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ミスタータイガースになれなかった男 [プロ野球]

 プロ野球阪神タイガース濱中治外野手のオリックスバファローズ移籍が発表された。タイガースからは濱中のほか吉野誠投手がバファローズに、バファローズからは平野恵一内野手と阿部健太投手がタイガースに移籍する。
 思えば濱中は「万年ミスタータイガース候補」やった。野村監督は「濱中は天才や。ストレートのタイミングで待ってても、変化球を打てる」と絶賛した。田淵コーチは「うねり打法」なるものを伝授し、国産大砲として成長させようとした。ファンも「将来の四番」の成長を楽しみにしていた。まだレギュラーにもなってへんのにヒッティングマーチが作られ、打席に入ると「はまなかーはまなかー、ここまーでとーどかせろ」という歌声が甲子園に響いた。
 そやけど、濱中は期待を裏切った。守備のセンスがないというのか、ジャンピングキャッチを試みて右手をグラウンドに突いて故障し、やっと復帰したと思うたら、走塁のセンスがないのか一塁走者となった時に相手投手の牽制球に合わせて手から帰塁して肩を負傷。2005年のシーズンは、交流戦で守備につかなんでもええDHがあったおかげで一軍復帰できたけれど、守備についたら外野に打球が転がるたびに「また肩をいわさへんか」とびくびくしながら見ていたもんです。
 やっとその実力が開花したと思わせたのが昨年の4月。ホームランを量産し、月間MVPに輝いた。ところが5月にはいると一気に不振に陥り、ついにスタメン落ち。二代目のヒッティングマーチでは「ふしちょうがまいおりーたら」なんて歌われてたけど、あれは歌詞がいかんね。不死鳥も羽ばたいてくれんと。舞い降りたら羽を休めてしまうやないですか。「はまなーかはまなーか、おれたーちをみちびけー」って、どこに導いてくれたもんやら。申し訳ないけど、現在のヒッティングマーチには日本語のセンスが疑われるものが多く、歌っていてもあまり乗れんな。おっと話がそれた。
 というわけで、故障ばかりして持ち前の打撃センスも生かされず、今季はついに低位置を林や桜井に奪われ代打に甘んじるようになってしもうた。本来スタメン出場して多くの打席に立つことで持ち味が出るタイプの選手だけに、代打では結果を出せなんだのは道理。「ミスタータイガースになり損ねた男」は戦力としては少々浮いた存在になりつつあったというのが、冷たいようやけれど私の見方ですね。
 それだけに、DH制度のあるパ・リーグの各チームは濱中を狙っていたみたいですな。特にバファローズは清原引退後の和製大砲が欲しかっただけに、狙い通りということになるやろう。
 私は濱中がもっともっと甲子園で活躍するところを見たかった。高々と上がる打球は、田淵の放物線ほどの美しさはないもののこれぞホームランという軌道を描いてた。昨年甲子園のドラゴンズ戦で放った逆転ホームランの軌道は、まだ記憶に残っている。
 濱中ほど、次代の「ミスタータイガース」になることを期待された選手はいてなんだやろう。そやけど、そのプレッシャーが逆に大成をはばんだのかもしれん。濱ちゃん、バファローズでのびのびやって、ホームラン王になってや。
 交流戦でホームランを打ってタイガースが負けたとしても、私はうらまへんと思う。新天地で羽ばたけ不死鳥、濱中。


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