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赤塚不二夫の死 [追悼]

 希代のギャグ漫画家赤塚不二夫さんの訃報に接する。死因は肺炎。享年72。
 私が幼少期に形成していった嗜好や発想などに大きな影響を与えた人が、ついになくなってしもうた。
 小学校低学年の頃、私の勉強ノートや教科書にはぎっしりと「もーれつア太郎」の登場人物の落書きが描かれていた。ニャロメ、ケムンパス、ベシ、ココロのボスなどなど。親戚の家では毎週「少年サンデー」をとってはった。そこに遊びに行くと、私はむさぼるように「ア太郎」と「どろろ」(手塚治虫)を読んだもんです。
 ナンセンスのセンス、キャラクターのインパクト。他の漫画家の「ゆかいまんが」では読まれへん真正の「ギャグ漫画」やった。
 赤塚漫画で私の好きなキャラクターに「イラ公」という猫がいる。「レッツラ・ゴン」に登場していたと思うけれど、常にじっとしてイライライライラしてる。登場人物たちはイラ公にさわらないようにしているんやけれど、熊の「ベラマッチャ」あたりが別の失敗のせいでついさわってしまう。たまったイライラを一気に晴らすように、イラ公はあたりのものすべてを破壊しつくす。こんなキャラクター、少年漫画にはそれまでいてなんだ。「おフランスざんす」「そうダヨーン」「デカパンだす」「ハタ坊だじょー」「オレとケッコンしてくれニャロメ」「ケムンパスでやんす」「夜は寝るべし」「それはないのココロ」てなぐあいに、キャラクターが特定の言葉を必ず語尾につけてその個性を際立たせるようにする手法を完成させたのも赤塚さんやろう。
 「天才バカボン」のことやとか、ピストルのおまわりさんのことやとか、とにかく書きはじめたらとまらんけれど、今日はここでやめとこう。
 手塚さんが漫画の神様、石ノ森さんが漫画の王様。ほな赤塚さんはなんやったのか。漫画の革命家、漫画のアナーキスト、漫画の天才……どれもしっくりこないね。赤塚不二夫は赤塚不二夫でしかない。漫画の赤塚不二夫、ちゅうのはどうですか。あかんか。
 謹んで哀悼の意を表します。

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