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殺人鬼にまつわる備忘録 [SF]

 いつもの日曜よりも少しばかりゆっくり目に起床。それだけ疲れていたのですね。毎週土曜の朝に見ている深夜アニメの録画を優先的に見、「仮面ライダー」「戦隊」を見てから出かける。今日は「たちよみの会」例会。出勤した翌日に例会に行くのはなんか変な感じですね。休日出勤というのは、1日だけでも生活リズムを狂わすということになるわけやからね。
 今日の例会には古参会員Y氏が顔を出してくれた。仕事があるというのに、ありがたいことです。タイガースについて意見交換をしたりする。もう何の会やらわからんようになってきた。例会終了後、「丸善」で文庫、新書を何冊か買う。アイリッシュの復刊が出ていたのがありがたかった。創元さん、ありがとう。来月にはもう一冊アイリッシュの復刊がある。アイリッシュ、来てるのかな?
 帰宅して妻と何本か録画した深夜アニメを見る。続けて見ると疲れるものです。パソコンを立ち上げて書きものなどしはじめたら、少しうとうと。明日はしっかり午睡したい。ものかき関係の仕事も締め切りまでになんとかなりそうやしね。
 小林泰三「殺人鬼にまつわる備忘録」(幻冬舎文庫)読了。「記憶破断者」の文庫化に当たりタイトルを変更。このタイトルの方が内容には合うてるかな。主人公の田村二吉は「前向性健忘症」という特殊な病気で、短期記憶が数十分しかもたなく、すぐにあらゆることを忘れてしまう。そのため、忘れてはならんことはすべてノートに記入している。そして忘れたらいちいちノートを読み返すのですね。で、雲英(きら)という超能力者が登場する。人に触れて指示を出すと、記憶が上書きされ偽の記憶を植えつけさせることができるという能力。小林さんは超能力者にいじめられたことがあるのか願望があるのか知らんけれど、こういう能力のある人物は性格の破綻した幼稚な異常者として登場させることが多いのですね。雲英も窃盗、痴漢から殺人までやって、そばにいる人間の記憶を改変し、逃げるというひどい奴。この記憶改変者と短期記憶喪失者が遭遇したらどうなるか、というのが本作の読みどころ。ノートをたよりに必死で殺人鬼に立ち向かう主人公の作戦が成功するかどうなのか。人の記憶の不確かさというものを絶妙に扱い、スリル満点のミステリに仕立て上げていて、一気に読んでしもうた。タイトルが変わってるんで単行本「記憶破断者」をお持ちの方は間違えて買わんようお気をつけください。改題してることを裏表紙の内容紹介文や帯に明記しておくべきでしょうね、担当編集者さん。

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衛生チェック係 [教育]

 今日はお山の学校の文化祭。学校のあたりは小雨が降っていて驚いた。屋外の催し物には影響はほとんどなかったけれど、やはり山を切り開いてこしらえた学校やねんなあと改めて思う。
 今日の私のお仕事は、模擬店の衛生チェック。調理場所に入る生徒たちがちゃんとエプロンと三角巾を着用できるか、爪はのびてへんか、体調は整うているかなど、ペアになった先生といっしょに一人一人見ていく。けっこう手間のかかる段取りなんやけれど、これをおこたってはいかんのです。食中毒など起こらんように、保険所の指示の通りにチェックせんならんのです。私が前任校に転勤した17年前は、かなりそこらあたりルールもゆるかったんやけれど、年を追うごとに厳格になってきますねえ。
 その他、校内の巡回など、今年も縁の下の力持ち的な役割。仕事そのものはそれほどきついものやなかったけれど、休日出勤はやはりこたえるね。土曜の午睡が出けへんのやもの。
 特に故障なく文化祭は終了。後片付けの手伝いなどをする。
 帰宅後は録画がたまっていた朝ドラ「まんぷく」を見たりして過ごす。
 吉田裕「日本軍兵士――アジア・太平洋戦争の現実」(中公新書)読了。第二次大戦末期の、戦地の兵士の様子を膨大な文献を整理して提示していく。いやもう特攻よりもひどい。戦争末期は戦死者よりも病死者や戦場に耐えきれず自殺したりした者の方が断然多いのですね。現地の惨状を見ようともせず「最後の一人になるまで戦いきる」などと上層部は言うてたんやからなあ。とにかく人の命を粗末にする軍隊やったんやと再確認。民間人を挑発しろくな訓練も受けさせず戦場に投入し、マラリア、結核、餓死などで次々と兵隊が死んでいく。これを美化してはいかんという著者の意見に強く共感した次第。

