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天山の巫女ソニン2海の孔雀 [読書全般]

 今日は月例の京都の医者行き。昼前までたっぷりアニメを見てから、出発。寒波が来ていて、歩いて汗をかいてもすぐに冷える。
 阪急の特急で上洛。診療の後は、これも月例になった母の施設への面会。自分から体を起こそうとするなど、かなり元気になっていて、この感じなら今年も無事に年越しができそう。食もかなり進んでいるとのこと。今月はさらに面会時間がのびて30分になった。話しかけると返事をしてくれる。ただ、しゃべろうとすると体力を消耗するみたいなんで、あまり話しかけすぎないように気をつける。
 面会後、阪急の特急で帰阪。妻は日帰り帰省中。しばらく読書をして帰りを待つ。妻が帰宅した後も読書の続き。夕食後も読書やらスマホやらでゆったり過ごす。ただ、かなり歩いたのでいささか疲れた。明日はしっかり午睡して月曜からの採点業務に備えよう。
 菅野雪虫「天山の巫女ソニン2海の孔雀」(講談社文庫)読了。往復の車中や医者の待合室で一気に読み切ってしもうた。前巻で王子たちを救ったソニンは、本巻では口のきけないイウォル王子とともに隣国江南のクワン王子に招かれる。江南では貧富の格差が激しいうえに、王妃の寵臣ヘスがクワン王子を陥れる計画を立てていた。また、クワン王子がイウォル王子とソニンを招いたのにも思惑があり……という話。欲望というものを持たぬように天山で育てられたソニンは、それでも自分が信じられる者のために尽くしていく。ただ、他国で見聞きしたことや、知的障碍のある王女リアンとの交流などからいろいろなことを学び成長していく姿がていねいに描かれる。ソニンだけやなく、イウォル王子もまた自分に障碍がありながらリアン王女に対して嫌悪感を抱いたことに自分の中で衝撃を受け、そこからまた精神的に大きく変貌していく。ここらあたりの人間心理の描写は、前巻よりも深まっている。さらには江南の王妃には罪悪感はないけれど、周囲が忖度して彼女が気に入るように村に毒を流したりクワン王子を害したりというようなところや、毒を流されて強制移住された人々の様子などは、本書が最初に書かれた後に日本に起きた様々な事件や事故を予見しているようにも見える。つまり、それだけ作者の人間洞察力が優れているということなんやろう。児童文学なので、わかりやすく、そして読みやすいのだけれど、そういった人間の描き方は、学童期に本作を読んだ者には強く印象に残ったんやないかな。
 物語はまだ始まったばかり。次巻以降、ソニンたちがどのように成長していくか、そして登場人物たちの人間関係がどのように変化していくのかが楽しみなシリーズですねえ。
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