図説 鎌倉府 [読書全般]
今日も出勤日。連日着々と進めている採点。今日からは授業再開で、まず2クラスに返却。今回はほとんど採点ミスもなく、すんなりとテストの正答の解説も進む。空き時間、そして午後からはひたすら残りの採点を進め、残業も1時間弱ですんで、無事採点作業は終了。明日からは提出させたノートのチェック。とにかく成績を出すまでは気が抜けん。
バス待ちの間、坂道の学校の付近は強風。きつかった。寒かった。冷えた。帰宅した時は心身ともに消耗していて、少しだけ寝床にどぶさって体力回復。夕食後は社説のダウンロードなど。読書も少し。
明日は木曜で本来なら定休日なんやけれど、時間割変更があって、火曜日の時間割に。出勤してノートチェックなども全てすませ、成績算出の準備をやっつけてしまいたい。朝、起きられるかしらん。
杉山一弥・編著「図説 鎌倉府 構造・権力・合戦」(戎光祥出版)読了。以前読んだ「図説 室町幕府」と対をなす一冊。室町時代に関東に置かれていた鎌倉府にかかわる人物、その政治の仕組み、小刻みに行われていた合戦、そして室町幕府との関係を項目ごとにコンパクトにまとめ、カラー写真や図版などをふんだんに使用したもので、「室町幕府」と「鎌倉府」の2冊をそろえておけば、室町時代の政治史の概要はだいたいつかめるように編集されている。入門書としてよりも、室町時代について書かれた新書や選書の類を何冊か読んだ者が、その入り組んだ内容を確認するために項目を選んで見直すのに最適。それにしても室町時代というのは前半は南北朝の争い、そして後半は戦国時代の呼び水になる戦いと戦いの絶えない時代やったんやなあと再確認。とくに幕府の将軍と鎌倉公方の関係というのは血がつながっているからよけいに険悪になってるんですよね。そこらあたりを突っこんでいけば、戦国時代以上にわくわくする物語が書けそうです。
12月15日(日)は「たちよみの会」例会です。今月も13:00~15:00の短縮バージョンです。ご参加お待ちしています。
バス待ちの間、坂道の学校の付近は強風。きつかった。寒かった。冷えた。帰宅した時は心身ともに消耗していて、少しだけ寝床にどぶさって体力回復。夕食後は社説のダウンロードなど。読書も少し。
明日は木曜で本来なら定休日なんやけれど、時間割変更があって、火曜日の時間割に。出勤してノートチェックなども全てすませ、成績算出の準備をやっつけてしまいたい。朝、起きられるかしらん。
杉山一弥・編著「図説 鎌倉府 構造・権力・合戦」(戎光祥出版)読了。以前読んだ「図説 室町幕府」と対をなす一冊。室町時代に関東に置かれていた鎌倉府にかかわる人物、その政治の仕組み、小刻みに行われていた合戦、そして室町幕府との関係を項目ごとにコンパクトにまとめ、カラー写真や図版などをふんだんに使用したもので、「室町幕府」と「鎌倉府」の2冊をそろえておけば、室町時代の政治史の概要はだいたいつかめるように編集されている。入門書としてよりも、室町時代について書かれた新書や選書の類を何冊か読んだ者が、その入り組んだ内容を確認するために項目を選んで見直すのに最適。それにしても室町時代というのは前半は南北朝の争い、そして後半は戦国時代の呼び水になる戦いと戦いの絶えない時代やったんやなあと再確認。とくに幕府の将軍と鎌倉公方の関係というのは血がつながっているからよけいに険悪になってるんですよね。そこらあたりを突っこんでいけば、戦国時代以上にわくわくする物語が書けそうです。
12月15日(日)は「たちよみの会」例会です。今月も13:00~15:00の短縮バージョンです。ご参加お待ちしています。
定期券は料金箱に [日常生活]
今日は考査最終日。昨日1日でかなりくたびれたとみえて、朝、アラームで目覚めたのに、二度寝しかけて「いかんいかん」と気がついて起きる。
坂道の学校に行く途中のバスで、ICカード式の定期券をタッチして降りようとしたら、手がすべってカードが手から逃げた。と、カードは見事に料金支払い口にダイビング。はっと気がついたらもうカードは箱の中。まだ若い運転士さんも大慌て。営業所と無線で連絡を取る。なんやかんやで5分ほどやり取りがあり、私はとりあえず降車できたもの、カードは営業所まで取りにいかねばならんことになった。料金箱は運転士さんがその場で開けたりでけんようになっているようなのです。現金の抜き取りなどがでけんように、ということやろうね。職場についてから営業所に電話し、確認。私が試験監督に行っている間に、職場に「いつでも取りに来てください」という電話がかかってきたとのこと。まあ、どこかわからんところで紛失したんやないから、不安はなかったけれどね。幸い営業所はいつも乗っているバスのルートの近く。帰りに大回りせずに寄る事ができる。
朝から冷や汗一斗くらいかいたけれど、今日はそれだけではすまなんだのです。
朝から電車の路線が停止したところがあり、試験開始が15分遅れる。そのわずか15分がもったいないくらい採点業務に時間を割きたいのにね。
昼食後、一服つけに玄関口を出たら、階段のところで足をぐねってこけてしまう。幸い階段落ちなどはせずにすみ、その場で尻もちをついただけ。
とにかく不運を小出しにしてるというような1日。
少しばかり残業をして、予定していた分の採点を無事すませ、退出。坂道を下ってバス道が見えてきたら、営業所方面に行くバスが通り過ぎるのが見えた。それから待つこと15分ほど。寒い。次に来たバスは営業所の前は通らんバス。一番営業所に近いバス停で降りて、営業所まで歩く。むろんそのバス代は自腹です。まあ、無事にIC定期券も戻ってきたし、やれやれ。そのまま帰宅。
帰って一服つけ、夕食をとる。食後は社説のダウンロードなど。気がついたらうとうと。朝からあれやこれやありすぎて心身ともに疲労困憊していたのですねえ。明朝は無事起きられるやろうか。今から心配しても仕方ないけれど。
