北の湖乱心

　杉山邦博元ＮＨＫアナウンサーというたら、横綱北の湖全盛時代に故北出清五郎アナウンサーとともに名アナウンサーとして知られた人で、私は子どもの頃、いわばこの２人と解説の玉の海さん神風さんによって相撲の魅力を教えられたようなもんですわ。
　定年退職後は大学の客員教授をしながら相撲に関する著作を何冊も出していて、それらは相撲ファンになったばかりの人たちにもわかりやすく書かれたものばかり。逆に私のようなすれてしもうたファンにはもの足りんくらい「毒」のない本でもあったわけね。
　そういう人をワイドショーで「相撲評論家」と名乗っただけで記者クラブの取材証を没収するなんていう目にあわせるというのは、これが北の湖理事長の判断やとしたら、こらもう理事長ご乱心としかいいようがないね。朝青龍問題で本人にぶつけられんイライラを長年味方をしてくれた人にぶつけてどうするん。
　と思うたら、東京相撲記者クラブの抗議であっさり取材者証を返したというんやから、これまたなんというてええやら。肩書きの問題やないでしょう。要はどんなに長い付き合いの人でもワイドショーなんかに出て相撲協会を話題にしたらひどい目に合わすぞという威嚇やろうね。実際、新聞の紙面にはこう書かれている。
「また理事長は杉山氏と同じようなケースがほかの会友に見られるとし、新たに取材証を没収する可能性も示唆した」
　これを脅しとせずしてなにを脅しとする。言論の自由という言葉を理事長は知らんのやないか。
　週刊誌で噂されているように、理事長にも何か後ろ暗いことがあるのかなあ。マスコミにつつかれてそれが表に出んように、脅しをかけとけてなもんですかね。一番無害な人物とみなした杉山さんは見せしめにしやすい標的やったのかもしれんね。
　理事長もモンゴルに行って、朝青龍と同じ温泉で療養したらどないだ。