 明日、10月21日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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さいはての島へ [SF]

 お山の学校の文化祭を明日に控え、今日は準備日。私は担任があるわけでなし、だしものを企画しているわけでなし。というわけで、保健委員会の展示のお手伝いを少しと、ゴミ捨て場の立ち番が2回あっただけ。後は仕事部屋にこもって授業準備やの事務作業やのをたっぷりと。本番の明日もそんな感じで終わりそう。
 ゴミ捨て場の立ち番をしていたら、生徒は来なかったけれどカラスと蚊はよう来た。季節はずれの蚊にかまれ、かゆかった。仕事部屋に戻ってからメンソレータムを塗る。メンソレはすごいよ。かゆみが止まるよ。かゆみ止めをわざわざ買わんでもええよ。万能薬とは言わんけれど、擦り傷切り傷だけやないのです。
 定時に退散。バスに乗っていたら、運転手さんが電車が人身事故の影響で運行を中止していることを告げる。大回りになるけれど、別の路線までそのままバスに乗り続けてもよかったんやけれど、「このバスは振り替え輸送の対象ではありません」などと言うもんやから、とりあえずいつもの駅で降りる。駅の外で一服つけたり、改札が開いたので早めに電車に乗ってずっと座って発車を待ったり。いつも乗る電車より50分ほど遅れる形でなんとか発車。ただ、途中の駅で停車したまま待ってたり、私の降りる駅の手前で「信号待ち」でかなり長いこと停止したり。1時間くらい遅れて帰宅。
 仕事はあまり疲れなんだけれど、帰宅するのに気疲れしてしもうた。帰宅してからはプロ野球CSの中継をちらちらと見たり、サンテレビ「熱血!タイガース党」を見たり。セ・リーグはカープがしごく当然のように3連勝して日本シリーズ進出。まあ5割を切った3位のチームが独走した優勝チームにかなわんのは当たり前で、順当な結果になってよかった。パ・リーグはホークスが勝ってタイとする。こちらはシーズン終わりまで優勝争いをしていた相手やから、それくらい拮抗した勝負になってもおかしくないか。
 アーシュラ・K・ル=グウィン/清水真砂子・訳「さいはての島へ ゲド戦記3」(岩波少年文庫)読了。前半の三部作完結編。大賢者となったゲドが若い王子とともに黄泉の国まで旅をする。スタジオジブリ製作のアニメの原作にもなっている巻やけれど、やはり単発で1作だけアニメ化というのは原作者に失礼であるよな。
 とにかく重苦しい。死線を超えるという経験をする若者が、その尋常ならざる試練を切り抜ける物語ですね。「言葉」「名前」がキーワード。正しく発せられる言葉のみが世界を動かすというのが作者の言いたいことなのかなと感じた次第。そして、時を置いて書かれた後半に物語は続くのであります。

 10月21日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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偽ハッカー [日常生活]

 お山の学校では、土曜日の文化祭に向け、今日は午後から一斉に準備。私は授業の空き時間と放課後の時間を使い、漫研の部誌の印刷をする。両面刷りをしてほしいとのことなので、まず片面だけ午前中に刷り、ある程度乾くまで置いておいてもう片面を刷る。そうせんとリソグラフのドラムに巻きついてしまう。学校の限られた設備でいろいろと工夫しているのです。
 午後は保健室のお手伝いで、校舎の窓ガラスの外側にはった蜘蛛の巣掃除。長い柄につけかえたほうきで払っていく。産卵中のカマキリを発見。これは払う気にはならなんだ。蜘蛛のいてへん蜘蛛の巣は抵抗なくほうきで排除できるんやけれど、新たな命を生み出している最中の生き物を駆除することには抵抗があるのです。
 蜘蛛の巣払いに印刷屋のおっさん。教員というのは授業だけが仕事やないのです。
 印刷屋のおっさんが終わったら、臨時の会議の司会。少しは休ませてくれよ。