坂道の学校に行く途中のバスで、ICカード式の定期券をタッチして降りようとしたら、手がすべってカードが手から逃げた。と、カードは見事に料金支払い口にダイビング。はっと気がついたらもうカードは箱の中。まだ若い運転士さんも大慌て。営業所と無線で連絡を取る。なんやかんやで5分ほどやり取りがあり、私はとりあえず降車できたもの、カードは営業所まで取りにいかねばならんことになった。料金箱は運転士さんがその場で開けたりでけんようになっているようなのです。現金の抜き取りなどがでけんように、ということやろうね。職場についてから営業所に電話し、確認。私が試験監督に行っている間に、職場に「いつでも取りに来てください」という電話がかかってきたとのこと。まあ、どこかわからんところで紛失したんやないから、不安はなかったけれどね。幸い営業所はいつも乗っているバスのルートの近く。帰りに大回りせずに寄る事ができる。
朝から冷や汗一斗くらいかいたけれど、今日はそれだけではすまなんだのです。
朝から電車の路線が停止したところがあり、試験開始が15分遅れる。そのわずか15分がもったいないくらい採点業務に時間を割きたいのにね。
昼食後、一服つけに玄関口を出たら、階段のところで足をぐねってこけてしまう。幸い階段落ちなどはせずにすみ、その場で尻もちをついただけ。
とにかく不運を小出しにしてるというような1日。
少しばかり残業をして、予定していた分の採点を無事すませ、退出。坂道を下ってバス道が見えてきたら、営業所方面に行くバスが通り過ぎるのが見えた。それから待つこと15分ほど。寒い。次に来たバスは営業所の前は通らんバス。一番営業所に近いバス停で降りて、営業所まで歩く。むろんそのバス代は自腹です。まあ、無事にIC定期券も戻ってきたし、やれやれ。そのまま帰宅。
帰って一服つけ、夕食をとる。食後は社説のダウンロードなど。気がついたらうとうと。朝からあれやこれやありすぎて心身ともに疲労困憊していたのですねえ。明朝は無事起きられるやろうか。今から心配しても仕方ないけれど。
点子ちゃんとアントン [読書全般]
今日は出勤日。そして私の持ち科目の考査の日。1コマ目が私の持ち科目「公共」の試験で、答案を受け取ったらすぐに2コマ目の数学の試験監督に。慌ただしいことです。
試験終了後、採点業務の準備。昼食を間に挟んで採点開始。なんやかんやで1クラス目の採点完了。いつも1クラス目の採点は手間取る。時間もかかる。まだ段取りがうまくいかんのと、正答が頭に入ってへんからいちいち模範解答を確認しながら採点せんとあかん。2クラス目以降はだんだん慣れてきてスピードアップ。明日はもう少し手際よく採点できるやろう。少しばかり残業して退出。
帰宅したらもうへろへろ。妻から「目が腫れぼったい」と言われた。それだけ目を使うていたんやね。しばらく寝床にどぶさって読書。夕食後も読書の続き。しかしだんだん眠くなってきた。いかん。
プロ野球では現役ドラフト。今季はタイガースはジャイアンツでくすぶっている畠投手を指名。近大時代、タイガースのファームと交流があったりしていた投手で、おそらくドラフト指名のリストにも挙がっていたんやないか。その代わり浜地投手がベイスターズに移籍することになった。来季は「浜地酒造の甘酒」を甲子園で飲むことはでけへんのやな。今季1試合だけしか見に行かれなんだけれど、その時に飲んでおいしかったから、次も……と思うていただけに残念。ベイスターズでの活躍を祈る。
エーリヒ・ケストナー/池田香代子・訳「点子ちゃんとアントン」(岩波少年文庫)読了。これで現在読めるケストナーの児童文学は全部読めたことになる。主人公の点子ちゃんの本名はルイーゼ。赤ん坊のころ、なかなか大きくならなんだので「点子ちゃん」という愛称がついた。原題から調べたら、「点ちゃん」くらいの意味になる。最初に訳した人が「点子ちゃん」にしたのでしょうね。点子ちゃんの父は実業家で、学校への送り迎えも父の運転する自動車。しかし点子ちゃんは非常に素直に育ち、冗談が好きで、貧民街に住む少年アントンともすぐに仲良くなってしまう。街頭で靴紐やマッチを売るアントンを手伝うて、身をやつしてマッチ売りをする。養育係の若い女性のアンダハトさんも「盲目の母」という形で手伝うているけれど、何やら思惑があって付き合うている模様。彼女の恋人ローベルトはどうにもいけ好かない男。ローベルトはアンダハトさんを脅して何やら悪だくみをしているようで、それに気づいたアントンは……という話。点子ちゃんのキャラクター造形がいい。誰に対してもリスペクトを欠かさない。だからアントンを見下したりもしない。アントンは親思いのよい子で、同じ作者のエーミールと同様正義漢で頭もまわる。話自体はそれほどこみ入ったものやないし、章ごとに作者が読者に警句を発したりするのも不要に思われるけれど、児童文学を書き始めて間のない頃のものなので、まだ「ふたりのロッテ」ほど練れてない感じがする。そういう意味では物足りない部分も多々あるけれど、すべて点子ちゃんの天真爛漫さに救われている。「ふたりのロッテ」の萌芽がところどころに見えている。少年文庫版なんで仕方ないけれど、訳者あとがきに発表順の作品リストをつけてもらいたかった。発表順に読めば、ケストナーがだんだん児童文学を自家薬籠中のものにしていく過程を楽しめたやろうなあ。小学校低学年から中学年のよい子たちにはぜひ読んでもらいたい魅力があるのは確かなんやからね。
試験終了後、採点業務の準備。昼食を間に挟んで採点開始。なんやかんやで1クラス目の採点完了。いつも1クラス目の採点は手間取る。時間もかかる。まだ段取りがうまくいかんのと、正答が頭に入ってへんからいちいち模範解答を確認しながら採点せんとあかん。2クラス目以降はだんだん慣れてきてスピードアップ。明日はもう少し手際よく採点できるやろう。少しばかり残業して退出。
