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アリス殺し [読書全般]

 10連休前の最後の、つまり平成最後の授業をおこなう。次に出勤した時には令和元年なのですね。だからどうしたということもないけれど。2019年度の授業であることにかわりはないわけで。そやから授業が終わってもしみじみとこの30年を振り返る、てなこともなし。それよりも連休明けの授業で使う教材の作成であるとか、週明けにはやってしまわねばならん職場の親睦会の会計の仕事の段取りとか、疲れて動かぬ体に鞭を入れてなんとか定時に退散。
 帰宅してからへたりこみつつも妻とたまっている録画を見たりなんかする。プロ野球の試合のない日には少しでもたまっている録画を消化しておかねば! まあ、明日から休みが続くんで、そこらあたりはさくさくと進むんやないかなんて楽観視しているんやけれども。
 ともかく明日から長い連休。たまには実家に顔も出したいし、気がついたら終わっていたなんてことのないようにしたい。
 小林泰三「アリス殺し」(創元推理文庫)読了。不思議の国のアリスの世界で、その主要な登場人物が次々と殺されていく。そして、現実の世界でも、不思議の国で殺された者とリンクして人が死んでいく。現実世界では殺人にならないことを知っている犯人は、邪魔ものを不思議の国で殺していくのですね。現実世界では裁かれない殺人事件という、とんでもない設定の「本格ミステリ」。むろん小林さんのことやから、不思議の国と現実世界の関係や、殺人の動機、そして殺害方法など緻密に組み立てて理由づけをしている。なによりも凄いなあと思うたのは、不思議の国の人物たちの会話や行動が、ルイス・キャロルの世界をちゃんと再現していること。それも下手な切り貼りやなく、きちっとオリジナルなものとして作り上げている。そういえばルイス・キャロルも理系の人やった。ミステリであり、ファンタジーであり、SFでもあるという離れ業をみごとにやってのけた。いやはや脱帽。ただ、緻密な世界構築と狂騒的なやりとりなどを読みこんでいかんならんから、頭の疲れている時に読むとしんどいです。ところで現実世界に登場する谷丸警部と西中島刑事は、「透明女」という短編にも登場している。まったく関連のない話やけれど、このコンビは徳さんと同じようにスターシステムとして出演させているのかもしれんなあ。

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