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マリラの視点 [テレビアニメ]

 先週末でサンテレビの「赤毛のアン」再放送が最終回を迎えた。改めて見直すと若いころには見えなんだものが多く見えてきてほんまに面白かった。
 高畑勲リアリズムの極致という作品であるというのは言うまでもないことなんやけれど、この話、アンを育てることになったマリラ・カスバートの視点から描かれてるんやないかと思われることが多々あり、これは若いころには全くわからなんだことですわ。
 孤児院から間違えて連れてこられたわけのわからんことをのべつ幕なしにしゃべるしつけも受けていない女の子を育てるということが、彼女の人生をいかに大きく変えたか。子どもが育つということはどういうことなのか。常に突拍子もないことばかりしていた女の子が、気がつけば分別と教養を身につけた娘になっていた時に感じたマリラの寂寥感の描き方の素晴らしさ。
 しかもその演出に応え得る作画のていねいさ。これまたテレビアニメがなし得た最高のレベルのものやないかと思う。
 ただ、これは宮崎駿の指向していたアニメの極致とは別なもので、宮崎さんが途中で「ルパン三世 カリオストロの城」を作るためにスタッフから抜けたのもわかる。「カリ城」はこれまた日本アニメ史上特筆すべき作品で、こちらは宮崎アクションの極致というべき作品やからね。
 というわけで、私は実は原作の翻訳をちゃんときっちり読んだことがなかったので、これを機に第1巻だけでも読んでみようと思い、松本侑子訳の集英社文庫を購入。詳細な訳注にひかれて買うたんやけれど、古くから親しまれている村岡花子訳のくせのある文章と違い、すっと頭に入ってくる感じの読みやすい訳文で、アニメの場面と照らし合わせながら現在読み進めている。
 サンテレビは次週から「ニルスのふしぎな旅」を放送。こちらは確かによくできた作品ではあるけれど、KBS京都放送の「家なき子」や「たのしいムーミン一家」をHDにためこんでいるから、「ニルス」はパス! でもまだ見てへん人にはお勧めですな。

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