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井上ひさしの死 [追悼]

 作家、井上ひさしさんの訃報 に接する。享年75。死因は肺癌。
 「ひょっこりひょうたん島」「ネコジャラ市の11人」といった人形劇が私のファースト・コンタクトやったと思う。「井上ひさし・山元護久」という名前をオープニング・タイトルで見つけた時、「このお話は面白そう」と子どもながら思うたもので、その期待はまず裏切られなんだ。あのころ、このコンビは子ども向きのアニメの作詞も多く手がけてはったから、よけい目についたんかな。
 小説で初めて読んだのは「ブンとフン」やったと思う。「親に見られてはいけないからここは糊で貼りつけてしまいましょう」とページの端に糊代をわざわざつけたりという遊び心が大好きな本やったなあ。「モッキンポット師」シリーズも何度も読み返した。ユーモア、ギャグというものを活字で示すのはものすごく難しいことやと思うけれど、なんと巧みに表現したことか。筒井康隆、小林信彦、そして井上ひさし。活字における「笑い」を開拓していった先駆者というても言い過ぎにはならんやろう。
 コメ問題などにも一過言ある方やった。さらに、言葉に対する真摯な姿勢も忘れられん。「週刊朝日」に連載されていた「日本語相談」の秀逸な回答は、私にとっては文章というものに対する指針のひとつになっていた。
 偉大な存在やけれど、尊大ぶらないところがすばらしかったと思う。また得難く代わりのいない書き手が1人いなくなった。
 謹んで哀悼の意を表します。

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