帰宅したらもうへろへろ。妻から「目が腫れぼったい」と言われた。それだけ目を使うていたんやね。しばらく寝床にどぶさって読書。夕食後も読書の続き。しかしだんだん眠くなってきた。いかん。
プロ野球では現役ドラフト。今季はタイガースはジャイアンツでくすぶっている畠投手を指名。近大時代、タイガースのファームと交流があったりしていた投手で、おそらくドラフト指名のリストにも挙がっていたんやないか。その代わり浜地投手がベイスターズに移籍することになった。来季は「浜地酒造の甘酒」を甲子園で飲むことはでけへんのやな。今季1試合だけしか見に行かれなんだけれど、その時に飲んでおいしかったから、次も……と思うていただけに残念。ベイスターズでの活躍を祈る。
エーリヒ・ケストナー/池田香代子・訳「点子ちゃんとアントン」(岩波少年文庫)読了。これで現在読めるケストナーの児童文学は全部読めたことになる。主人公の点子ちゃんの本名はルイーゼ。赤ん坊のころ、なかなか大きくならなんだので「点子ちゃん」という愛称がついた。原題から調べたら、「点ちゃん」くらいの意味になる。最初に訳した人が「点子ちゃん」にしたのでしょうね。点子ちゃんの父は実業家で、学校への送り迎えも父の運転する自動車。しかし点子ちゃんは非常に素直に育ち、冗談が好きで、貧民街に住む少年アントンともすぐに仲良くなってしまう。街頭で靴紐やマッチを売るアントンを手伝うて、身をやつしてマッチ売りをする。養育係の若い女性のアンダハトさんも「盲目の母」という形で手伝うているけれど、何やら思惑があって付き合うている模様。彼女の恋人ローベルトはどうにもいけ好かない男。ローベルトはアンダハトさんを脅して何やら悪だくみをしているようで、それに気づいたアントンは……という話。点子ちゃんのキャラクター造形がいい。誰に対してもリスペクトを欠かさない。だからアントンを見下したりもしない。アントンは親思いのよい子で、同じ作者のエーミールと同様正義漢で頭もまわる。話自体はそれほどこみ入ったものやないし、章ごとに作者が読者に警句を発したりするのも不要に思われるけれど、児童文学を書き始めて間のない頃のものなので、まだ「ふたりのロッテ」ほど練れてない感じがする。そういう意味では物足りない部分も多々あるけれど、すべて点子ちゃんの天真爛漫さに救われている。「ふたりのロッテ」の萌芽がところどころに見えている。少年文庫版なんで仕方ないけれど、訳者あとがきに発表順の作品リストをつけてもらいたかった。発表順に読めば、ケストナーがだんだん児童文学を自家薬籠中のものにしていく過程を楽しめたやろうなあ。小学校低学年から中学年のよい子たちにはぜひ読んでもらいたい魅力があるのは確かなんやからね。
写楽まぼろし [読書全般]
今日も午前中はテレビ漬け。昨日までの深夜アニメをせっせと見て、日曜朝の「仮面ライダーガヴ」「ブンブンジャー」なども見てから昼食。食後は午睡。夕刻起きて読書の続き。社説のダウンロードなどをしてから、夕食。妻はなんとか元気を取り戻し、昼前には買い物に行き、夕食の支度もしてくれた。急に寒くなったんで、風邪でもひいたかな。風呂に入っている時に急死した中山美穂さんの例もあるから、実は気が気やなかった。
夕食後、ひたすら読書。明日から採点三昧になるから、面白い本は読めるときに一気に読んでしまわんと。
杉本章子「写楽まぼろし 蔦屋重三郎と東洲斎写楽」(朝日文庫)読了。タイトルには「写楽」とあるけれど、主人公は蔦重こと蔦屋重三郎。幼くして実の父と生別した蔦重は、義理の父の仕事は継がず吉原の近くで絵草紙屋を始める。大手の店が醜聞で傾く中、蔦重は恋川春町などの黄表紙がヒットして見る見るうちに成功を収める。しかし、寛政の改革の締めつけで恋川春町は自死、蔦屋も財産の半分を奪われてしまう。それでも蔦重は長年育ててきた喜多川歌麿の美人画を当てて、またも隆盛に。ところが歌麿がほかの版元に引き抜かれてしまい、またも蔦屋は危機に。それでも蔦重には最後の切り札があった。長年探してとうとう見つけた希代の絵師、その名は東洲斎写楽……という話。
親本は1983年の刊行。写楽の正体を探る本などで蔦屋重三郎の名は出てきてはいても、彼を主人公にしたものなどはまだほとんどなかった時代に書かれ、文春文庫版も絶版になっていた本作が再刊されたのは来年の大河ドラマ「べらぼう」で蔦重が主人公になったことからなんやけれど、今、書店に並ぶ蔦重がらみの新刊とは違い、本書は今は鬼籍に入った作者が40年前に作り上げた、独自の蔦重なのですね。その出自や、ただ一人愛した女おしのとの悲しい物語、そして意表を突く写楽の正体など、作家としての想像力を駆使した設定。そこには人と人の縁や絆のもろさ、そして強さの両面が描かれ、ともすれば当時の出版界の風雲児としておおらかに描かれがちな蔦重を、明るくふるまっていても、常にどこかに影が差す人物として描く。その人物造形には深く感じ入るところがある。恋川春町や喜多川歌麿だけやなく、歌舞伎役者の仲村仲蔵、川柳師の太田南畝など、当時の人気者たちを随所に登場させ、蔦重の人物像を読み手に印象づけている。以前読んだ杉本苑子「滝沢馬琴」と少し時代がずれるけれど、当時の出版界の描き方などをどう描いているか比較するのも面白い。おそらく大河ドラマの蔦重や写楽は本書とはかなり違う人物として描かれるやろうから、そちらではどう描かれるのかも楽しみになってきた。ドラマのおかげでこういった傑作が復刊されるのはありがたい限りです。「滝沢馬琴」ともどもお薦め。
夕食後、ひたすら読書。明日から採点三昧になるから、面白い本は読めるときに一気に読んでしまわんと。
