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別れのワイン [テレビ全般]

 愛すれどTigers「溌剌! 19歳小幡が走守に駆け巡る」を更新しました。

 今日で8月も終わり。明日から9月。なのにこの暑さは何なんですか。朝から汗をかきかき出勤。教室は冷房がきいてはいるけれど、生徒の熱気もあるのでさほど涼しさを感じません。ばてばて状態で定時に退出。
 帰宅後は少し読書。夕食後、例によって野球中継がないので妻と「刑事コロンボ」を見る。今日見たエピソードは、ファンの人気投票で1位に輝いた「別れのワイン」。イタリア移民の子で、一代で高級ワイナリーを作り上げた男が、社主である弟を殺す。廉価ワインの会社にせっかくの会社を売り飛ばすというのだ。アリバイを完璧に作り上げ、殺人を事故死に見せかけたところで、被害者の婚約者の依頼で登場したコロンボがしつこくアリバイを崩しにかかる。私の「人情ベスト5」に入る作品で、人気が高いのもようわかる。コロンボの犯人に対する敬意がこれほどあらわれた作品もないんやないか。というのも、殺人の動機が私利私欲というよりは、愛するものを失いそうになったというところからきているものであるのだろうし、殺人の代償として心から愛するものを失ってしまうというその心情への共感もあるやろう。なにより、イタリア移民の子という境遇から努力で一流の座を手に入れたというあたりに、コロンボは自分を重ねたのやないか。ラストシーンでコロンボと犯人がかわす「別れのワイン」の場面の余情というたら! 私はコロンボにミステリとしての完成度を求める方なんやけれど、人情系がその間にはさまることによってよりシリーズに深みが出るんですねえ。若い頃にはわからなかった秘書の豹変あたり、この歳になって見るとぞくりとくるものがある。それこそ年代物のワインのように熟した大人のほろ苦さを感じさせる名作です。

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山岸真

作家の山口雅也さんが「別れのワイン」の犯人の人物像を詳細に読み解いた大変面白いエッセイを書かれているので、お時間のあるときにぜひ。とても説得力があります。吹き替え翻訳だと科白をしゃべる時間の制約があったり、演出の人の現場判断による変更もありますが、翻訳とは原文からここまで読みとる仕事であるべきなのだと考えると気が遠くなります(自分にはこんなことに気づくのは無理)。
http://fukyoshop.blog.jp/archives/6704663.html
by 山岸真 (2020-09-01 19:20) 

t-kita

 拝読いたしました。すごいですね。コロンボのスタッフがどれだけ脚本の段階から小道具の一つに至るまで入念に作りこんでいるかがわかります。
 そして山口さんの「コロンボ愛」の深さもまたよくわかります。
 ありがとうございました。
by t-kita (2020-09-01 23:58) 

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