戦力外という響き [プロ野球]

阪神タイガースが来季の戦力外となった選手の第一陣を発表した。その中には一時は先発ローテーションにも入ったことのある中村泰広投手(写真上)や、15歳でドラフト指名され「ワンダーボーイ」と命名された辻本賢人投手(写真下)が含まれている。どちらも故障がちで戦力として多くは望めず、今季は「育成枠」という一軍に上がることのでけへん選手として登録されていた。

新しく選手をドラフトで獲得するためには、これ以上多くを望めんという選手の首は切っていかんならん。それがプロというもの。「無事これ名馬」という言葉やないけれど、故障に強いというのも一流選手になる条件のひとつやから、中村も辻本も、それが欠けていたということになる。
中村は自ら現役引退を表明している。年齢も30歳と、転身するならここが限度というラインでもあるし、まあいうたらプロとして一軍のマウンドにも上がり勝ち星も記録し甲子園で大観衆の前でヒーローインタビューを受けたこともある。こちらも「惜しかったなあ、もうちょっとで一軍定着できる選手やったのになあ」と労をねぎらうこともできる。
問題は辻本で、いうたらタイガースは大きな実験というか賭けというか、いちかばちかで指名したけれど、将来性という点では年齢が若い分だけ高校出の選手よりも賭けてみる値打ちありと思うたんやろうね。それでも結局同級生が入団してきた時に、先にプロ入りしていただけの力の差をつけることがでけなんだわけで、賭けは失敗したということになるのか。こういう選手には一度でええから甲子園のマウンドを、一軍選手として踏ませてやりたかったなあと思うのですね。

二軍の試合とはいえ引退セレモニーをしてもらえた秀太内野手(写真上)なんか若手のホープとして期待され、引退する時も胴上げまでしてもろうた。そういう意味では秀太は幸せな選手人生やったと思うで。
ドラフトまでに、まだまだ「戦力外」を通告される選手はあがってくるやろう。寂しい響きやけれど、愛するタイガースの一員やったということを、どんな選手であれ忘れんようにしておきたいものです。