 ここ数日、英語と翻訳ソフトでへんちくりんな日本語に直されたスパムメールが毎日届く。なんでも私のメールアドレスをハッキングしたんやそうです。私が揺れている様子がカメラを通じてわかるんやそうです。私のメーラーに保存されている受信相手に一斉になんか送信したそうです。それが嫌ならビットコインで500ドル支払えというのです。ほんまにハッキングしたんやったら、本人に知らせたりするもんか。本人の知らんところで別人になりすまして悪用するのやないですか。私はホームページでアドレスを公開しているから、スパムメールはようけ送られてくる。これもその手と同じようなものやろうね。
 しかしまあその「ハッカー」の使うている翻訳ソフトのお粗末なこと。腕のいいハッカーがこんなけったいな翻訳しかでけん信頼度の低いソフトを使うかね。
 それでもだまされて500ドルを払う人、いてるんかなあ。

 10月21日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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優勝の価値 [プロ野球]

 今日は風薬が効いたか鼻の調子はまずまず。授業準備やなんやかやであわただしく一日が過ぎていって、定時で退散。
 帰宅して妻と録画したアニメを少し見る。夕食後、パソコンを立ち上げてものかき関係のお仕事。疲れが出たか少し居眠り。思うたほど仕事は進まず。明日はちょっと気合を入れんならんなあ。
 ちらっとテレビでプロ野球クライマックス・シリーズを見る。セ・リーグはカープが順当に勝ち、パ・リーグはホークスが勢いに乗ってライオンズを下す。
 これまでも書いてきたように、私は日本シリーズは両リーグの優勝チームが対戦するのがおもしろく、望ましいと思うている。そやから今年はカープとライオンズを応援している。
 ただ、2位と3位が対戦するファーストステージの終了時のスポーツ紙の取り上げ方を見ると、どうも「下克上」を望む一定の層がいてるのか、ファイナルステージで下位チームが優勝チームを破ることを期待しているような記事が並んでいたりする。まあ、勝ち上がったチームの担当記者が書く記事やから、感情移入もあってそうなるんやろうけれど。でもねえ、違和感は残るねえ。ファーストステージの間、優勝チームはまるで存在しなかったみたい。まあ、明日の朝の新聞ではさすがカープは強いという論調の紙面になっているんやろうけどね。ただもうこのシリーズのおかげで優勝の値打ちが軽くなってしもうたなあと感じるばかり。
 ライオンズは、ホークスからプロ入りして1勝しかしてへん菊池を初戦にぶつけたのが失敗やったかもね。初戦はエースにという辻監督の信念があったんやろうけれど、とりあえずこのシリーズを勝ち抜くための戦略としてはホークスが苦手としている投手を出して出鼻をくじくという作戦もありやったかも。とにかく明日からがんばれライオンズ。

 10月21日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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尿意で寝不足 [日常生活]

