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新しい十五匹のネズミのフライ [読書全般]

 今朝のスポーツ紙はどこも野村克也さんの訃報が一面、と思うでしょ。ところが大阪版ではスポーツニッポンだけが裏一面。一面は練習試合で近本選手が二塁打を打ったのを堂々と載せていた。理由は歴然。南海ホークス時代からスポニチは鶴岡監督派ということで野村さんはタイガースの監督時代もスポニチの記者に対しては口をきかなんだというのですね。自然、スポニチだけは野村さんの扱いがよそよりも悪くなる。逆に専属の解説者をしていたサンケイスポーツは扱いがでかい。星野仙一さんは日刊スポーツの解説者やったから、ニッカンが一番凝った紙面を作っていた。まあそういうものです。
 そして「週刊ベースボール」は選手名鑑特大号で、通常の連載をすべて休載という思い切ったことをしていた。次週予告に野村さんの連載も入っていたのは当たり前ですね。果たして原稿はあがっていたんやろうか。あがっていたとしたらそれが絶筆ということになるなあ。
 お仕事は、在校生が今日から学年末考査なんで、試験監督。午後からは会議。終了後は在校生の成績処理を途中まで行う。定時に退出。外は雨。
 帰宅後は、昨日の深夜録画した「平成紅梅亭」を見る。桂米朝五年祭特集ということで、吉弥「軽業」、南光「抜け雀」と2000年収録の米朝「らくだ」を放送。「らくだ」は火葬場に行く前のところで切ってはった。ああ、やっぱり名人やなあ。
 島田荘司「新しい十五匹のネズミのフライ ジョン・H・ワトソンの冒険」(新潮文庫)読了。久々に作者が手掛けたホームズ・パスティーシュ。正典の「赤毛組合」「這う人」「まだらの紐」「四つの署名」などをモチーフに、ワトソン医師が正典では隠していた真相を記した記録、という体裁。ホームズ・ファンなら思わずにやりとしてしまうような仕掛けもあるし、タイトルになっている「新しい十五匹のネズミのフライ」という謎の符丁の謎解きもさすがという感じ。ではあるけれど、何か今ひとつ楽しめなんだ。別にホームズがスーパースターでなくてもかまわんし、コカインの常用で錯乱状態になるというのも普通に考えたらありやと思う。そやけど、それと正典で矛盾を指摘されている作品の真相を強引に結びつけてみたり、ホームズの推理が実はすべて的外れやったりなんてのはやっぱり素直に楽しまれへんのですよ。正典ではホームズとワトソンの会話の上だけで登場するワトソンの兄の実像を出すのはいいけれど、兄嫁をめぐるワトソンの大活劇というのには違和感があったしね。作者が凝れば凝るほど、正典とのギャップがはげしくなり、パスティーシュとしては原作の雰囲気から離れてしまうという感じがするのですね。あと、本書で扱われる「四つの署名」をモチーフにした犯罪については、これと正典の「四つの署名」との整合性が全く取れてへんのも気になった。これ以上書くとネタバレになるのでやめておくけれど、作者はそれほどホームズに思い入れがないのかもしれんのやないかという気がしてならなんだ。北原尚彦さんや田中啓文さんとは明らかにスタンスが違うんです。ホームズが大好きで大好きでという方には、逆にお薦めしません。ミステリとしてのホームズものに対してなにかしら不満のある方ならばおもしろがって読まはるかもしれんけれどね。

 2月16日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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