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 [読書全般]

 早朝はまだ雨が残っていたので、傘を持っていくけれど、お山の学校の近辺もほとんどあがりかけていて使う場面はなし。なんというのか、こういう時の傘というのは荷物に感じるのだなあ。
 本日もスローペースで事務作業。昨晩鼻の調子が悪く鼻に空気を送りこんでも刺激でかえって目が覚めて熟睡できず、少々寝不足気味。土日は快眠できたのにねえ。出勤せんならんと思うとストレスで具合が悪くなるのかしらん。
 定時で退散しようと思うたら、来年度の1年の学年主任さんが仕事部屋にきて生徒指導に関する相談などをしてきたので、30分ほど残業しました。
 帰宅後、録画で相撲を見る。今日は栃ノ心が妙義龍に一方的に敗れて1敗。まだ怪我の影響で強く押されると踏ん張り切れんみたいやなあ。なんとかカド番だけでも脱出してほしいんやけれどね。
 F・W・クロフツ/霜島義明・訳「樽」(創元推理文庫)読了。古典ミステリを集中して読みたくなってきたので、まずは「毒入りチョコレート事件」を読み、次は「樽」に挑戦。実は30年くらい前に一度人に借りて読んだんやけれど、その時はなんかだらだらした話やなあと思いながら読んだので、あまり印象に残ってなんだ。で、今回新訳版で読み直したら、2段階の構造になっていて緻密なアリバイをこつこつと集めた証言で崩していくというあたりがけっこう楽しめた。ロンドンに届いた樽の中から女性の死体が発見される。容疑者は2人。スコットランドヤードの刑事とパリ警察の刑事が第一の容疑者のアリバイを崩し、これに対し第一の容疑者の弁護士が雇った探偵が第二の容疑者のアリバイ崩しに挑戦する。鍵になるのは「樽」の輸送経路。パリから出荷された時は彫像が入っていたのに、ロンドンでは死体が発見された。どこで入れ替えが行われたか、これが特定できんとアリバイも崩せん。状況証拠と推理で物証がなかなか得られんというところで両者ともたびたび行き詰る。それでも粘りに粘ってみごとにアリバイを崩していくところにこの小説の醍醐味があるのですね。その構造の緻密さに脱帽。前に読んだ時よりもずっとおもしろく読めたのは歳をとって多少は辛抱強くなったからかな。この調子でどんどん古典ミステリを読破するぞう。

 3月17日(日)は、「たちよみの会」例会です。今月は「フランソア喫茶室」改装工事で閉店のため、四条大橋西側、「東華菜館」となりの「ドトールコーヒー」3Fで行います。お間違いなきように。多数のご参加をお待ちしています。

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R-1ぐらんぷり2019 [演芸]

