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祓い師笹目とウツログサ [読書全般]

 今日は定休日。旧「体育の日」。そやけどハッピーマンデーで「スポーツの日」になったんで、平日です。昨日までとはうって変わって好天。やっぱり「体育の日」というのは晴れることになってるんやなあ。
 そして、このホームページの公開記念日でもあります。27年続いてきたんやねえ。自分でも驚き。今後も引き続きごひいきにお願いいたします。
 3連勤の疲れとか、午前中のテレビ漬けで疲れた。昼食後、午睡。夕刻起きて社説のダウンロードやらものかき関係のお手伝いの仕事やら読書やら。
 夕食後も引き続き読書。木曜日はいつもこんな感じ。タイガースの試合はないし、読書は進むね。
 ほしおさなえ「祓い師笹目とウツログサ」(文春文庫)読了。書店で見かけて何となく気になり手に取った。ちょっと間が空いたけれど、読み始めたらぐいぐいと読めた。ウツログサという、特定の人にしか見えない不思議な植物があり、それにつかれた人々と、それを払う仕事をしている祓い師の物語。自分の側に穴が開いているのが見える「アナホコリ」、自分の思う人を包みこむ草が指から生えてくる「オモイグサ」、文字のような文様が体を覆う「ツヅリグサ」、背中から生えている瓜で、死ぬ時にそこに入ってどこかに流されていく「ウリフネ」、ただキラキラと光る綿のようなものが空中を漂う「ヒカリワタ」。それぞれのウツログサとかかわる人たちが登場し、様々な生き方の末にとあるニュータウンの植物園で「祓い師」笹目と出会うという短編の連作。ウツログサにつかれる人たちはいずれも孤独で、社会と自分のかかわりに悩んだり苦しんだりする。笹目に祓ってもらう人もいれば、そのままウツログサと共生する人もいる。自分以外には見えないもの、そして否応もなくかかわらなければならない社会。孤独を内に抱えた人たちは、それぞれが葛藤し、自分なりの生き方を選んでいく。
 ホラー、というかダークファンタジーというか。独特の味わいを持った作品で、人というものは誰もが内に抱えた孤独と社会とのかかわり方にどうにかして折り合いをつけていかなければならない。それをウツログサという不思議な植物との共生を描くことによって浮き彫りにしていっている。読後、それでもなにかほっとした気持ちになるのは、作者が登場する人たちに対してなにかしら「救い」を用意しているからで、その役割を祓い師笹目が担っているんやなあ。ああ、また気になる作家が一人増えた。
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