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ジョン万次郎の失くしもの [読書全般]

 今日から大阪ではG20サミット。台風もやってきて、外に出る気にもならん。幸い大阪府立の学校は一斉休校で、まあ教職員は出勤せんならんことになっているけれど、管理職からもこれをいい機会ととらえて年休消化、休養につとめてと言うてくれていたので、大手を振って休暇を取った。正解でしたねえ。
 朝は比較的早起き。録画した深夜アニメを何本か見、「なつぞら」を昨日と今日の分見て、朝食後に早くも午睡。昼ごろ起きてきて昼食を取る。外は吹き降り。リビングの床もなんかじとっとしている。昼食後はひたすら読書。夕刻、妻と録画してあった番組を何本か見る。タイガースの試合は土曜日からなんで、この間、少しでも見たいけれどためてしもうていたものを見ておきたい。あと、深夜アニメも先週に最終回を迎えたものが多く、見る本数が減っている。来週からは新番組がどっさりと始まるんで、それまでにやはりたまっているものを見たい。本も読みたい午睡もしたい。4連休では足らんですぞ。
 田中啓文「ジョン万次郎の失くしもの 浮世奉行と三悪人」(集英社文庫)読了。これまでは市井のいざこざを雀丸が解決するという形やったのが、本巻ではなんと土佐藩に招かれてジョン万次郎が失くした米大統領の親書を探したり、長崎まで行ってオランダ商館のカピタンと会うたり、尊王攘夷の浪士とトラブルになったり。雀丸は幕末の大きく歴史の動く波に少しずつ翻弄されていく。実はこれは私としては予想外の展開やったのですね。というのも、このシリーズの前の「鍋奉行犯科帳」シリーズは、そういった激動の時代を外して泰平の時代の大坂を活写していたので、このシリーズもそういうもんやと思うていたのです。市井のささやかな幸せを愛する雀丸が果たしてこれ以降の激動の時代に対してどう動いていくのか。新しい楽しみが出てきた。むろん、田中さんらしさもふんだんに盛り込まれており、例えば第一話のサブタイトル「海老尻家路の巻」の「海老尻家路」は、エゲレス語のいろは歌(?)である「ABCの歌」を雀丸らが聞いてそのまま音訳したものであったりするし、ここで歌われる「メリの子羊」(メリーさんの羊)や「諏訪の川」(スワニー川)の音訳など、ジャズメンである田中さんの面目躍如というくらい楽しいものになっている。この手の「笑い」は他の時代小説家ではなかなか出されへんし、ミステリ仕立てのストーリーも、実在の人物とからませながら非常に手際よく進められていく。第5巻にしてようやくシリーズの方向性がかちっと決まってきたのかもしれんね。1巻あたりで読むのをやめた方がいたら、がんばって続きを読んでと言いたい。そうやないとこの巻の面白さも半減するやろうから。

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