同志少女よ、敵を撃て [読書全般]
朝からアニメを何本か見て、昨日録画しておいたKBS京都「京の響」を見る。井上道義指揮、京都市交響楽団によるブルックナー交響曲第8番(第2稿 ノヴァーク版)の演奏。昨年11月に演奏されたもので、昨年限りで引退を表明している井上道義さんの京響との最後の演奏会。非常に中身の濃いブル8で、聴き終えたところでもうぐったりしてしまうくらい。井上さんと京響のブル8はすでにCD化されたものも出ているけれど、今回の演奏もぜひ商品化すべきやと思うたね。私はブルックナーの交響曲はそんなに好きやというわけやないけれど、この演奏はまさに渾身の演奏。おそらくCD化はされんやろうから、BDにダビングして置いておこう。
そのあと昼食に餅を食し、妻と一緒に桂枝雀師の落語「くっしゃみ講釈」を見て、こちらも大熱演に苦しくなるほど笑い、それから午睡。
目覚めた後は社説のダウンロードをしたりしてから、ひたすら読書。夕食後も読書。一気に読んでしまう。こちらも中身が濃く、読了後しばらく余韻に浸っていた。音楽と落語と読書で満腹の一日でありました。
逢坂冬馬「同志少女よ、敵を撃て」(ハヤカワ文庫JA)読了。本屋大賞を受賞した時から気になっていた作品で、ついに文庫化されたので読み始めたら、これが実にもう夢中になってしまうくらい面白かったんやけれど、特に戦争の場面など描写が濃密で切りのいいところで本を閉じては一息ついたりしていた。第二次大戦時に村をナチスドイツ軍に襲われ、一人生き残ったところをソ連赤軍に助けられた少女セラフィマが主人公。彼女は助けられた元狙撃手のイリーナのもとで、狙撃手として教育を課され、仲間たちとともに一人前の狙撃手へと変貌していく。何のために戦うのか、常に葛藤しながらも殺人兵器と化したセラフィマは仲間の死や、スターリングラード包囲網戦での死闘などを経て次々と敵兵を殺していく。彼女の標的はドイツ軍の凄腕の狙撃手。そしてついにケーニヒスブルクの戦闘で標的を指呼におさめることになるのだが……という話。第二次大戦のソ連の女性兵士については戦後に「戦争は女の顔をしていない」でその証言がまとめられたんやけれど、作者はそこから踏みこんで一人の少女が戦時という非人道的な空間で変容していく様を描き、さらには主人公の真の「敵」は何だったかということを読み手に問いかける。本書の親本がベストセラーになった後、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、この物語は現代にも地続きな物語であることを読み手にも、そして作者にも突きつける(あとがきで作者が心情を吐露している)。戦うことの大義名分の虚しさも、人として何かを麻痺させなければ兵士になどなれないということを、本書はえぐり出してくる。今日は結末まで一気に読んだ。読まずにはいられなんだ。結末まで読まんと、絶対安心して寝られへんと思うた。読後、いろいろな感情が渦巻いて、しばらくぐったりした。これがデビュー作とは思われんくらい完成度が高く、本屋大賞を受賞したのにも納得がいった。特薦の1冊であります。
そのあと昼食に餅を食し、妻と一緒に桂枝雀師の落語「くっしゃみ講釈」を見て、こちらも大熱演に苦しくなるほど笑い、それから午睡。
目覚めた後は社説のダウンロードをしたりしてから、ひたすら読書。夕食後も読書。一気に読んでしまう。こちらも中身が濃く、読了後しばらく余韻に浸っていた。音楽と落語と読書で満腹の一日でありました。
逢坂冬馬「同志少女よ、敵を撃て」(ハヤカワ文庫JA)読了。本屋大賞を受賞した時から気になっていた作品で、ついに文庫化されたので読み始めたら、これが実にもう夢中になってしまうくらい面白かったんやけれど、特に戦争の場面など描写が濃密で切りのいいところで本を閉じては一息ついたりしていた。第二次大戦時に村をナチスドイツ軍に襲われ、一人生き残ったところをソ連赤軍に助けられた少女セラフィマが主人公。彼女は助けられた元狙撃手のイリーナのもとで、狙撃手として教育を課され、仲間たちとともに一人前の狙撃手へと変貌していく。何のために戦うのか、常に葛藤しながらも殺人兵器と化したセラフィマは仲間の死や、スターリングラード包囲網戦での死闘などを経て次々と敵兵を殺していく。彼女の標的はドイツ軍の凄腕の狙撃手。そしてついにケーニヒスブルクの戦闘で標的を指呼におさめることになるのだが……という話。第二次大戦のソ連の女性兵士については戦後に「戦争は女の顔をしていない」でその証言がまとめられたんやけれど、作者はそこから踏みこんで一人の少女が戦時という非人道的な空間で変容していく様を描き、さらには主人公の真の「敵」は何だったかということを読み手に問いかける。本書の親本がベストセラーになった後、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、この物語は現代にも地続きな物語であることを読み手にも、そして作者にも突きつける(あとがきで作者が心情を吐露している)。戦うことの大義名分の虚しさも、人として何かを麻痺させなければ兵士になどなれないということを、本書はえぐり出してくる。今日は結末まで一気に読んだ。読まずにはいられなんだ。結末まで読まんと、絶対安心して寝られへんと思うた。読後、いろいろな感情が渦巻いて、しばらくぐったりした。これがデビュー作とは思われんくらい完成度が高く、本屋大賞を受賞したのにも納得がいった。特薦の1冊であります。