 今日も完全休養日。午前中はテレビを友として過ごす。昼食後、午睡。
 夕刻、大相撲春場所初日の模様を録画で見る。序二段で元大関照ノ富士が復帰。はたきこみで再起への勝利をあげていた。さすがに力が落ちたとはいえ序二段まで落ちたら相撲のテクニックが違うなあ。今年は10日目に行く予定をしているんやけれど、ぜひその日に取組があってほしい。取的の相撲は7番しかないので、目当ての力士の取り組みがない場合もあるのですね。上位では鶴竜が御嶽海に負けたけれど、御嶽海は場所前まともに稽古ができてへん力士とは思えんなあ。一番勝負の強さの真骨頂ですね。
 続いてプロ野球オープン戦、タイガース対ジャイアンツの試合をこれも録画で見る。FA移籍の西が好投。若手の馬場も2失点ならば上できやと思うけれど、なにしろ打つ方が、ねえ。誰でもええから一発ぶちこんでよ。
 追っかけ再生で「R-1ぐらんぷり2019」を見る。優勝は霜降り明星・粗品。最終決勝に進んだのはほかにセルライトスパ・大須賀だーりんず・松本りんす。みんなコンビの片割ればかり。ピン芸人よしっかりせよといいたいけれど、実はBブロックのおいでやす小田粗品と同点で、得点を入れた審査員の数が多い方が勝ち抜けというルールで粗品が最終戦進出。私はおいでやす小田の成金がぜいたくな生活になれないで叫ぶという今回のネタはよく練られていて間もよく、少なくとも大須賀よりは上やったと思うているので、この結果には納得でけん。Bブロックではマツモトクラブの嘘をつくと犬が吠えるネタも作りこまれていてやはり上位に置いておきたいと感じたので、今のブロック制勝ち抜きのシステムはやはり不公平やと思う。フジテレビはこの形が好きで、「THE MANZAI」でも非常に出来のいいコンビがブロックの壁に阻まれて最終戦進出ならずというのを見てきている。「M-1グランプリ」が盛り上がるのは、全員が同じ土俵で競うからやし、「R-1」はカンテレが中心でやっていたころは一発勝負やった。一番レベルの高いBブロックを勝ち抜いた粗品のフリップ芸が優勝するのは当然やったと思うし、そうやなかったら、おいでやす小田に対して申し訳ない。ただ、今回は視聴者からの得点というのがなくなって、これはよかったと思う。テレビで見ているのとその場で見ているのとでは温度差が絶対出るからね。

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死んでも死にきれない [時事ネタ]

 大相撲小言場所「平成三十一年春場所展望~貴景勝、玉鷲のダブル大関なるか~」 を更新しました。

 今日は完全休養日。1年分の疲れをなんとか春休みで取りたいところなんやけれど、あまり休暇を取れそうにないので、土日の休みはしっかりととっておきたい。
 というわけで、午前中は例によってテレビを友とし、午後は午睡。夕刻起きてきて、録画した番組を少々見たり、夕食後は読書をちょっとばかりしてすごす。「サワコの朝」という対談番組でみやぞんという芸人さんが「疲れる前に休む」と言うてはったけれど、それができたら苦労はしません。
 ついに大阪府知事と大阪市長が任期途中でその座を投げ出して、それぞれ役割をとりかえて再出馬することになったらしい。新聞各紙の社説でも「党利党略」「市民おきざり」とかなり厳しい批判を浴びている。自民党幹事長に「思いあがっている」と言われて府知事は「そちらこそ思いあがっている」と言い返していたけれど、どっちもどっちですねえ。まあ、老獪さでは自民幹事長の方が数段上ですからね。
 大阪市長は「死んでも死にきれない」と言うてはるけれど、「死ぬ」なんて言葉を軽々しく使うてほしくないなあ。ゼロサム先生やないけれど、「選挙では負けても死なない」んやから。私も軽々しく「死ぬ」なんて口にしたくないので、「地獄少女」の閻魔あいちゃんに決め台詞を言うてもらいましょうか。
「いっぺん、死んでみる?」
 あいちゃんに地獄に流してもらわんと、「死ぬ」なんてことをかんたんに口にはでけんのやなかろうか。

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天狗倶楽部 [読書全般]

