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田辺聖子の死 [追悼]

 今日は午前中は授業がぱんぱん。午後からは来訪者あり、会議あり、教育実習生への指導ありで、なかなか奨学金の実務が進まず。体が重く、定時で退散。帰宅後は追っかけ再生でプロ野球中継を見る。BSテレ東がサブチャンネルを使うて4時間半を超える試合を中継してくれた。とはいえまた寝る時間が遅くなるやないですか。明日は時間に余裕があるので、事務作業がはかどることやろう。いや、はかどらさんとあかんのですわ。
 作家、田辺聖子さんの訃報に接する。享年91。死因は胆管炎。
 私は田辺さんの熱心な読者というわけやなかったけれど、代表作である「姥ざかり」のシリーズや、「ラーメン煮えたもご存知ない」などのエッセイがとても好きやった。なによりそこで書かれる大阪弁が上品で、ほんまは大阪弁というのはこういう言葉やってんなあと再確認させられることが多々あった。
 女の強さ、男の弱さ、男女の機微を上質のユーモアで表現した稀有な作家やったということは、今私がここで書くまでもないこと。
 あまり触れられることのない傑作を紹介しときたい。「お聖どん・アドベンチャー」(集英社文庫)です。タイトルは映画「ポセイドン・アドベンチャー」のもじり。作家が食えなくなってしまった近未来社会で、旅芸人の一座をしたりして生き抜くという連作短編集です。出てくる作家はみな実名。筒井康隆、小松左京、眉村卓といった関西のSF作家はもちろん総出演。笑いのオブラートにくるみながらも、言論が衰退していく社会の恐ろしさを根底に描いたSFなのです。源氏物語の再話、古川柳の紹介、与謝野晶子ら先達の評伝などから、恋愛小説、そしてSFも書けるというこの幅広い作風に、底知れぬ実力を感じるのですね。
 言わねばならんと思うた事ははっきりと言う、そういう肝のすわった作家でもあった。こういう人はもう二度と出てこんのやろうなあ。
 謹んで哀悼の意を表します。

 6月16日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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