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天下を買った女 [読書全般]

 今日も定休日。昨日までに録画した今週の深夜アニメはほぼ見る。来週から見るのをやめるものがまた1本。もう少し減らしたいところ。あとは少し読書。
 昼食後は午睡。その間に妻は日帰り帰省。夕刻起きて、社説のダウンロードやら読書やら。妻が帰宅した後もしばらく読書。夕食後も読書の続き。読めるときに読めるだけ読みたい。明日からは寒さが厳しくなるという予報。明日もアニメと読書で過ごすことになるのかな。
 伊東潤「天下を買った女 室町擾乱」(角川文庫)読了。日野富子。室町幕府八代将軍足利義政の妻にして、悪妻、あるいは守銭奴という評判の高い女性。本書は彼女を主人公に、応仁・文明の乱の経緯と、彼女が果たした役割を描いたもの。富子が女性としてできることは、世継ぎを生むことと、銭を大名たちに貸し、それを取り立てることにより大名たちの力をそいで乱を終結させること。東軍の細川勝元や西軍の山名宗全を前に一歩も引かず、政務に関心のない夫義政に代わり幕政を動かす、強い女としての側面と、帝の前で初めて恋心を抱く裏の面などを描く。応仁・文明の乱というのは非常にややこしい戦で、その全体像を作者は非常に細かく綴っている。ただ、小説としてみた時、そこまで細かく説明が必要だったかどうかは読み手によって意見が分かれるところやと思う。私は、あくまで富子の視点からのみ描き、富子が知り得ないところは簡略化すべきやなかったかと感じた。というのも、戦の進行を説明することに追われ、富子の人物像が今一つはっきりと読み手に伝わってこず、乱世を生き抜いた一人の女性の心情に奥深く踏みこめていないという感じがするからで、読了後、富子という女性の生き方に対してあまり感慨深い心境にならなんだからね。他の作家と比較してはいかんのやろうけれど、木下昌輝が描いた応仁の乱は、まさに地獄図ともいうべき戦の描写が際立っていたし、朝井まかての描く女性たちは女性であるということをとことん突き詰めて、そのすさまじい生き方を読み手に叩きつけてくる。そういった凄みが本書からは感じ取れなかった。せっかくすさまじい世を生き抜いた女傑を主人公にしたのに、そこらあたりもったいないなあと感じた次第。作者は応仁・文明の乱とはどういう時代やったかを細かく描写しようと頑張ったと思うんやけれど、もう少し焦点を絞っていたらもっと面白いものになっていたのにと感じた次第。
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