落日の横綱へ [大相撲]
大相撲小言場所「平成十九年夏場所展望~横綱の品格とは~」にも書いたんやけれど、今場所ほど朝青龍に優勝してほしくない場所はない。
それがどうやら現実のものになってくるとなると、なんか寂寥感みたいなものも味わったりしているのですね。朝青龍が若手をつぶすような稽古をしたのは、自分が倒される不安感が理由やったんやなあ、と。そういう横綱としての品格が疑われるようなことをしてでも、「強い男」のイメージを壊したくなかったんや。そやけど、これまで稽古不足でも勝てていて、それでいいと錯覚してしもうたツケが、今場所にまわってきたんや。
勝ちをあせって強引な攻めを見せる。速攻についてこられん相手は敗れるけれど、その動きについていける相手ならばたやすく朝青龍の体勢を崩すことができる。
場所前に若手のいる部屋に乗りこんで、相手を怪我させたり恐怖感を植え付けさせるためだけの「稽古」をしなければ、虚像は保たれへん。なんか、最強を誇っていた横綱が、哀れな末路をたどる第一歩になりそうな予感がする。長く君臨して稽古をさぼってきた分、一度衰えた部分を取り戻すには相当の量と質の稽古が必要やろうけれど、若いときと違い、そこまでの稽古に耐えられる体やなくなってくる。
横綱の傲岸不遜な態度が、単なる空威張りに見えた。それは、あまりにも寂しいことやね。