海老澤泰久の死 [追悼]
作家、海老澤泰久さんの訃報に接する。享年59。死因は十二指腸癌。
「本の雑誌」の書評やったかで「監督」を読んだ。あれは大学に行っていたころやったと思う。たまげた。広岡達朗という実在の人物をモデルにし、実名で主人公にした。それ以外の登場人物はすべてフィクションなのに。それほど広岡監督には思い入れがあったんやろう。逆に監督としての長嶋茂雄さんに対する評価は厳しかった。「勝つ」ということにおいて、プロのなすべきことは何かをつきつめ、プロとして生きることの喜びを生き生きと表現していた。最初は広岡に反発していた選手たちが「勝つ」ということの喜びを知るに従い心酔していくあたりの描写のみごとなこと。
その後、「スーパースター」などの短編集やプロ野球に関する時評集など、野球についての文章には常に注目し続けていた。かつてのジャイアンツファンが長嶋監督就任後、自分が好きやった「ジャイアンツ的」な野球を追い求めて野球界に対して納得のいく苦言を呈している。それらの文章は、元プロ野球選手の「解説」などよりよほど説得力があり、野球に対する愛情を感じさせた(元プロ野球選手でそう思わせるのは豊田泰光さんと江夏豊さん、落合博満さんの評論くらいか)。
数年前に読んだ「青い空」は、差別ということに対して徹底的に取り組んだ力作で、この方面での新境地を開拓したからには、さらに面白いものを読ませてもらえると楽しみにしていたんやけれど。早すぎるよ。
私たちはもう当分海老澤さんのような野球時評の書き手を得ることはないやろう。それだけに、早すぎる訃報は辛い。
謹んで哀悼の意を表します。
8/16(日)は「たちよみの会」の例会です。多数のご参加お待ちしています。
「本の雑誌」の書評やったかで「監督」を読んだ。あれは大学に行っていたころやったと思う。たまげた。広岡達朗という実在の人物をモデルにし、実名で主人公にした。それ以外の登場人物はすべてフィクションなのに。それほど広岡監督には思い入れがあったんやろう。逆に監督としての長嶋茂雄さんに対する評価は厳しかった。「勝つ」ということにおいて、プロのなすべきことは何かをつきつめ、プロとして生きることの喜びを生き生きと表現していた。最初は広岡に反発していた選手たちが「勝つ」ということの喜びを知るに従い心酔していくあたりの描写のみごとなこと。
その後、「スーパースター」などの短編集やプロ野球に関する時評集など、野球についての文章には常に注目し続けていた。かつてのジャイアンツファンが長嶋監督就任後、自分が好きやった「ジャイアンツ的」な野球を追い求めて野球界に対して納得のいく苦言を呈している。それらの文章は、元プロ野球選手の「解説」などよりよほど説得力があり、野球に対する愛情を感じさせた(元プロ野球選手でそう思わせるのは豊田泰光さんと江夏豊さん、落合博満さんの評論くらいか)。
数年前に読んだ「青い空」は、差別ということに対して徹底的に取り組んだ力作で、この方面での新境地を開拓したからには、さらに面白いものを読ませてもらえると楽しみにしていたんやけれど。早すぎるよ。
私たちはもう当分海老澤さんのような野球時評の書き手を得ることはないやろう。それだけに、早すぎる訃報は辛い。
謹んで哀悼の意を表します。
8/16(日)は「たちよみの会」の例会です。多数のご参加お待ちしています。
コメント 0