おせっかいな決議 [時事ネタ]
米下院外交委員会が慰安婦問題に関する対日非難決議案を可決したわけやけれど、なんでアメリカの下院がそんな決議を今するのかというのが私には理解でけなんだ。どうやら背景には中国系の反日団体の圧力があるらしい。以下、新聞記事の引用。
「歴史問題で日本を一貫して非難している在米中国系団体「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下、抗日連合会と略)の幹部たちは、他の在米中国系組織幹部とともに同州クパナティノの中国料理店で集会を開き、マイク・ホンダ議員らが下院に提出した慰安婦決議案の可決促進を協議した。(中略)抗日連合会の幹部らは民主、共和両党議員への政治献金者であり、このままではラントス委員長らに献金目的にのみ利用され、実際の行動では放置されるという懸念を表明した。そしてディン氏らは「選挙区の33%がアジア系住民であるラントス委員長が同氏らと意思疎通できないならば、もう新しい議員の選出の時期となるだろう」と告げた。ディン氏らはこの「脅し」をラントス委員長のカリフォルニア第12区の人口動態の数字と過去の投票結果で裏づけ、2008年の下院選挙では自分たち自身の候補をラントス委員長への対抗馬として立てることを示唆した」
なるほどなあ、日本政府は米国に弱いから、選挙で落とすぞと下院を脅して圧力をかけさせようというわけか。それなら納得できる。もっとも、別の報道によると、政府そのものはこの下院決議に対しては賛同の意を表明してへんから、反日団体の思い通りにはならんような感じではあるけれど。
この決議の面白いところは、日本政府が慰安婦問題について誰に謝罪すべきかが明記されてへんことやね。以下引用。
「一、第二次大戦中に日本軍がアジア太平洋地域を支配した時代に行った従軍慰安婦問題について、公式声明で首相が謝罪すれば今後、この問題が再燃するのを防げるだろう。
一、日本政府は、日本軍が女性を性的奴隷にしたり人身売買に加担したことはないという主張の誤りをただすべきだ。
一、 日本政府は現在および将来の世代にこの恐ろしい犯罪を伝え、元慰安婦に対する国際社会の声に配慮すべきだ」
で、誰に謝罪したらええのん。慰安婦にされたという中国や韓国の女性たちに? 中国政府や韓国政府に? それやったら、これまでにもいろいろと外交問題として直接日本は「河野官房長官談話」をはじめとする声明を出しておるぞ。なにも今さらアメリカ下院の外交委員会が決議を出すような必然性というものがあらへん。よその国の外交に口出しするおせっかいな決議としかいいようがない。
まさかアメリカ政府に謝罪せえというんやないやろうな。それこそ見当違いですわな。国連で全世界に対して謝罪せえといわれても必ずしもこの問題に関心のある国ばかりというわけでもなかろうし。
人権問題として日本を糾弾するならば、日本政府は原爆投下や無差別爆撃という米軍の最大の人権侵害に対して謝罪を求めてもええやろう。少なくとも、アメリカ政府は当時の米軍の行った非道について、過去一度も謝罪めいた言葉を口にしたことはなく、あの原爆投下まで「戦争をはやく終結させるために必要だった」と正当化し続けてるわけですからな。日本がポツダム宣言受諾をすでに決定し、そのことがわかっていた8月14日、大阪京橋に「今のうちに日本を爆撃しておかないと明日からは爆撃できなくなる」とばかりに不必要な空襲をかけたのも正当化する気かね。
とまあ、ロビイ政治のもとでまったくもっておせっかいな決議が出されたわけやけれど、日本政府はこの際「あんたらも無差別殺戮を反省して謝罪しなさい」くらいのことを言うたったらどないだ。無理やろうけど。