 朝、昨夜録画した「ゴールデンカムイ」などを見てから出勤。体が夏用の代謝のまま秋に突入しているので、明け方になると尿意で早く目が覚める。厚手の寝間着を着たりするなどの対策が必要やなあ。尿意のせいで寝不足になるというのは考えものです。
 今日も授業がぱんぱんにつまっているので事務作業が進まず。私の仕事は事務作業が中心になってきているんで、だんだん授業やその準備がおろそかになりつつある。本末転倒ですな。
 夏用の代謝のままなんで、通勤時に歩いて体がぬくもると、すぐに汗が出る。気温は低くなってるから、その汗がすぐに冷える。授業をしていると汗をかく。仕事部屋はだんだん底冷えするようになってきているんで、じきに汗はひくけれど、体も冷える。
 そんな具合でありまして、今日の放課後はくしゃみ鼻水鼻づまりに苦しめられる。すぐにでも風邪薬をのみたいけれど、手元にないからそのまま定時に退散。帰宅して体温を計ると、平熱よりも低いくらい。汗が冷えて体温を持っていかれたか。夕食後、風邪薬を服用。眠うてたまらんようになり、仮眠。薬も効いたかちょっと楽になる。
 起きてパソコンを立ち上げ、ものかき関連のお仕事。ちょっとペースをあげていかんと締め切りに間に合わんぞ、これ。
 明日は職場に改源を持っていき、しんどいなあと思うたらのめるようにしよう。
 今年の猛暑を思い出す。今はだいたい平年並み。そやけど夏が暑かった分、涼しいというより寒いわい。

 10月21日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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府知事の喫煙 [日常生活]

 愛すれどTigers「金本監督辞任、矢野監督へ」を更新しました。

 毎週月曜日と火曜日は授業がぱんぱんにつまっていて、事務作業がでけん。今日はさらに放課後に文化祭の打ち合わせが入り、やっと一息つけたと思うたらもう退勤時間。
 昼に一服つける時間を少しだけ取れたんやけれど、これも職場から少し離れた公園まで行かんならん。お山の学校だけに、坂が急で、一服つけに行くだけで坂を上り下りせんなんから、一息つけに行ってるのか運動しに行ってるのかわかりません。
 ちょっと前、大阪府知事が一服つけるために公用車に乗ったということが話題になっていた。大阪府庁の近くには職員や一般市民が使用する喫煙所があるとか。知事も職員と同じようにそこまで歩いていって一服つけなさいよ、といいたい。
 煙草嫌いの前任者が厳格に「昼休み以外は禁煙」と決めてしもうたおかげで、愛煙家の現知事は難儀しているんやろうけれど、それやったらもっと柔軟に分煙政策を考えたらええのにね。そしたら公用車に乗って一服つけるなんていう姑息な真似をしてひんしゅくをかわんでもええと思うよ。まあ、嫌煙家からは嫌がられるやろうけれど。
 そうか、私らのような下っ端も公用車の中やったらすうてええという新ルールを作ってくださいよ。もっともお山の学校には公用車なんてもんはないけどね。

 10月21日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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アダプタ不調 [日常生活]

 朝から昨日の夜に録画したアニメを見る。6本ほど続けてみたところで眠気が。それから「ライダー」「戦隊」と続けて見て、昼食前にもう1本。ほんまに定年退職までカウントダウンというおっさんが何をしているやら。もっとやらんならんことがあるでしょうに。
 昼食後、午睡。夕刻起きてから妻とまた何本か見る。そうせんと、予約を入れた番組が入らんようになるのです。
 夜、パソコンを立ち上げてかきものなどをはじめる。あらら、コンセントにプラグを差しこんでいるのに、アイコンを見たらバッテリーで動いていることになっている。そしてバッテリー切れ。以前も同じようなことがあって、何度もアダプタのコードを抜き差ししてなんとか復旧したことがあった。今回も抜いては差し、シャットダウンしては立ち上げを繰り返す。思いのほか時間がかかり、日記の更新など余裕でできるはずがえらく遅れてしもうた。
 そのせいもあり、ものかき関係のお仕事、ほとんどすすまず。タイガースの試合がなくなって時間に余裕ができたと思うたのに、思わんところで時間を食うてしもうたなあ。
 というわけで、HDDレコーダの残容量を増やすのと疲れをとるだけの1日でした。中身のない日記ですみません。

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雪の夜明け [読書全般]