 今日は好天。午前中はパソコンに向かい、今年度作成した文書の整理など。午後からは先週土曜の休日出勤の振り替えをとっていたので、午後1時ごろ退散。もう少し早目に退散するつもりやったけれど、転学する生徒の奨学金に関する手続きについて担任の先生からたずねられたりしていて、出るのが遅くなった。退散したあとも無人のぼっち部屋にそういう連絡がちょこちょこと入っていたのかもなあ。
 帰宅してすぐに午睡。とにかく休みたかったのです。夕刻起きてきて、妻と先週録画した「刑事コロンボ パイルD-3の壁」を見る。私も大好きな作品で、妻は初見とのこと。きっちりと作りこんでおり見ごたえがあった。監督はピーター・フォーク自身。高視聴率のごほうびやそうで、あちらのテレビドラマではよくあることみたい。妻によると「コンバット」でビック・モローが何本かごほうび監督をしているそうな。もっともモロー監督は自分ばかり強調した演出でほめられたものやなかったんやて。それに比べると、フォーク監督はそう思って振り返るとコロンボの長回しが目立つシーンがあったりもしたけれど、見ている時には何の違和感もなかったというからたいしたものです。
 横田順彌「快絶壮遊[天狗倶楽部] 明治バンカラ交友録」(ハヤカワ文庫JA)読了。江戸東京博物館での講演をベースに大幅に加筆してまとめたもので、明治時代の文人やスポーツ選手たちの楽しいエピソードが満載。講演がもとなので、「天狗倶楽部」について知らない人にもわかるように書かれている。「教科書に載っていない」といいながら、教科書に書かれていることを恣意的に解釈したようなものがけっこうあるけれど、これこそ教科書どころか大学教授あたりが書く新書などにも載っていないエピソード満載。明治時代には現代では考えられんほど思い切ったことをする人がいたんやなあと感心させられる。司馬遼太郎の描く「明治」とはまるで違う世界がここにある。大河ドラマ「いだてん」のおかげで「天狗倶楽部」の知名度も上がることやろうし、そこに便乗しての文庫化でもあるんやろうけれど、こういう文庫化ならぜひぜひ他社もやっていただきたい。もっとも今の「いだてん」の視聴率やとそんなに便乗企画はないかもしれんなあ。北原尚彦さんの解説によると、横田さんは「いだてん」に企画段階から協力、資料提供などもしてははったらしい。「面倒臭くなって途中で手を引いちゃった」らしいけれど、そんなことせんとずっと協力し続けてくれはったら……。横田さんの明治本はまだまだたくさんあるんで、ぜひ他社でもどんどん文庫化し、まさに「教科書に載ってないし、司馬遼太郎も書けなかった」明治を多くの人に知ってほしいと思いながら読んだのでありました。

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福家警部補の報告 [読書全般]

 今日は会議日。午前中いっぱい会議あれこれ。午後からは事務作業。転学した生徒に奨学金関連の書類を送付したりする。外は降ったりやんだり。仕事部屋は日照がないとぐっと冷えこむ。くしゃみの連発ですわ。ストーブをつけてもなかなか温もらん。早くおうちに帰りたい。というわけで、定時に退散。帰宅後、「まんぷく」などを見る。「プロジェクトX」で出てきたあの人が、この役者さんやねんな、なんて思いながら見る。やらしい見方やなあ。
 夜のニュースでいよいよ大阪府知事と大阪市長が辞職してそれぞれ立場を入れ替えて立候補すると報道されていた。公明党を敵にまわしたので、前回自分たちに投じられた票のうち公明党支持者の分が減って対抗馬にまわるということになるのに、当選を前提にしているのが不思議。その自信はどこからくるのか。しんぞう総理がバックについていると思うているのかな。でも自民党の候補がいてるのに維新を積極的に応援できるはずもなかろうに。ゼロサム先生もいてへんしなあ。謎ですわ。
 大倉崇裕「福家警部補の報告」(創元推理文庫)読了。シリーズ第3巻。3編を収録。「禁断の筋書」は前巻までと変わらん感じなんやけれど、2本目の「少女の沈黙」からちょっと雰囲気が変わってきた。解散した暴力団の組員をもう一度集めて出入りをしようとする先代の息子を、なんとかやめさせようとする先代の腹心が腹をくくって殺害する。暴力団担当の巡査部長が福家警部補の捜査の邪魔になったり、何を考えているかわからない福家警部補がちらりと人情を垣間見せたり。コロンボやと「別れのワイン」あたりと通じるものがあるのかな。そして3本目に至っては悪人に制裁を加えるために殺人を行う老夫婦が犯人なんやけれど、好敵手という感じになっていく。これはコロンボにも古畑にもなかったパターンやね。作者がリスペクトする先行作品とはまた少し違う独自の展開を模索しようという意図が感じられる。福家のキャラクターもかなり固まってきているし、続巻を続けて読みたいところなんやけれど、まだ文庫化されてへんのですね。どうせなら文庫でそろえたいので、それまで待つことにしよう。第4巻なんかそろそろ文庫化されてもおかしくない時期やから、そう長く待つことはないかもしれんなあ。