杉本章子「写楽まぼろし 蔦屋重三郎と東洲斎写楽」(朝日文庫)読了。タイトルには「写楽」とあるけれど、主人公は蔦重こと蔦屋重三郎。幼くして実の父と生別した蔦重は、義理の父の仕事は継がず吉原の近くで絵草紙屋を始める。大手の店が醜聞で傾く中、蔦重は恋川春町などの黄表紙がヒットして見る見るうちに成功を収める。しかし、寛政の改革の締めつけで恋川春町は自死、蔦屋も財産の半分を奪われてしまう。それでも蔦重は長年育ててきた喜多川歌麿の美人画を当てて、またも隆盛に。ところが歌麿がほかの版元に引き抜かれてしまい、またも蔦屋は危機に。それでも蔦重には最後の切り札があった。長年探してとうとう見つけた希代の絵師、その名は東洲斎写楽……という話。
親本は1983年の刊行。写楽の正体を探る本などで蔦屋重三郎の名は出てきてはいても、彼を主人公にしたものなどはまだほとんどなかった時代に書かれ、文春文庫版も絶版になっていた本作が再刊されたのは来年の大河ドラマ「べらぼう」で蔦重が主人公になったことからなんやけれど、今、書店に並ぶ蔦重がらみの新刊とは違い、本書は今は鬼籍に入った作者が40年前に作り上げた、独自の蔦重なのですね。その出自や、ただ一人愛した女おしのとの悲しい物語、そして意表を突く写楽の正体など、作家としての想像力を駆使した設定。そこには人と人の縁や絆のもろさ、そして強さの両面が描かれ、ともすれば当時の出版界の風雲児としておおらかに描かれがちな蔦重を、明るくふるまっていても、常にどこかに影が差す人物として描く。その人物造形には深く感じ入るところがある。恋川春町や喜多川歌麿だけやなく、歌舞伎役者の仲村仲蔵、川柳師の太田南畝など、当時の人気者たちを随所に登場させ、蔦重の人物像を読み手に印象づけている。以前読んだ杉本苑子「滝沢馬琴」と少し時代がずれるけれど、当時の出版界の描き方などをどう描いているか比較するのも面白い。おそらく大河ドラマの蔦重や写楽は本書とはかなり違う人物として描かれるやろうから、そちらではどう描かれるのかも楽しみになってきた。ドラマのおかげでこういった傑作が復刊されるのはありがたい限りです。「滝沢馬琴」ともどもお薦め。
天山の巫女ソニン2海の孔雀 [読書全般]
今日は月例の京都の医者行き。昼前までたっぷりアニメを見てから、出発。寒波が来ていて、歩いて汗をかいてもすぐに冷える。
阪急の特急で上洛。診療の後は、これも月例になった母の施設への面会。自分から体を起こそうとするなど、かなり元気になっていて、この感じなら今年も無事に年越しができそう。食もかなり進んでいるとのこと。今月はさらに面会時間がのびて30分になった。話しかけると返事をしてくれる。ただ、しゃべろうとすると体力を消耗するみたいなんで、あまり話しかけすぎないように気をつける。
面会後、阪急の特急で帰阪。妻は日帰り帰省中。しばらく読書をして帰りを待つ。妻が帰宅した後も読書の続き。夕食後も読書やらスマホやらでゆったり過ごす。ただ、かなり歩いたのでいささか疲れた。明日はしっかり午睡して月曜からの採点業務に備えよう。
菅野雪虫「天山の巫女ソニン2海の孔雀」(講談社文庫)読了。往復の車中や医者の待合室で一気に読み切ってしもうた。前巻で王子たちを救ったソニンは、本巻では口のきけないイウォル王子とともに隣国江南のクワン王子に招かれる。江南では貧富の格差が激しいうえに、王妃の寵臣ヘスがクワン王子を陥れる計画を立てていた。また、クワン王子がイウォル王子とソニンを招いたのにも思惑があり……という話。欲望というものを持たぬように天山で育てられたソニンは、それでも自分が信じられる者のために尽くしていく。ただ、他国で見聞きしたことや、知的障碍のある王女リアンとの交流などからいろいろなことを学び成長していく姿がていねいに描かれる。ソニンだけやなく、イウォル王子もまた自分に障碍がありながらリアン王女に対して嫌悪感を抱いたことに自分の中で衝撃を受け、そこからまた精神的に大きく変貌していく。ここらあたりの人間心理の描写は、前巻よりも深まっている。さらには江南の王妃には罪悪感はないけれど、周囲が忖度して彼女が気に入るように村に毒を流したりクワン王子を害したりというようなところや、毒を流されて強制移住された人々の様子などは、本書が最初に書かれた後に日本に起きた様々な事件や事故を予見しているようにも見える。つまり、それだけ作者の人間洞察力が優れているということなんやろう。児童文学なので、わかりやすく、そして読みやすいのだけれど、そういった人間の描き方は、学童期に本作を読んだ者には強く印象に残ったんやないかな。
物語はまだ始まったばかり。次巻以降、ソニンたちがどのように成長していくか、そして登場人物たちの人間関係がどのように変化していくのかが楽しみなシリーズですねえ。
阪急の特急で上洛。診療の後は、これも月例になった母の施設への面会。自分から体を起こそうとするなど、かなり元気になっていて、この感じなら今年も無事に年越しができそう。食もかなり進んでいるとのこと。今月はさらに面会時間がのびて30分になった。話しかけると返事をしてくれる。ただ、しゃべろうとすると体力を消耗するみたいなんで、あまり話しかけすぎないように気をつける。
面会後、阪急の特急で帰阪。妻は日帰り帰省中。しばらく読書をして帰りを待つ。妻が帰宅した後も読書の続き。夕食後も読書やらスマホやらでゆったり過ごす。ただ、かなり歩いたのでいささか疲れた。明日はしっかり午睡して月曜からの採点業務に備えよう。
