伝家の宝刀は抜くべからず [時事ネタ]
大相撲小言場所「平成二十年初場所展望~朝青龍の再起はなるか~」を新規更新しました。
あーあ、やってしもうたね。「衆院本会議での憲法59条の規定を適用、再議決」を。しかも衆参両院の議決が異なる場合に開催されるべき両院協議会を開くという手続きもすっ飛ばして。以下、「スポーツ報知」紙面より引用です。
“今国会最大の焦点となった新テロ対策特別措置法は11日午後の衆院本会議で、憲法59条の規定を適用し、出席議員の3分の2以上の賛成多数で再議決、成立した。これに先立つ参院本会議では民主党など野党の反対多数で否決され、民主党提出の「対案」が可決された。参院で否決の法案が衆院再議決により成立したのは、1951年の「モーターボート競走法」以来57年ぶり”
なんでこれやったらあかんかというと、今の自公両党が3分の2以上の議席を得たときの選挙は「郵政民営化の是非」を問う国民投票的側面があって、少なくともこの時に与党を大勝させた「民意」に「新テロ対策特別措置法」への絶対的賛成はなかったといえるわけです。
無論これは憲法で認められている手続きです。「違法」やないです。そやけど、「法律の悪用」と見られてもしかたない。
そこまでして「新テロ対策特別措置法」を通したかったという気持ちはわかる。「憲法59条の規定」があるぞと野党に提示して、交渉の道具に使うには問題はないと思う。そやけど、ほんまに使うたのはまずかった。そして、通常国会で予算関連の法案、特にガソリン税に関する法案なんかもこの手でいくと明言する閣僚までいるのはもっとまずい。
これは伝家の宝刀です。伝家の宝刀というのは、抜くぞ抜くぞと見せかけておいて抜かないから効果があるのです。抜いてしもうたら、あとはもう斬って斬って斬りまくるしか使い道がない。
「憲法59条の規定」を乱発して法案を通したとしたら、次の総選挙で現在の与党にどういう評価が下るか。伝家の宝刀の抜き身をぶら下げたお殿様は、「上様ご乱心」と家臣に取り押さえられむりやり隠居させられるのが落ちですな。つまり、そういうことになってしまうやろう。
民主主義とはどういうものなのか。少なくとも「多数決の政治」という単純なものやないことだけは確かや。そこを間違えてしまうと、大きなしっぺ返しを食らうことになるやろう。
伝家の宝刀は抜くべからず。もって他山の石としたい。とはいいつつも、私には伝家の宝刀そのものがなかったりするのでした。いやいやいやどーも。