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絶頂と奈落 [プロ野球]

 緊張に耐えられる精神力というものが、勝負師にとっていかに重要な要素なのか。
 今日のナイター中継を見てそれをつくづく感じた。
 試合は延長11回表。タイガースの先頭打者鳥谷があわやホームランという二塁打を放つ。マウンドにはドラゴンズのクローザー岩瀬。ここまでタイガースは岩田と藤川、ドラゴンズは吉見が好投を続け、両チームとも無得点。野手の動きもよくファインプレーは続出。しかし、延長11回ともなると、精神的な疲れが守っている野手にもあったんやろう。鳥谷に続くマートンはライト前に浅い当たりのヒット。鳥谷はホームには還れない当たり。そやのに、ライトを守っていた平田はなんとバックホームした。この場合、ランナーを牽制しつつ内野に球を返すだけで十分やのに。
 予想外の返球にも捕手の小田はよく反応した。そやけど、ボールが見えてなかった(そう、解説の福本豊さんはビデオを見ながら分析した)。ボールは小田のミットの下をすり抜けフェンスに向かって転がっていく。三塁手がカバーに走ったけれど間に合わん。鳥谷はホームインし、均衡を破る1点がタイガースに入った。
 このあと、鉄壁の守りをここまでしていたドラゴンズの野手たちは次々とエラーを重ねていく。併殺をとれる場面で1死しかとれずに三塁走者を生還させたり、平凡なゴロを慎重に二塁へ送球しようとした岩瀬の肩に力が入り過ぎて悪送球になったり。
 ドラゴンズが敗れたのは、若い平田が1点も与えられんというプレッシャーに負けてしもうたからなんやろうなあ。さらに、1点を与えたことでもうこれ以上失点してはいけないというプレッシャーが百戦錬磨の岩瀬の守備を乱れさせたんやろう。
 いろいろと考えさせられる面白い試合やった。
 エラーのあと、ただただ呆然と立ち尽くす小田捕手の姿が非常に印象的やった。2日前はサヨナラヒットを打って歓喜を爆発させた男が、翌々日の今日は奈落の底に落とされる。
 1976年の序盤戦で、後楽園球場で満塁サヨナラホームランを放った末次外野手が、終盤戦の甲子園球場で満塁のピンチに平凡なライトフライを落球して走者一掃の大エラーを犯してしもうたことがある。末次が1年で天国と地獄を味わったとしたら、小田は3日でそれを味わったという感じやな。
 野球という競技の人間臭さを凝縮させたような場面やった。
 やっぱり、野球は面白い。
 でも、ほんまに見てて疲れました。

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