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失われた過去と未来の犯罪 [SF]

 愛すれどTigers「岩貞の復帰勝利でジャイアンツに連勝」を更新しました。

 週末からの疲れがなかなかとれず、お山の学校に着いたところでもうぐったり。そんなことは言うてられんので、とにかくギアをあげて授業に集中。放課後は会議などもあり、少しだけ残業。帰宅したらほっとしてへたっておりました。今日の「なつぞら」を見たり、読書をしたりして過ごす。
 小林泰三「失われた過去と未来の犯罪」(角川文庫)読了。世界中の人々の短期記憶がなくなるという事態が発生し、混乱が生じるけれど、外部記憶メモリを開発して、その人個人の記憶がメモリにたくわえられるという時代が訪れる。これだけやとアイデアとしてはそんなに目新しいものやないかもしれんけれど、そこは小林さんのことやから一筋縄ではいかんのですね。外部メモリを差し間違えたりというような事件を短編小説のように積み重ねながら、人間のアイデンティティとは何か、心とは何かというところにぐいぐいと踏みこんでいく。時にはユーモラスな事件として、ときには胸を締め付ける悲劇としてそれらは描かれ、ひとつひとつのエピソードがやがてつながっていき、さらに大きなテーマに拡大していく。「殺人鬼にまつわる備忘録」(幻冬舎文庫)でも記憶について扱うていたけれど、同じようなテーマでも全く違うアプローチ。ここらあたりの幅の広さはホラーからハードSFまでというレンジの広さにつながるものがあると思う。通勤の車中で駅についてもページを閉じることができず困りました。それくらい面白かった。ぜひご一読を。

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