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黒衣の花嫁 [読書全般]

 今日は事務作業をしようとすると1年の担任クラスの先生方が入れ替わり立ち替わりやってきて、転退学の生徒の奨学金に関する届け出を持ってくるので、その対応に追われて一日が過ぎる。朝は曇天、午後から雨天。置き傘をさしつつ帰宅。花粉のせいか気温差のせいかくしゃみがよく出る。目がかゆいから花粉かなあ。内科の先生に相談すべきか。鬱々として気が晴れず。
 コーネル・ウールリッチ/稲葉明雄・訳「黒衣の花嫁」(ハヤカワミステリ文庫)読了。先月、京都の丸善で見つけて購入。ウールリッチはアイリッシュの別名義というか、本名。創元推理文庫はアイリッシュで統一するみたいやけれど、ハヤカワミステリ文庫は律義に発表された時の名義で復刊するみたい。帯は丸善・ジュンク堂のオリジナルなので、丸善・ジュンク堂のみの復刊なのかな。一見無関係に見える男が次々と殺害されていく。犯人は謎の女。物語はその謎の女が男たちを殺していく様子を連作のようにそれぞれ描いていく。女はなぜ男たちを殺し続けているのか。最後の一人と対峙した時に、謎は一気にあかされていく。倒叙推理、ではないのですね。殺人鬼と化した女性と無警戒に殺されていく男たちを描きながら、一方で事件を追う警察官の動きもはさみ、両者が少しずつ近づいていくのをドキドキしながら読み進めていくサスペンスものです。作者が一番乗りに乗っている時の作品だけに、とにかくぐいぐいと読ませてくれる。さすがはアイリッシュ。こんなにおもしろいのになんで再版されてないものがまだまだあるのか。クリスティなんか文庫全集が出ていて切らされることがないのに。私は何冊かクリスティの代表作も読んではいるけれど、そこまで熱狂的なファンがたくさんいるのかちょっとわかりかねるところがある。アイリッシュは本格ミステリやないけれどドキドキワクワクという部分では数段上なんやけれどなあ。最近ぼちぼちと復刊点数が増えつつあるので、今後に期待しましょう。
 ところで、昔まだ私が子どものころにテレビの「洋画劇場」で見た映画で、ある女性と付き合い始めるとその男性は大成功するのに、結婚したら不慮の死を次々と遂げるという映画があった。「黒衣の花嫁」とは筋が違うけれど、その女性の黒いドレス姿が印象的やったんで、今でも覚えてている。ところが、タイトルをまったく覚えてへんのです。主演女優の名前も記憶してへんし。できたらもういっぺん見たいんやけれど、どなたか心当たりのある方、ご教示願えれば幸いです。キーワードをあれこれ変えて検索したけれど、わからんのです。少なくとも1970年代以前に公開された映画やと思います。これだけでは探すのは難しいかなあ。

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山田スミ子の死 [追悼]

