直木賞に桜庭一樹 [時事ネタ]
読書感想文「力士の世界」(33代木村庄之助)を新規更新しました。
桜庭一樹さんが直木賞を受賞した。スポーツ報知の受賞者紹介では「99年に若者向けライトノベルで『ファミ通えんため大賞』に佳作入選して作家デビュー」なんて書いてあるぞ。確かに「ファミ通えんため大賞」だけではその世界を知らん人には何の賞かわからんもんな。
最近では“ライトノベル”を読まなくなった(小説そのものも読んでへんか……うーむ)私ではあるけれど、かつてSFマガジンでは「ヤングアダルト」書評コーナーの担当をしていた私としては、その分野でデビューした実力派が直木賞まで受賞するようになったというのに感慨を覚えるなあ。“ライトノベル”でデビューしたというだけでフィルターがかかってしまっていた時代があった、と過去形で語る時代がくるのかもしれん。
というても、“ライトノベル”でデビューした人すべてに門戸が開かれているわけではなかろうとは思う。作家の力量やとか、出版社の力の入れ方やとか、優れた編集者との出会いやとか、さまざまな要素が合わさったからこそ、桜庭さんは直木賞作家にまでなったんやと思う。
とはいうても、“ライトノベル”でデビューした人の中には、そのジャンルにとどまらない力量のある書き手もいるんやと、出版業界の中で注目してくれるようになったら、桜庭さんの受賞は彼女への栄誉だけでは終わらない価値が出てくるようになると思うのですね。そういう意味でもこの受賞は喜ばしいことやと思うのです。