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トキワ荘の時代 [読書全般]

 今朝は通常より30分早く起床。朝の支度もすべて30分早く行う。時計を見ては針を頭の中で30分早めに換算する。で、お山の学校にもちょうど30分早く着く。たった30分とはいえ時差ボケ状態であります。
 役割分担では「予備」に入っていることが多く、空いた時間には親睦会の会計の仕事などを行う。試験監督は配慮の必要な生徒の別室受験の監督ばかりで、いずれも広い教室にぽつんと一人。例年とは勝手が違い、入試の緊迫感があまりなかった。それはそれでなんだかなあという感じ。退出時間も30分早い。むろん帰宅も30分早い。それでも通常よりなんか疲れていたのは、やはりそれなりに緊張していたのかもしれんね。
 帰宅後は録画した落語をDVDにダビングしたりして過ごす。明日も30分早いから、今夜も早寝しましょうね。
 梶井純「トキワ荘の時代」(ちくま文庫)読了。戦後、手塚治虫を中心に彼を慕う若手漫画家が集まったトキワ荘。手塚、石森、藤子、赤塚を中心に語られることの多い「トキワ荘」を、貸本漫画の研究家である著者が類書とは違う視点で見つめ直したのが本書。その中心に寺田ヒロオの漫画家人生を置く。トキワ荘グループの兄貴分として語られることの多い寺田ヒロオではあるが、人気絶頂期に自らフェイドアウトするように漫画史から消えていく。週刊漫画誌の人気投票に代表される「雑誌がキタナクなったから」という理由で仕事の軸足を週刊誌から学年誌に移していくのだ。実は手塚治虫以前の戦前派の児童漫画の影響を受けて漫画を描きだした寺田ヒロオにとって、強敵との闘いがエスカレートしていくような漫画は自分の求めるものとは違うたのですね。また、辰巳ヨシヒロやつげ義春ら貸本漫画出身の関西の劇画グループと交流があったりもする。ここらあたりのこれまで語られてこなかった意外な事実を、著者は寺田本人から粘り強く話を聞き、さらに辰巳らからの証言も得ている。これが類書との大きな違いなんでありますね。寺田ヒロオの最後の大仕事が、自分の出発点やった「漫画少年」誌の歴史をまとめることやったというのがなんか泣けてくるのですよ。寺田の漫画への思いを受け継いだのは藤子・F・不二雄やないかと著者は書く。学年誌から生まれた「ドラえもん」が世代を超えて、特に子どもたちの支持で日本の漫画を代表する作品として残ったのは、決して偶然やなかったのですね。漫画研究のひとつの成果として残すべき珠玉のノンフィクションやないかと感じた次第。漫画史に興味のある方にはぜひ手元に置いておいてもらいたい一冊であります。

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