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都市と星 [SF]

 今日は完全休養日。家でおとなしくしておりました。録画した番組を見てるか本を読んでいるか午睡してるかスマホをいじっているか。先日同僚と話をしていたら、休みの日でも出かけんと体がうずうずしてくるとかいうていて、引きこもりの気持ちが理解でけんということやったけれど、私はたまにはガス抜きに出かけたいと思うことはあっても、うずうずしては来ないなあ。引きこもりの気持ちはわからんでもない。仕事もできたらしたくない。
 そうか、みなさんよう働くなあといつも感心していたけれど、うずうず派の人たちに働き者が多いのかもしれんな。私はぐうたら派なので、仕事も自分から見つけてやるというようなことはしたくない。まあ、自分から探しにいかんでも常に何かに追われるように働いているけれどね。
 そうか、定時を過ぎても熱心に働いている方たちはうずうず派なんやね。家に帰るのがそんなにいやなんかなあ、私はお家大好きやから一刻も早く職場から消えたい方なんやけれど。家に帰る前に行きつけの店で一杯やって、なんて人もうずうず派か? それは違うか。
 アーサー・C・クラーク/酒井昭伸・訳「都市と星」(ハヤカワ文庫SF)読了。「100分de名著」に触発されて読み始めたクラーク3冊目。あー、確か学生時代に読んだはずやのに、頭に入ってなんだのか、まるで初読のように読めました。確かあのころは大学の同人誌でSF文庫チェックリストを作るために傑作名作駄作珍作なんでもかんでも読んだのでした。「都市と星」はそのリストで担当していたわけやないけれど、当時はとにかく意味がわかろうとわかかるまいと読みとばすような癖がついていたのですね。書評を担当するようになると、じっくりと読むように……架空戦記や伝奇アクションでは熟読玩味はしてなんだなあ。ええい、話がそれた。銀河帝国崩壊後、地球には二つの都市が残っていて、ひとつは人間をデータ化して何度も再生させる閉じた都市ダイアスパー。ひとつは機械文明に頼らない自然と共存した生活をしているリス。主人公アルヴィンはダイアスパーに産まれながらも、他の者とは違い都市から出て他の世界を見たいと願い、禁を犯して都市を脱出し、リスを発見する。リスの人々はダイアスパーと関わりたくないので、彼の記憶を消して送り返そうとするが……というお話。アルヴィンはうずうず派なのですね。引きこもってられん。狭い空間での暮らしをよしとしない。で、別世界のリスに行き、今度は宇宙に飛び出していく。彼がそうすることにより、まわりの者も引きずられて世界は大きな変革を迎える。多動の若者のせいでせっかく安定していた秩序が混沌となってしまう。実に迷惑な奴が主人公なんやけれど、作者はそうやって自ら動いていくものを肯定するのです。若いなあ。たぶん学生時代に読んだ時には主人公の行動に共感してたはずなんやけれど、おっさんになってから読むと迷惑な奴やということになってしまう。うーむ、つまり私は沈滞して行き詰まっている側の人間なのですね。クラークは「幼年期の終わり」もそうやったけれど、ストーリーで引っ張るタイプの作家やないので、話が長くなるといささか退屈してしまう傾向があるけれど、本書はアルヴィンの行動でストーリーが進むので、それほど退屈はしません。アルヴィンが宇宙に行って見つける惑星の生態系なんかは非常に面白かった。設定描写で読ませる作者らしさが成功している。とにかくまだ読んだことのない人は若いうちに読んでおきましょう。あ、うずうず派の人なら歳をとっていても大丈夫か。

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