお父さん役の吹替です。貧乏でも明るい、ちょっとおかしな発明家のお父さん、歌って踊って大活躍するのですが、このテレビでの吹替版を見て、この作品が大好きになった私は、ロンドンで舞台版も見てきました。
 今発売されているDVDの吹替はささきいさおさんで、広川さんとはイメージが全く違う…。私の好みとしては、広川さんで見たから、こんなに好きになったんやと思っています。
 随分前に広川さん版が放送された時に、ビデオに録画したはずですが、見当たらない。探し出して見なければ。
by もっちゃん (2008-03-09 10:01) 

t-kita

吹き替えはほんまに大事ですね。
「刑事コロンボ」のピーター・フォークの役を、現在のように原音に近い声質の人という人選をしていたら、また違った印象を与えていたでしょう。
そういう意味では「広川版・チキチキバンバン」で出会えたの幸せなことやったんやないかと思います。
佐々木功の起用はおそらく歌える声優という観点からやないかと思います。それはそれで間違いではないのですけれど、かなり印象が変わりますからね。
by t-kita (2008-03-09 23:45) 

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