菅野雪虫「天山の巫女ソニン2海の孔雀」(講談社文庫)読了。往復の車中や医者の待合室で一気に読み切ってしもうた。前巻で王子たちを救ったソニンは、本巻では口のきけないイウォル王子とともに隣国江南のクワン王子に招かれる。江南では貧富の格差が激しいうえに、王妃の寵臣ヘスがクワン王子を陥れる計画を立てていた。また、クワン王子がイウォル王子とソニンを招いたのにも思惑があり……という話。欲望というものを持たぬように天山で育てられたソニンは、それでも自分が信じられる者のために尽くしていく。ただ、他国で見聞きしたことや、知的障碍のある王女リアンとの交流などからいろいろなことを学び成長していく姿がていねいに描かれる。ソニンだけやなく、イウォル王子もまた自分に障碍がありながらリアン王女に対して嫌悪感を抱いたことに自分の中で衝撃を受け、そこからまた精神的に大きく変貌していく。ここらあたりの人間心理の描写は、前巻よりも深まっている。さらには江南の王妃には罪悪感はないけれど、周囲が忖度して彼女が気に入るように村に毒を流したりクワン王子を害したりというようなところや、毒を流されて強制移住された人々の様子などは、本書が最初に書かれた後に日本に起きた様々な事件や事故を予見しているようにも見える。つまり、それだけ作者の人間洞察力が優れているということなんやろう。児童文学なので、わかりやすく、そして読みやすいのだけれど、そういった人間の描き方は、学童期に本作を読んだ者には強く印象に残ったんやないかな。
物語はまだ始まったばかり。次巻以降、ソニンたちがどのように成長していくか、そして登場人物たちの人間関係がどのように変化していくのかが楽しみなシリーズですねえ。
小さき王たち 第一部:濁流 [読書全般]
今朝は少しゆっくり目に起き、朝からたまっている深夜アニメを順番に見ていく。昨日はほとんど見られなんだからね。かなりたまってる。見ても見ても追いつかん。ほんまは仕事以外のことを優先させたいんやけれど、そうとばかりも言うてられんのがしんどいところ。
昼食後、午睡。なかなか疲労が取れんなあ。夕刻起きて、読書。妻はなかなか体調がよくならず、今日の夕食も簡単なものになった。食事をとりながらサンテレビ「熱血!タイガース党」を見る。今日のゲストは森下選手。かなり頭の回転が速く、前半戦と後半戦の打撃フォームの違いなど、自ら解説するのを聞いていると、考えたことが体にうまく伝えられているという感じがする。考えていてもなかなかそれを実行に移せんもんですよ。たいしたものです。
夕食後、また読書の続きなど。一気に読んでしまう。
堂場瞬一「小さき王たち 第一部:濁流」(ハヤカワ文庫JA)読了。舞台は1971年の新潟。主人公は二人。政府与党政調会長の息子の田岡と、全国紙の地方支局に勤務する記者の高樹。彼らは幼なじみで気心もしれ、将来に理想を描く若者たちなんやけれど、一つの選挙が二人の関係を変えてしまう。父親の選挙区で落下傘候補とたたき上げの候補が公認争いをし、当落線上にある状況で、田岡は中央が公認した落下傘候補を当選させるために県会議員や市町村長などに金をばらまき、警察の捜査関係者を色仕掛けで落とす。金権選挙の尻尾をつかんだ高樹は友と決別することを覚悟した上でこの選挙違反の全貌を暴こうとするが……という話。本作では理想に燃えていたはずの若者たちのうち、政治家志望の若者が見る見るうちに現実の暗黒面に堕ちていくのと、新聞記者の若者が愛する人との別離をも覚悟して理想を貫こうとする姿と、その両者の対立を描く。カネのやり取りの生々しさ、政党と警察、そして新聞の関係や、地方においては情報の入りにくい全国紙の支局の立場などがリアルに迫ってくる。さらに、政党中央の思惑まで絡んでくるから物語に奥行きが出る。田岡と高樹の友情とそして決別、それぞれの愛する人との関係など、ぐいぐいと読み手を惹きこむ。私は作者の小説を読むのは初めてなんやけれど、もと新聞記者という経歴が臨場感を出すのに生きているんやろうと思う。第二部以降は、この主人公二人の因縁が現代まで続いていくことになるようなので、どのような結末を迎えるのか楽しみに読み続けたい。
昼食後、午睡。なかなか疲労が取れんなあ。夕刻起きて、読書。妻はなかなか体調がよくならず、今日の夕食も簡単なものになった。食事をとりながらサンテレビ「熱血!タイガース党」を見る。今日のゲストは森下選手。かなり頭の回転が速く、前半戦と後半戦の打撃フォームの違いなど、自ら解説するのを聞いていると、考えたことが体にうまく伝えられているという感じがする。考えていてもなかなかそれを実行に移せんもんですよ。たいしたものです。
夕食後、また読書の続きなど。一気に読んでしまう。
堂場瞬一「小さき王たち 第一部:濁流」(ハヤカワ文庫JA)読了。舞台は1971年の新潟。主人公は二人。政府与党政調会長の息子の田岡と、全国紙の地方支局に勤務する記者の高樹。彼らは幼なじみで気心もしれ、将来に理想を描く若者たちなんやけれど、一つの選挙が二人の関係を変えてしまう。父親の選挙区で落下傘候補とたたき上げの候補が公認争いをし、当落線上にある状況で、田岡は中央が公認した落下傘候補を当選させるために県会議員や市町村長などに金をばらまき、警察の捜査関係者を色仕掛けで落とす。金権選挙の尻尾をつかんだ高樹は友と決別することを覚悟した上でこの選挙違反の全貌を暴こうとするが……という話。本作では理想に燃えていたはずの若者たちのうち、政治家志望の若者が見る見るうちに現実の暗黒面に堕ちていくのと、新聞記者の若者が愛する人との別離をも覚悟して理想を貫こうとする姿と、その両者の対立を描く。カネのやり取りの生々しさ、政党と警察、そして新聞の関係や、地方においては情報の入りにくい全国紙の支局の立場などがリアルに迫ってくる。さらに、政党中央の思惑まで絡んでくるから物語に奥行きが出る。田岡と高樹の友情とそして決別、それぞれの愛する人との関係など、ぐいぐいと読み手を惹きこむ。私は作者の小説を読むのは初めてなんやけれど、もと新聞記者という経歴が臨場感を出すのに生きているんやろうと思う。第二部以降は、この主人公二人の因縁が現代まで続いていくことになるようなので、どのような結末を迎えるのか楽しみに読み続けたい。