 今日は2年生対象に奨学金の説明をする。大学進学希望者と専門学校進学希望者の二手に分かれていて、同じ内容を2回講義。これまでの生徒によくあったミスなどを例にとり、よく保護者と相談するよう強調。いわば借金しろと勧めているようなもんやから、そこのところは「返還することをよう考えなさい」ということをなんべんもくりかえす。担当者としては希望する進路はかなえてほしいけれど、負担が大きくならんようにしてほしいという葛藤はあるのですよ。
 午後からは不要になった書類の廃棄やら校内LANのフォルダの整理など。急に温くなって体が重く、ほんまにマイペースで進める。こういう時、ぼっち部屋やと人目を気にせんでええから気楽ではある。
 帰宅してアニメを何本か見て、夕食後、パソコンに向かう。
 吉本新喜劇のもと女優やった山田スミ子さんの訃報に接する。享年73。死因は大腸癌。先月の12日頃に亡くなってはったという。
 私が中学生くらいのスター女優さんやったなあ。愛嬌のあるべっぴんさんという役どころが多かったけれど、「あっちこっち丁稚」の御寮人さんでは大きな声で店のものを叱りつけると木村明さんが赤褌で登場して舞台中かけまわる、なんてギャグをやってた。
 あの自分の吉本新喜劇というのはとにかく体を張ったえげつない場面が多くて、そういう役どころもできれば、品のある役もできる貴重な喜劇女優さんやった。NHKの朝ドラ(BK製作分)などにもちょくちょく出てはった。確か「カーネーション」で病院のベテラン看護師役をやってはったのが、私がテレビで見た最後やったんと違うかしらん。
 演技力という点でも申し分なく、吉本新喜劇の枠におさめておくにはもったいないと思いながらテレビを見ていた記憶がある。
 近年は親の介護、そして自らの闘病というような事情で表に出ることが少なくなってはったらしい。
 最近の吉本新喜劇はあまり体を張った芝居というものが見られんようになり、ちょっと寂しい。山田スミ子さんの活躍していた時分の吉本新喜劇はがらは悪かったけれど活気があったように思う。その時代を代表する役者さんの一人やった。あの時代の吉本の女優さんでは一番好きやったなあ。
 謹んで哀悼の意を表します。

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墓場の少年 [読書全般]

 朝から雨。低気圧のせいか体が重い。花粉の影響もあるのか、鼻の調子がよろしくない。こういう日は休みたいところやけれど、そうもいかん。スローペースながらこつこつとお仕事をしておりました。午後からは会議。午前中に会議資料をこしらえることができたので、まあやるべきことはやったと言うてええかなあ。
 雨は午後からあがり、退出するころには青空も見えてきた。
 帰宅して朝ドラ「まんぷく」などを見る。さあ、今度はカップヌードル開発か。前にも書いたけれど、これは「プロジェクトX」でも扱うた題材ですのね。ドラマやからまた違う展開になるんやろうけれど、どんな味付けをするのか。ところで、「まんぷく」効果でチキンラーメンの売り上げが上昇しているらしい。ドラマを見て無性に食べたくなったのは私だけやないということですね。
 ニール・ゲイマン/金原瑞人・訳「墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活」(角川文庫)読了。謎の殺し屋に家族全員惨殺されるところをなんとか墓場の幽霊たちの助けで命が助かった赤ん坊は「ノーボディ(誰でもない)」と名付けられて幽霊たちに育てられる。幽霊たちとの奇妙な生活の中で成長していく少年の物語なんやけれど、殺し屋連中はある理由から少年の命をまだ狙うていて、墓場から外に出ることは原則禁じられたりしている。それでも人間社会を知りたい少年はひっそりと学校に行ったりするんやけれど、そこでいじめっ子をこらしめてえらいことになり……。「ジャングル・ブック」のモウグリ少年を意識して作られたというのが本書やそうです。密林の動物たちに育てられたモウグリに対し、墓場で幽霊たちに育てられるというのが楽しい。それゆえのドタバタもあれば、地下にひそむグールたちにさらわれたりという恐ろしい場面もあったりして読み手を飽きさせない。そしてついに彼を狙う殺し屋との対決。児童文学やから読みやすく描かれているのは当然なんやけれど、それ以上に読みだしたら止まらん展開になっている。少年の成長物語として読むもよし、幽霊や魔女と少年がかかわるファンタジーとして読むもよし。いろいろな読み方を楽しめる秀作であります。

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福家警部補の再訪 [読書全般]

