後藤クマさん [プロ野球]

今日のサンテレビのタイガースの中継を見ていたら、懐かしい顔と声が!
後藤次男さんがあの黒い復刻ユニフォームを着て座ってはるやないか。御年86歳。今回復刻された終戦直後の黒ユニフォームを当時実際に着ていた選手で、唯一お達者なのやそうです。
そんな時代にお前は生まれてへんやろう、とツッコまれそうですが、私が懐かしいと書くのはその時代のことではありません。私が小中学生のころ、サンテレビ(私が見ていたのは京都テレビにネットされていたものですが)の解説というたらこの後藤さんだけやったのです。愛称は「クマさん」。熊本出身なのと見た目とでそういう愛称がついたというのは「阪神サムライ物語」(近藤唯之)に書いてあった。
西沢アナウンサーが「今のバッティングはどうだったでしょうか」ときくと「そうですねぇー」と相槌を打ってから、熊本なまりの抜けない口調でゆったりまったりと説明してはりましたな。1978年にタイガースの監督に就任しはった時に鎌田実さんが解説陣に加わり、それでも監督から復帰した後も1985年ごろくらいまでは放送席に座ってはった。
私のタイガースファン初期から親しんでいたあの「クマさん」の解説が黒いユニフォームとともに一夜だけでも復活した! なんか感慨深いものがありますよ。「別当や、土井垣や……」と、今や伝説となった人たちの名前を親しげに語るクマさん。監督時代の外人選手について問われたら、「カークランドはね」と、これまたほんまに懐かしい選手の名前を口にするクマさん。今や数少ない生き証人ですよ。
サンテレビのレギュラー解説者の最長老である小山正明さんですら「このユニフォームは西宮球場で試合を見た時に着ていて、あこがれたもんです」と、観客としての思い出しか言われへんだもんなあ。それをやね、「今は生地が丈夫ですからね。あのころはちょっと滑り込んだらすぐに敗れて」と昨日のことのように語ってはる。
いやいやそれだけやないです。鳥谷や新井の打撃の好調さについて、的確に解説しているのを聞くと、明日からでも解説者として現場復帰できそうなくらい達者なものでありました。
5回の裏にグランド整備している時に「クマさんのトラ情報」と題して田淵や藤田平について語ってはったあのころ。私は「これは”情報”とはいわんやろ」と首をかしげつつその話に耳を傾けていたものです。
子どもの時分からのタイガースファンとして、サンテレビの中継で野球を覚えていった者として、今日のナイター中継はほんまに嬉しい放送やったのでありました。これで試合に勝ってたら、とは言うたらあかんよ。