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シャーロック・ホームズの誤謬 [読書全般]

 今日はたちよみの会例会。朝から録画した番組を見て、昼前に出かける。阪急の特急で上洛。お彼岸なんで時間に余裕があったら墓参も考えていたんやけれど、例会に間に合いそうにないので墓参は春分の日に行けたら行くということにしよう。
 古参会員Y氏と読みかけの本を見せて話をしたりしてから、丸善へ。Amazonの買い物かごに入れておいた本を探し、見つけ次第かごから削除。中には、実物を手にとりぱらぱらと見てから買うのをやめたものもあり。新刊で面白そうなものがあったのでそれを買うというものもあり。新書や文庫ばかり何冊か購入。さあ、どんどん読んでいくぞ、といつも思うのですけれどね。
 丸善から出て、上島珈琲でまたしばらくおしゃべりして散会。帰宅後、録画しておいた相撲中継を見る。幕内では翠富士が8連勝で勝ち越し。1敗で大栄翔が追う展開に。高安は土俵際で足が出てしまい2敗目。北青鵬が琴恵光をはりま投げの珍手で下す。土俵際、押しても押しても土俵を割らず、肩越しにまわしを取って降り捨てる。この懐の深さは大きな武器やね。十両では1敗で朝乃山ら3人が並ぶという展開。こちらの優勝争いも面白くなってきた。朝乃山と落合の取り組みを早く見てみたいものです。
 夕食後はスマホで社説のダウンロードなど。
 ピエール・バイヤール/平岡敦・訳「シャーロック・ホームズの誤謬 『バスカヴィル家の犬』再考」(創元ライブラリ)読了。シャーロック・ホームズの第3長編で人気も高い「バスカヴィル家の犬」でホームズが示した犯人は間違いで、真犯人は別にいるという分析を行ったもの。ただ単に、名探偵の推理の穴を指摘しているだけやなく、「バスカヴィル家の犬」をドイルが執筆した時の状況……ドイルが「最後の事件」でホームズのシリーズを終了させたにもかかわらず、ホームズ再開を希望する声が社会現象にまでなって、しぶしぶ新作を書いた……をも含めた考察を試みる。ドイルのホームズに対する複雑な感情が、ホームズがほとんど活躍しない長編を書かせたこと。読者が虚構の人物に対してまるで実在の人物であるかのように熱狂していたこと。虚構に対する読者の向き合い方など、「バスカヴィル家の犬」という作品を奥深くまで掘り下げたうえで、ホームズのあての外れた推理をチェックし、ドイルすら気が付いていなかっただろう真犯人を指摘していく。その論の立て方など、小説というものの社会における位置まで考えさせられた。私はここまで緻密に本を読んでいるわけやないけれど、書評家として自分はどのように小説に向き合うてきたかも改めて考えさせられた。読書好きな方にはぜひご一読を勧めたい。ただし、少なくとも「最後の事件」(「回想のシャーロックホームズ」所収)と「バスカヴィル家の犬」だけでも読んでおいたほうがよろしい。思い切りネタバレしてるからね。「バスカヴィル家の犬」、再読したくなること必至。これまでとは読み方が一変してしまうことやろうなあ。

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