 今日は完全休養日。朝は通常よりゆっくり目に起き、午前中はテレビを友とする。昼食後、午睡。夕刻起きてきて先日録画したアニメなどを見てから夕食と、いつもの休日。できたら明日もこうしていたいけれど、そうはいかんのがきついですねえ。
 大倉崇裕「福家警部補の再訪」(創元推理文庫)読了。シリーズ第2巻。さすがに2巻目ともなると著者がコロンボ式倒叙推理の書き方のコツをつかんだという感じがした。客船内で起こる事件を鑑識なしで解決する「マックス号事件」はコロンボ「歌声の消えた海」への挑戦か。サブタイトルはウルトラセブンから取ってますね。著者は特撮ファンでもあったのですねえ。「プロジェクトブルー」なんかSF映画そのままのタイトルで、しかも怪獣フィギュアの造形師が犯人。つまり2巻目にしてもう趣味全開でいくことにしたのですね、きっと。その趣味が私とかぶるから、読んでいて楽しいのかもしれんなあ。ただ、ベテラン漫才師が犯人の「相棒」は漫才師のネーミングも、作中に登場する漫才も21世紀に書かれたものとは思われん。著者は私より少しばかり若い世代なのに、やけに古臭いのが気にかかった。漫才に関しては好きやけれどもくわしくないのかもしれんなあ。「こだま・ひかり」なんて漫才師を出してはいかんでしょう。まさか大木こだま・ひかりのファンやったからそのまま師匠の名前にいただいた、なんてことはないでしょうね。

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書評家の創作 [SF]

 今日は新入生対象の説明会のため、午前中は出勤。体育館の壇上で「いじめ」への学校の対応と奨学金に関する注意点を述べる。その間5分。その5分のために早朝から起きてしたくせんならんというのもしんどいことです。あ、5分間しか仕事をしてへんわけやないですよ。半日分の事務作業はきっちりやってますからね。年度内に整理しておかねばならんことは多いのです。
 昼過ぎに退出。でも帰宅したのは2時半くらい。来週の金曜日の午後に半日分の振り替え休暇は取っているけれど、通勤時間のことを考えたら半日ではすまないのだなあ。
 帰宅してポストを覗いたら、高井信のファンジン「SFハガジン126号」から「128号」までの分が送られてきていた。久しぶりにショートショートを書いてみて、没になることも覚悟の上で寄稿したら、掲載していただいたのです。タイトルは「夢バイト」。いずれこのサイトにも掲載しようと思うているけれど、今は「SFハガジン」の会員さんたちだけに読んでもらうことにしたい。
 さっそく開封してみる。わっ、梶尾真治さんや草上仁さん、江坂遊さん、井上雅彦さんといったベテランの作家さんたちも寄稿してはる。さすが「SFハガジン」。私は初めて原稿を送ったんやけれど、商業誌レベルですねえ。
 全く小説を書くことを断念していたわけやないのです。アイデアメモはちょこちょことたまっているし、仕事やアニメ鑑賞や野球観戦や相撲観戦などの合間を縫って書き始めてみたものもあるんやけれど、なまじ書評なんてことを続けていたもんやから、途中まで書いたものを読み返す時には書評家の目になってしまい、自分でその分は没にしていたりしたのです。若い頃ならいざ知らず、この歳になるとなかなか無謀なチャレンジがでけんのやなあ。今回は読み返してみて微妙な線やったんで、高井さんというプロの目で判断していただこうと考えた次第。ファンジンとはいえ久々に人の目に触れるところに原稿が掲載されると、気持ちいいものですね。これを刺激にして今年はもう少し創作の頭に戻していこうかな。
 家近良樹「歴史を知る楽しみ」(ちくまプリマー新書)読了。歴史家が中高生に向けて「なぜ歴史を学ぶか」「歴史研究の意義」をわかりやすく説いたもの。歴史小説家の書いたものと歴史学者の書いたものの違いなど、当たり前のことではあってもなかなか理解してもらえんことをていねいに説明していて、私自身改めて考えさせられる部分も多々あった。特に歴史に名を残す政治家は、自分が後世どのように評価されるかを意識していたという指摘などは、その場限りのごまかし政治が横行する昨今、非常に貴重な苦言やと思う。大河ドラマに「史実と違う」とかいうクレームをつけるような方たちにはぜひ一読していただきたい一冊。

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