 今日は月例の京都の医者行き。いつもより少し早目に出立したら、電車の乗り継ぎもよく、予約時間よりもかなり早めに到着。待合の患者さんの人数も少なくすぐに私の名が呼ばれ、帰路の乗り継ぎもよく、思うてたのより早く帰宅できた。
 今日はタイガースの今季最終戦。2時試合開始やから、帰りの電車の中でスマホで試合を見ながら帰ることになるかなと思うていたけれど、帰宅して試合開始直後のところだけスマホでつまみ見をして、あとはMBSラジオで聞く。ええところだけスマホで映像を見るというやり方で、パケット料金を節約。延長戦の末、金本監督最後の試合を勝利で飾った。それに今日の深夜のABC「虎バン」でダイジェストはたっぷり見せてくれるやろうしね。
 試合終了後は妻と録画したアニメを何本か見る。夕食後も引き続きテレビに向かう夫婦でした。なんというか、仲のええことで。
 岡篠名桜「雪の夜明け 浪花ふらふら謎草紙」(集英社文庫)読了。シリーズ3巻目。主人公さとを捨てた父親についての手がかりが見つかる。それに付随して起こる事件は解決するんやけれど、肝心の父親についてはほとんどわからない。ここらあたり、著者も書き慣れてきたのか、読者をうまくひきつけるテクニックがだんだんうまくなってきている感じがするね。本巻から登場する「御隠居さん」もまた、さとにかなり興味を抱いているようで、おもしろい存在になりそう。全5巻の半ばを折り返し、さとのキャラクターもかっちりしてきたけれど、1話ずつは面白くてもどういうところでけりをつけようとしているのか見えにくいのはシリーズとしては少し弱いかなという気もする。どういう形でかんけつするのか、楽しみなような不安なような。

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不死身の特攻兵 [読書全般]

 今日は午後から人権教育交流会に出席。会場はあの北野高校。手塚治虫先生の母校である、伝統校であります。交流会は同窓会の会館で行われたんやけれど、なんですねえ、金かかった建物ですねえ。これくらいの伝統校ともなるとOBもビッグネームが多く寄付とかで資金が集まるのやろうな。校舎には入ってへんから、お山の学校との比較はでけへんけれど、設備もきっとええんやろうねえ。ゼロサム先生もここに通うていたんか。いろいろと思うところあり。
 交流会では中学校や小学校、支援学校の先生と話をすることができていろいろと勉強になった。やはり引きこもって仕事をしていてはいかんですよ。
 鴻上尚史「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」(講談社現代新書)読了。特攻本まとめ読みも3冊目。本書では陸軍特攻隊の一番手として出撃し、9回出撃して9回生還したという佐々木友次さんを中心に、現場の練達の飛行士たちが特攻についてどう考えていたかを明らかにしている。佐々木さんは最初の出撃では爆弾を落として帰還している。その方が飛行士の技術と貴重な戦闘機を無駄になくさずにすむからなんやけれど、上官はヒステリックに死んでこいと何度も出撃を命じる。エンジントラブルで飛行そのものができなくなったり、途中で不時着したりを繰り返し、佐々木さんは生き残る。故郷では2度、戦死したと連絡が行き、その度に葬式を出している。新聞は「軍神」とほめたたえる記事をでかでかと載せる。終戦直前になると、上官は自ら佐々木さんを殺そうとしていたというから恐ろしい。「軍神」として天皇に奏上したのに、生き残られると困るのである。「戦死」したはずなのに、実は上官に成敗されてたなんて、あんまりな死に方やないか。
 著者は幸運にも生前の佐々木さんにインタビューすることができ、貴重な証言を残してくれた。なぜ生きのびたかという著者の質問に「寿命があったから」と答える佐々木さん。同じ条件で死んだ戦友たちが数多くいる中で、自分は何度も出撃したというのに死ぬことができなんだ。何か人知を超えた力が自分を生かしたと思うても不思議やない。人にはそれぞれ「寿命」が決まっていて、戦友たちのそれは20年ちょっと、そして自分のそれは80年を超えるものやった、と。何度も死線をくぐりぬけて生き残ってしもうた人にしかわからん境地があるんやろうなあ。
 多くの資料をもとに「特攻の真実」を残そうとする著者の熱い思いがひしひしと伝わる一冊でした。

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