京フェス2007レポートその5 [SF]
本会が終わり、夕食は冬樹蛉さんや福井健太さん、、合宿から合流の小林泰三さんなどといっしょに定食をとる。
そして、19時からオープニング。いつものように小浜徹也さん(東京創元社)が参加者紹介。
今年は乾杯もクイズもなく、25周年というのに地味なオープニングでした。
京フェス2007レポートその4 [SF]
本会最後の企画は「さよならソノラマ文庫」。朝日ソノラマが閉店したことを機会に、ソノラマ文庫を振り返るもの。
出演は菅浩江さん、秋山完さん、三村美衣さん。
菅さんは「ゆらぎの森のシェラ」でソノラマ文庫に登場。そのころのエピソードを語る。秋山さんは当時朝日ソノラマが出していた「グリフォン」に投稿したのがきっかけで「ラストリーフの鐘」で長編デビューした。
お二人のソノラマ文庫への思いと、SF作家志望としても魅力を感じていた点などが語られた。
朝日ソノラマの会社としての進みつつもレトロな感覚、その読者層の他のレーベルとの違い。好きなものを好きに書かせてもらえるよさなどと、いい意味でも悪い意味でもいいかげんやったことなどのエピソードは、ソノラマへの愛情と不安やったこととが入り交じった話が盛りだくさん出る。
ソノラマ文庫で好きな作品は、菅さんは菊地秀行「D」シリーズと高千穂遥「クラッシャージョウ」シリーズをあげ、秋山さんは「クラッシャージョウ」と笹本祐一「バーンストーム」をあげた。
菅さんにとってソノラマ文庫は「懐かしい古巣」、秋山さんは「自由放任の古い校舎の学校」という。
ソノラマというレーベルはこれからも続く。そういう意味では「さよなら」ではないけれど、古きよきレーベルをあらためて懐かしむ、楽しい企画でありました。
京フェス2007レポートその3 [SF]
三つ目は「ティプトリー再考」。パネルのメンバーは岡本俊弥さん、大野万紀さん、鳥居定夫(水鏡子)さん、米村秀雄さん。
私にはこの4人が揃うのは感慨深い。KSFAの「神大四天王」なんていうても通じないか。かつての京フェスではこの顔触れで海外SFについて語ってはったものです。
企画の進行は岡本さん。なぜティプトリーなのか、なぜこのメンバーなのかを弁明……説明する。それからティプトリーの略伝をパワーポイントを使いながら語る。
話は日本でのティプトリー紹介史に移り、最初にティプトリーを評価した鳥居さんが当時の状況を語った。最初のブームである1974〜75年頃の状況は米村さんと岡本さんが説明。そして77年の「ティプトリーは女だった!」騒動の様子を大野さんが回想。
その後に起こった2回目のブーム(鳥居さんはブームととらえてないが)の時期を鳥居さんや会場の古沢嘉通さんたちが振り返った。
そして自殺。その時のショックなどが4人の口からそれぞれの思いを込めて語られ、死後、続いていく人気の秘密を、それぞれの思い入れを込めつつ、座談会が締めくくられた。
キャリアの長いSFの達人たちでないとできない、リアルタイムで見たティプトリー論で、今日集まった若いSFファンには逆に新鮮に写ったかもしれないですね。
京フェス2007レポートその2 [SF]
昼食は「からふね屋」。菊池誠さんや三村美衣さん、O澤、R角両元京フェス実行委員長ら総勢7名。わあわあ話をしてたら二つ目の企画の始まる5分前。
急がず会場に戻って、途中から「東浩紀インタビュー」を聞く。聞き手はおなじみ大森望さん。
インタビューというよりは、東さんと大森さんの対談ですね。
SFにとって東浩紀とは何か、東浩紀にとってSFとは何かという話になるはずが、笠井潔論や宇野常寛論に話は進む。
話は「リピートの想像力」に軸が移り、ゲーム的想像力の考察が、「SEVEN DAYS」や「スタートレック ヴォイジャー」などを例にとり、リセットしてやり直す物語の面白さについて語られた。
ゲーム的リアリズムはジャンル性を取り払い剥き出しの本質を見せるという話の流れから、東さんの「タイムトリップもの」への愛などが語られた。
本格的にSF論を書きたいという東さんが関心を持つのはやはりイーガン。
どんどん話が移っていくのでこのスペースではまとめ切れないんですが、要はジャンルをどう切り取って考えたらいいのかみたいな話になりました。
あ、こんなまとめ方でいいのか。
最後は合作小説「キャラクターズ」をもとに、「キャラクター」小説と私小説について熱かったり冷えたりする自作解説になった。
東さんが熱く語ったあと、大森さんが静かに反論したら「うーんそうか」と納得したりするのが、東さんてええ人やなあという感じが残りました。
京フェス2007レポートその1 [SF]
今年もやってきました京都SFフェスティバル2007。
今年は教育文化センターでの開催。京阪丸太町駅を出ると、林哲矢さんとばったり出くわす。どうも京大会館の方向に向かうところやったらしい。同様の間違いをしている人は他にもいてるかも。
さて、一番目のプログラムは「円城塔自己言及式インタビュー」。「self-Reference ENGINE」が話題を呼んだ(すんません、私読んでへんのです)円城さんを呼び、パワーポイントを活用しながら、自己紹介や作品の解題をするという企画。聞き手(というよりツッコミ役)は菊池誠さん。
もっと神経質な人なのかと勝手に思い込んでいたけど、どちらかというと浮世離れ(失礼!)した感じの方です。
作品の解題については、読んでないから私にはどうおもろいかわからんけど、パワーポイントで示されたメモ書きを見ていたら、かなり遊び心のある方らしい。
ただし、その遊び心たるや、なかなか一筋縄ではいかない(ように感じる)。
菊池さんの話の引き出し方がさすがにうまく、わかりにくい学術的な話も、楽しく聞くことができた。
でもやっぱり作品を読んでおかなあきませんね。