ラーメン食べたい [日常生活]
今日は定休日……なんやけれど、昨日できなんだ印刷をしに朝からサービス出勤。印刷前に問題用紙の校正をしたら、あちこちにミスが出て、その修正をしたり、同じ科目を担当している大ベテランの先生から問題の変更を伝えられ、打ち直しをしたり。昨日の晩に自宅のパソコンで解答用紙を作ったのに、それを職場あてのメールに添付するのを忘れていたためもう一度作り直したりと、印刷にかかる前にけっこう時間をとられた。印刷機は予想通り誰も使うてなんだので、独占。カラーの両面刷りで冊子にしてくれるという優れものの印刷機。ただしその分時間はかかる。しかも印刷枚数も多いし、クラスごとに仕分けもせんならん。なんやかんやで作業が終了し、11時半くらいに退出。予定よりも時間がかかったなあ。
乗換駅前の商店街で目当てのラーメン屋に行ってみたら「店主体調不良のためしばらく休業します」という貼り紙があった。仕方なく梅田まで出る。気持ちはもう「ラーメン食べたい」やったので、梅田でラーメン屋を探し、よう知らんラーメン屋に入る。ラーメンと餃子の昼食。味はまあまずくはないけれどまた来たいというほどでもなし。しかし、ラーメン屋に入るなんていつ以来かなあ。ああ、3月に相撲を見に行った帰りにラーメン屋に行ったか。それ以来やなあ。ラーメンの食べ歩きをしたりしている人もいてるけれど、そういう人からしたら信じられんくらいラーメン屋には行かへんなあ。
地下鉄で帰宅。もうへろへろになっていて、すぐに午睡。爆睡。目覚めたら外はもう暗くなっていた。夕食まで社説のダウンロードやら読書やら。妻はまだしんどそうやったので、食後肩たたきなどをする。少しは楽になったみたい。
その後は寝床で読書をしたりスマホをいじったり。
休みの日にサービス出勤というのは川べりの学校に勤めていた時はちょくちょくしていたけれど、そのころはまだ私も若かったし、職場も自宅から近かったし苦にはならなんだ。お山の学校や坂道の学校は職場に行くだけで疲れてしまうくらい距離があるので、できたら休日にサービス出勤したりはしたくないんやけれど、今回は背に腹は代えられずというところか。それでも生徒に配布する模範解答なんかは自宅でも作れるから、日曜までには自宅で作れるやろう。
とにかく、明日は休むぞう。
乗換駅前の商店街で目当てのラーメン屋に行ってみたら「店主体調不良のためしばらく休業します」という貼り紙があった。仕方なく梅田まで出る。気持ちはもう「ラーメン食べたい」やったので、梅田でラーメン屋を探し、よう知らんラーメン屋に入る。ラーメンと餃子の昼食。味はまあまずくはないけれどまた来たいというほどでもなし。しかし、ラーメン屋に入るなんていつ以来かなあ。ああ、3月に相撲を見に行った帰りにラーメン屋に行ったか。それ以来やなあ。ラーメンの食べ歩きをしたりしている人もいてるけれど、そういう人からしたら信じられんくらいラーメン屋には行かへんなあ。
地下鉄で帰宅。もうへろへろになっていて、すぐに午睡。爆睡。目覚めたら外はもう暗くなっていた。夕食まで社説のダウンロードやら読書やら。妻はまだしんどそうやったので、食後肩たたきなどをする。少しは楽になったみたい。
その後は寝床で読書をしたりスマホをいじったり。
休みの日にサービス出勤というのは川べりの学校に勤めていた時はちょくちょくしていたけれど、そのころはまだ私も若かったし、職場も自宅から近かったし苦にはならなんだ。お山の学校や坂道の学校は職場に行くだけで疲れてしまうくらい距離があるので、できたら休日にサービス出勤したりはしたくないんやけれど、今回は背に腹は代えられずというところか。それでも生徒に配布する模範解答なんかは自宅でも作れるから、日曜までには自宅で作れるやろう。
とにかく、明日は休むぞう。
隣国は戒厳令 [日常生活]
今日も出勤日。坂道の学校は今日から期末考査。試験監督は2コマ。むやみに眠くなって困る。空き時間と午後からはひたすら問題作成。なんとか定時には完成したけれど、印刷機の順番待ちが長引きそうなので、待ち時間を持て余すのは嫌やったから、明日はサービス休日出勤をして、印刷機のあいている午前中に印刷をすることにした。いつになったら印刷機の順番が回ってくるのかと遅くまで残るくらいなら、休みの日であってもスムーズに印刷できるときに効率よくすませてしまう方がええと判断したのです。
少しばかり遅く帰宅し、寝床でごろごろ。夕食後は社説のダウンロードやら読書やら。
妻は韓国の大統領が深夜に6時間だけ戒厳令を出したニュースを見てました。ちゃんとニュースを見てへんから私には何のことやらようわからんけれど、どうやら大統領は弾劾されそうな感じやね。それにしてもいきなり深夜に戒厳令とか、LINEのニュースの速報を見た時には、第二次朝鮮戦争でも始まったんかと思うたよ。
今は考査関係でゆっくりニュースを見たり新聞を読んだりしてられへんけれど、明日、印刷が終わってから落ち着いてネットで調べてみよう。生徒に質問された時に答えられなんだらいかんからね。社会科の、しかも公民の教員が時事問題に疎くては、生徒に対しても失礼やもんな。
さて、明日は定休日やけれど午前中だけサービス出勤か。昼食は通勤経路にある駅前の商店街でどこか開拓してみようかな。いつもそんな余裕はないけれど、せっかく休日に出たからにはいつもはでけんことをしてみんともったいないもんね。
少しばかり遅く帰宅し、寝床でごろごろ。夕食後は社説のダウンロードやら読書やら。
