香君3・4 遥かな道 [読書全般]
今日も出勤日。朝から寒い。出勤するだけで辛い。昼休み、一服つけに外に出たら、風はきついは粉雪は舞うは。がたがた震えるというところまではいかなんだけれど、体力を削られる感じ。
4コマの授業をなんとかこなし、定時に退出。一目散に帰宅。妻は日帰り帰省。妻の実家も相当冷える土地柄。かなりきつかった模様。夕食をはさんで読書やら社説のダウンロードやら。気がつけば寝落ち。明日は休みと思うとよけいにほっとして疲れが出たか。いやはやきつい一日でした。
上橋菜穂子「香君3・4 遥かな道」(文春文庫)読了。下巻を二分冊したもの。上巻と同様2冊一気に読んでしまう。オアレ稲につく害虫オオヨマ。アイシャが捕らえられたオゴダ藩では肥料を工夫してオオヨマにも負けないオアレ稲を栽培していた。帝国の版図にその栽培法が一気に広まるが、アイシャにはオアレ稲の悲鳴が聞こえていた。そしてオオヨマの天敵の新種のバッタが大量に飛来してくるが、そのバッタはオオヨマを食らうと産卵して一気に増え、オアレ稲はおろかあたりの植物を一気に食らいつくす。香君オリエとともにアイシャとマシュウは帝国の版図を救う策を考えつくが、帝国の貴族たちの反発にあい……という話。植物の声が香りとともに消えるアイシャの異能がこの物語のカギ。そして上巻でも触れたが、食糧をもとに周辺諸国を従えてきた帝国が、害虫により根本から揺さぶられる危機にあうのをどのようにアイシャが救うのか、アイシャたちの策がどのようにして帝国の貴族たちに受け入れられるのか、そのあたりがこの物語の山場となる。作者の物語の中では比較的地味な物語ではあるが、主食を支配の手段としてきた帝国の弱点はその主食にあったという皮肉な展開が、作者の狙いであるることは間違いないやろう。現実の世界では去年から米の価格が急騰し、都市部ではスーパーから米が消えてしまうという事態になった。作者がそれを予見していたとは言わんが、そういう危機が訪れた時にどうすべきかというのは人類史上常につきまとう問題であることは確か。作者は主食をいかに確保するか、1種類の主食に頼りすぎることの危険性と、食糧自給の重要性をファンタジーという器で読み手に警告しているんやね。アイシャという少女の数奇な運命がその危機を救うことになるけれど、上巻の初めに彼女が殺されかけるのをマシュウが救うたことがのちに帝国全体を救うことになるという皮肉。目先の欲得で簡単に異能者を排除してしまう貴族の愚かさなども、本作の読みどころとなっている。作者のテーマは常にそういう特別な存在の孤独や、そういうマイノリティにより救われる社会というところにある。本作もまた、そういう多様性の重視がテーマとなっている。作者のシリーズでは比較的地味ではあるけれど、重い問題提起をしている秀作であると感じた。
4コマの授業をなんとかこなし、定時に退出。一目散に帰宅。妻は日帰り帰省。妻の実家も相当冷える土地柄。かなりきつかった模様。夕食をはさんで読書やら社説のダウンロードやら。気がつけば寝落ち。明日は休みと思うとよけいにほっとして疲れが出たか。いやはやきつい一日でした。
上橋菜穂子「香君3・4 遥かな道」(文春文庫)読了。下巻を二分冊したもの。上巻と同様2冊一気に読んでしまう。オアレ稲につく害虫オオヨマ。アイシャが捕らえられたオゴダ藩では肥料を工夫してオオヨマにも負けないオアレ稲を栽培していた。帝国の版図にその栽培法が一気に広まるが、アイシャにはオアレ稲の悲鳴が聞こえていた。そしてオオヨマの天敵の新種のバッタが大量に飛来してくるが、そのバッタはオオヨマを食らうと産卵して一気に増え、オアレ稲はおろかあたりの植物を一気に食らいつくす。香君オリエとともにアイシャとマシュウは帝国の版図を救う策を考えつくが、帝国の貴族たちの反発にあい……という話。植物の声が香りとともに消えるアイシャの異能がこの物語のカギ。そして上巻でも触れたが、食糧をもとに周辺諸国を従えてきた帝国が、害虫により根本から揺さぶられる危機にあうのをどのようにアイシャが救うのか、アイシャたちの策がどのようにして帝国の貴族たちに受け入れられるのか、そのあたりがこの物語の山場となる。作者の物語の中では比較的地味な物語ではあるが、主食を支配の手段としてきた帝国の弱点はその主食にあったという皮肉な展開が、作者の狙いであるることは間違いないやろう。現実の世界では去年から米の価格が急騰し、都市部ではスーパーから米が消えてしまうという事態になった。作者がそれを予見していたとは言わんが、そういう危機が訪れた時にどうすべきかというのは人類史上常につきまとう問題であることは確か。作者は主食をいかに確保するか、1種類の主食に頼りすぎることの危険性と、食糧自給の重要性をファンタジーという器で読み手に警告しているんやね。アイシャという少女の数奇な運命がその危機を救うことになるけれど、上巻の初めに彼女が殺されかけるのをマシュウが救うたことがのちに帝国全体を救うことになるという皮肉。目先の欲得で簡単に異能者を排除してしまう貴族の愚かさなども、本作の読みどころとなっている。作者のテーマは常にそういう特別な存在の孤独や、そういうマイノリティにより救われる社会というところにある。本作もまた、そういう多様性の重視がテーマとなっている。作者のシリーズでは比較的地味ではあるけれど、重い問題提起をしている秀作であると感じた。