魔女の冬 [読書全般]
本日は出勤日。短縮授業のため、私の持ち授業はなかったけど、朝の登校指導や、掃除当番の監督などはあるし、成績提出のためにあとにのばしていた雑事がいくつかあり、休んではいられず。午後、教材作成が終わったところで一通り予定していた仕事ができたので、1時間休を取り、早退。
帰宅後、妻は日帰り帰省で不在やったんで、帰るまで読書。妻の帰宅後夕食を取り、本を読んでしまう。その後久々に寝落ち。明日から休みなんでほっとしたのかな。
キャサリン・アーデン/金原瑞人、野沢佳織・訳「魔女の冬 冬の王3」(創元推理文庫)読了。3部作の完結編。前巻で魔術師を倒しながらもコンスタンチン司祭の扇動で魔女として火あぶりにされかけたワーシャは、精霊の助けでなんとか逃げ出し、「真夜中の国」に迷い込む。彼女はそこで自分の先祖からつながる不思議な力の由来を知り、土着信仰と教会の併存や、人間と政令の橋渡しをしたいという気持ちを確かなものにする。しかし最大の味方である冬の王は、季節が夏であったため力を発揮できず、第1巻では敵として立ちふさがりなんとか縛り付けていた熊の精霊を解放して味方につけ、モスクワ大公とハン国の決戦で兄サーシャとルーシ(ロシア)の民のために全力で戦う……という話。
全3作を通じ、常に孤独な戦いを強いられてきたワーシャは最後まで本当の理解者を得られることがない。それでも自分のすべきことは何かを模索し続けながら、自分に流れる精霊と交流する力を信じてひたすらけなげに突っ走る。ただ、それがどこまで読み手と共感できるかというと、いささか微妙なところではある。身勝手といえば身勝手やし、自分よりも兄や姉、姪たちのことを最優先する滅私ぶりと、ルーシという自分のよって立つ土地すべてのために突っ走る正義とがなんかかみ合わんままラストまでいってしまうという感じなんですね。とはいえその軸のぶれはまだ大人になり切っていない少女らしい部分でもある。そういう意味で作者は現代の若者の気質に通じるメンタリティをワーシャに与えたのかなという気もする。その等身大のリアルさが本書の魅力になっているんやろう。もっとも、そこに共感できないおっサンである私にはぐいぐいと引きこまれるほどの魅力がなく、読み進めていくのに少しばかり苦労した面もあった。それでもなんとか読み切れたのは、作者のストーリーテリングの巧みさがあってこそ。人間の信仰心とは何か、生と死を左右できる力を持つことの不幸、明らかに人間には理解でけん精霊たちの行動原理との衝突などがしっかりと描きこまれていたからこそ、本書を最後まで飽きることなく読み進められたんやないかと思う。予定調和的なファンタジーが多い中、ここまで読み手を翻弄する作品は異色。そういう意味でもラノベのファンタジーあたりとは一線を画する秀作といえるやろうね。
帰宅後、妻は日帰り帰省で不在やったんで、帰るまで読書。妻の帰宅後夕食を取り、本を読んでしまう。その後久々に寝落ち。明日から休みなんでほっとしたのかな。
キャサリン・アーデン/金原瑞人、野沢佳織・訳「魔女の冬 冬の王3」(創元推理文庫)読了。3部作の完結編。前巻で魔術師を倒しながらもコンスタンチン司祭の扇動で魔女として火あぶりにされかけたワーシャは、精霊の助けでなんとか逃げ出し、「真夜中の国」に迷い込む。彼女はそこで自分の先祖からつながる不思議な力の由来を知り、土着信仰と教会の併存や、人間と政令の橋渡しをしたいという気持ちを確かなものにする。しかし最大の味方である冬の王は、季節が夏であったため力を発揮できず、第1巻では敵として立ちふさがりなんとか縛り付けていた熊の精霊を解放して味方につけ、モスクワ大公とハン国の決戦で兄サーシャとルーシ(ロシア)の民のために全力で戦う……という話。
全3作を通じ、常に孤独な戦いを強いられてきたワーシャは最後まで本当の理解者を得られることがない。それでも自分のすべきことは何かを模索し続けながら、自分に流れる精霊と交流する力を信じてひたすらけなげに突っ走る。ただ、それがどこまで読み手と共感できるかというと、いささか微妙なところではある。身勝手といえば身勝手やし、自分よりも兄や姉、姪たちのことを最優先する滅私ぶりと、ルーシという自分のよって立つ土地すべてのために突っ走る正義とがなんかかみ合わんままラストまでいってしまうという感じなんですね。とはいえその軸のぶれはまだ大人になり切っていない少女らしい部分でもある。そういう意味で作者は現代の若者の気質に通じるメンタリティをワーシャに与えたのかなという気もする。その等身大のリアルさが本書の魅力になっているんやろう。もっとも、そこに共感できないおっサンである私にはぐいぐいと引きこまれるほどの魅力がなく、読み進めていくのに少しばかり苦労した面もあった。それでもなんとか読み切れたのは、作者のストーリーテリングの巧みさがあってこそ。人間の信仰心とは何か、生と死を左右できる力を持つことの不幸、明らかに人間には理解でけん精霊たちの行動原理との衝突などがしっかりと描きこまれていたからこそ、本書を最後まで飽きることなく読み進められたんやないかと思う。予定調和的なファンタジーが多い中、ここまで読み手を翻弄する作品は異色。そういう意味でもラノベのファンタジーあたりとは一線を画する秀作といえるやろうね。