妻は韓国の大統領が深夜に6時間だけ戒厳令を出したニュースを見てました。ちゃんとニュースを見てへんから私には何のことやらようわからんけれど、どうやら大統領は弾劾されそうな感じやね。それにしてもいきなり深夜に戒厳令とか、LINEのニュースの速報を見た時には、第二次朝鮮戦争でも始まったんかと思うたよ。
今は考査関係でゆっくりニュースを見たり新聞を読んだりしてられへんけれど、明日、印刷が終わってから落ち着いてネットで調べてみよう。生徒に質問された時に答えられなんだらいかんからね。社会科の、しかも公民の教員が時事問題に疎くては、生徒に対しても失礼やもんな。
さて、明日は定休日やけれど午前中だけサービス出勤か。昼食は通勤経路にある駅前の商店街でどこか開拓してみようかな。いつもそんな余裕はないけれど、せっかく休日に出たからにはいつもはでけんことをしてみんともったいないもんね。
享徳の乱 [読書全般]
今日も出勤日。明日から期末考査に入る。2コマ、試験範囲までなんとか到達。午後からは教室の整備などをしてから、問題作成。まだ完成せず。明日には印刷まで持っていけるようにしたい。なかなか頭が働かん。センター試験の過去問などを参考にしながらちょっと変わった出題にしてみる。だいたい全体像が見えてきたんで、明日は残業などをしたら何とかなるでしょう。ならなんだら、定休日出勤をせんとあかんからなあ。頑張りましょう。少しだけ残業して、退出。
帰宅後は寝床でどぶさりながら社説のダウンロードなどをする。夕食後は読書。明日に向けて早めに寝たいところなんやけれどね。
峰岸純夫「享徳の乱 中世東国の『三十年戦争』」(講談社選書メチエ)読了。久しぶりに室町本を読む。「応仁・文明の乱」が戦国時代の始まりというのが定説になっているけれど、著者はそれ以前に関東で始まり30年近く争いの続いた「享徳の乱」が戦国時代の前哨戦と見る。そして、「応仁・文明の乱」はこの関東の紛争が京都に飛び火しておこったものと考える。本書はその「享徳の乱」の前の「永享の乱」から考察を始める。これらの関東の戦は、すべて関東公方足利氏と関東管領上杉氏の対立が軸になっているのですね。鎌倉公方足利持氏の野望が潰え、続く「結城合戦」で持氏の息子たちが成敗されて一度は関東公方家は絶えたかに思われたが、幼かったため生き残った末子の成氏が古河公方として一人前になり、山内上杉家と対立。上杉家は将軍に助けを求め、八代将軍足利義政は管領細川氏とともに錦の御旗と援軍を関東に送りこむ。関東だけの対立が、幕府を巻きこんだ京と古河の対立にまで広がり、その対立構造が京にも影響を与え、「応仁・文明の乱」に発展したというのが著者の説。ちなみにこの関東の大乱に「享徳の乱」という名をつけたのは著者なんやそうです。今では教科書にも簡単ではあるけれどその名が載る大乱の命名者が書いたものだけに、この戦の構造やのちの時代に与えた影響など非常に丁寧にわかりやすく解説している。私の大好きな「南総里見八犬伝」はこの時代が舞台で、古河公方足利成氏や扇谷定正、里見義実など、「八犬伝」でおなじみになった名前が出てくると、八犬士たちもこの時代に活躍していたんやなあと(フィクションではあるが)感慨にふけったりしながら読んだ。それにしても室町時代というのは、家督を継ぐときに必ずと言うていいほど骨肉の争いになり、それが大乱の導火線になったりするのですね。そこらあたりの人間関係など、いろいろとその情景を想像してしまう。いや、室町時代、ほんまにごちゃごちゃと入り組んでて面白い。
帰宅後は寝床でどぶさりながら社説のダウンロードなどをする。夕食後は読書。明日に向けて早めに寝たいところなんやけれどね。
峰岸純夫「享徳の乱 中世東国の『三十年戦争』」(講談社選書メチエ)読了。久しぶりに室町本を読む。「応仁・文明の乱」が戦国時代の始まりというのが定説になっているけれど、著者はそれ以前に関東で始まり30年近く争いの続いた「享徳の乱」が戦国時代の前哨戦と見る。そして、「応仁・文明の乱」はこの関東の紛争が京都に飛び火しておこったものと考える。本書はその「享徳の乱」の前の「永享の乱」から考察を始める。これらの関東の戦は、すべて関東公方足利氏と関東管領上杉氏の対立が軸になっているのですね。鎌倉公方足利持氏の野望が潰え、続く「結城合戦」で持氏の息子たちが成敗されて一度は関東公方家は絶えたかに思われたが、幼かったため生き残った末子の成氏が古河公方として一人前になり、山内上杉家と対立。上杉家は将軍に助けを求め、八代将軍足利義政は管領細川氏とともに錦の御旗と援軍を関東に送りこむ。関東だけの対立が、幕府を巻きこんだ京と古河の対立にまで広がり、その対立構造が京にも影響を与え、「応仁・文明の乱」に発展したというのが著者の説。ちなみにこの関東の大乱に「享徳の乱」という名をつけたのは著者なんやそうです。今では教科書にも簡単ではあるけれどその名が載る大乱の命名者が書いたものだけに、この戦の構造やのちの時代に与えた影響など非常に丁寧にわかりやすく解説している。私の大好きな「南総里見八犬伝」はこの時代が舞台で、古河公方足利成氏や扇谷定正、里見義実など、「八犬伝」でおなじみになった名前が出てくると、八犬士たちもこの時代に活躍していたんやなあと(フィクションではあるが)感慨にふけったりしながら読んだ。それにしても室町時代というのは、家督を継ぐときに必ずと言うていいほど骨肉の争いになり、それが大乱の導火線になったりするのですね。そこらあたりの人間関係など、いろいろとその情景を想像してしまう。いや、室町時代、ほんまにごちゃごちゃと入り組んでて面白い。
ミトロプーロスのマーラー [音楽]
今日は出勤日。空き時間はテスト作成。昨日の晩に宿題を少しばかりしていたので、それをもとに修正を加えたりする。明日までには完成させたいところ。
授業は3コマ。予定していた試験範囲まではなんとかすませる。
