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観応の擾乱 [読書全般]

 今日も出勤日。空き時間はひたすら夏休みの課題の採点に費やし、4コマの授業もそれぞれ予定通りできた。明日は定休日なんで、放課後はついに持続していた緊張感が切れてぐったり。定時に退出。
 帰宅してすぐナイター中継を追っかけ再生で見る。地上波はABCからサンテレビ・KBS京都のリレーナイターやけれど、ABCは試合開始直後から16分間はニュースで中継なし。BS朝日でもやっていたので試合開始から中継しているBSで見ることにした。で、リレーナイターの時間になったらサンテレビに録画が切り替わるようにセット。おかげで試合開始からインタビューまで全部見られました。
 試合終了後は社説のダウンロードなど。妻はここしばらくすぐに寝てしもうていたけれど、今日は元気で、次の自民党総裁はだれがええかなんて話をする。政治の話を妻とするのは珍しいな。
 亀田俊和「観応の擾乱 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い」(中公新書)読了。室町幕府成立から南北朝の争いの間に、足利尊氏・直義兄弟が骨肉の争いをしていた時期があった。歴史用語ではこれを「観応の擾乱」と呼ぶ。本書は初版発売時に話題になり、この手の新書では珍しく増刷が何度もかかって話題になった。「中先代の乱」と同様、高校の日本史の教科書でも触れられているけれど、詳しいいきさつは説明がない事件のひとつ。
 本書は室町時代の研究者。足利直義や、尊氏の執事である高師直に関する著作はあったけれど、観応の擾乱に特化したものはないという事で、これまでの研究を土台に兄弟の争いについてまとめたという。本書によると、実は兄弟の仲は特段悪かったわけやないらしい。直義は権勢をふるう高師直を排除したかっただけで、高師直に尊氏が味方をしたので骨肉の争いとなってしもうた、という事らしい。さらにここに南北朝の争いやら、尊氏の実子で直義の養子である直冬と尊氏の争い、将軍となるべく力をつけてきた義詮の参入などがからんでことがややこしくなり、結局のところ直義の死という形で第一幕が終わり、直冬の死で第二幕が終わったとする。そして、この乱を経て、それまで政務を直義に任せていた足利尊氏が将軍として第一線に出るようになり、義詮の代で、室町幕府は鎌倉幕府とは違う政治体制を整えることになる。史料はかなり多いけれど読み方によって解釈が変わることのある事件だけに、著者の主観もかなり入ってはいる。けれど、室町幕府の成り立ちがどういうものやったかは、「中先代の乱」と「観応の擾乱」のあらましをおさえておかんとあかんという事はようわかった。今、私がほんまに興味を持っているのは関東公方と関東管領についてなんやけれど、そのためには室町幕府とはどういうものやったかというあらましを知っておく必要があると思い手に取ったんやけれど、いろいろと興味深い内部事情を知る事ができたし、南北朝というややこしい時代についても大づかみではあるけれどかなり理解できた。さて、次は室町時代を大きくとらえたものを読みたいな。そのあとで関東公方と関東管領について特化したものを読んで……と思うているのです。

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