放課後もテスト作成を少しして、定時より少し遅めに退出。今日は比較的暖かかったので、汗をかなりかいてしもうた。帰宅してしばらく寝床でどぶさりながら社説のダウンロードなどをし、夕食。妻はかなり体調が戻ってきて、久しぶりに普通の食事に戻った。
夕食後は読書をしたりスマホをいじったり。明日は午前中で授業が終わるんで、とにかく作業の仕上げをしたい。
日記を書きながら、ディミトリ・ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィルハーモニックのマーラー交響曲第5番を聴く。1960年、マーラー生誕100年記念の演奏会のライヴ録音。最近は放送局や楽団に残されていたマスターテープから、古い演奏をCD化したものがよく発売される。あまりプレスされないんで、そういうCDは貴重品。マーラーの第5番というと、第4楽章が有名で、映画音楽にも使われたことがあるし、「アダージョ・カラヤン」というオムニバスCDにも収録されたりする人気曲。たしかに第4楽章は美しい旋律で名曲なんやけれど、やはり交響曲は全楽章通して聴かんと作曲者や演奏家の意図が伝わってこない。マーラーの5番は第1楽章は不安な雰囲気を漂わせたファンファーレから始まり、第2楽章から第3楽章までは苦しみと喜びの葛藤みたいな感じで進み、第4楽章で諦念すら感じさせるけだるくも美しい旋律が流れ、終楽章では一転してそこからなんとか立ち直って気力に満ちた動機に変わるけれど、それもなんとか自分の中で無理にでも立ち直ろうとしている感じがする非常に人の感情に訴えかけてくる曲なんですね。ミトロプーロスの指揮する5番はどちらかというとそういう葛藤はあまり強調せず、あくまでも豊かな音を響かせて聴き手を楽しませようとするような感じ。これがレナード・バーンスタイン指揮になると、その葛藤を全面的に押し出す感じになる。ゲオルグ・ショルティ指揮の演奏は旋律をどんどん進めて音そのもので聴き手を引っ張る感じ。クラウス・テンシュテット指揮の演奏は葛藤を感じさせながらも豊かな音の響きを強調している。ヘルベルト・フォン・カラヤン式の演奏に至っては葛藤も何もなく、ただただ旋律の美しさだけを強調するという感じかな。今聴いているミトロプーロスの演奏は記念演奏会ということで、非常に感情がこもっている。ライヴ録音の復刻の楽しみは、その曲がどういう状況で演奏されたのか、当時の観客になったような気分にさせてくれるところかな。ここのところ、マーラーはあまり聴いてなんだので、久々に聴くと、私の趣味はブルックナーよりもマーラーやなあと再確認させてくれるね。最近はなんとかブルックナーの魅力がどこにあるのかと探すようにいろいろなブルックナーの交響曲の演奏を聴き比べたりしていたので、こうやって久しぶりにマーラーを聴くと、なんか胸の奥に刺さってくる感じがしてやっぱりええなあと思うのです。
授業は3コマ。予定していた試験範囲まではなんとかすませる。
放課後もテスト作成を少しして、定時より少し遅めに退出。今日は比較的暖かかったので、汗をかなりかいてしもうた。帰宅してしばらく寝床でどぶさりながら社説のダウンロードなどをし、夕食。妻はかなり体調が戻ってきて、久しぶりに普通の食事に戻った。
夕食後は読書をしたりスマホをいじったり。明日は午前中で授業が終わるんで、とにかく作業の仕上げをしたい。
日記を書きながら、ディミトリ・ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィルハーモニックのマーラー交響曲第5番を聴く。1960年、マーラー生誕100年記念の演奏会のライヴ録音。最近は放送局や楽団に残されていたマスターテープから、古い演奏をCD化したものがよく発売される。あまりプレスされないんで、そういうCDは貴重品。マーラーの第5番というと、第4楽章が有名で、映画音楽にも使われたことがあるし、「アダージョ・カラヤン」というオムニバスCDにも収録されたりする人気曲。たしかに第4楽章は美しい旋律で名曲なんやけれど、やはり交響曲は全楽章通して聴かんと作曲者や演奏家の意図が伝わってこない。マーラーの5番は第1楽章は不安な雰囲気を漂わせたファンファーレから始まり、第2楽章から第3楽章までは苦しみと喜びの葛藤みたいな感じで進み、第4楽章で諦念すら感じさせるけだるくも美しい旋律が流れ、終楽章では一転してそこからなんとか立ち直って気力に満ちた動機に変わるけれど、それもなんとか自分の中で無理にでも立ち直ろうとしている感じがする非常に人の感情に訴えかけてくる曲なんですね。ミトロプーロスの指揮する5番はどちらかというとそういう葛藤はあまり強調せず、あくまでも豊かな音を響かせて聴き手を楽しませようとするような感じ。これがレナード・バーンスタイン指揮になると、その葛藤を全面的に押し出す感じになる。ゲオルグ・ショルティ指揮の演奏は旋律をどんどん進めて音そのもので聴き手を引っ張る感じ。クラウス・テンシュテット指揮の演奏は葛藤を感じさせながらも豊かな音の響きを強調している。ヘルベルト・フォン・カラヤン式の演奏に至っては葛藤も何もなく、ただただ旋律の美しさだけを強調するという感じかな。今聴いているミトロプーロスの演奏は記念演奏会ということで、非常に感情がこもっている。ライヴ録音の復刻の楽しみは、その曲がどういう状況で演奏されたのか、当時の観客になったような気分にさせてくれるところかな。ここのところ、マーラーはあまり聴いてなんだので、久々に聴くと、私の趣味はブルックナーよりもマーラーやなあと再確認させてくれるね。最近はなんとかブルックナーの魅力がどこにあるのかと探すようにいろいろなブルックナーの交響曲の演奏を聴き比べたりしていたので、こうやって久しぶりにマーラーを聴くと、なんか胸の奥に刺さってくる感じがしてやっぱりええなあと思うのです。