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本所深川ふしぎ草紙 [読書全般]

 少しゆっくり目に起床。昨夜録画した番組「アナザーストーリー・天才バカボン誕生秘話」や、たまっていたドラマ「ブギウギ」などを見る。
 昼食をとるけれど、今ひとつ胃の調子がよろしくない。常に消化不良という感じ。いつもなら間食はしないため、食事時には空腹になっているんやけれど、どうもまだおなかがすいたという感じやないのですね。それでもなんとか昼食をとると、今度は無性に眠くなり、食後、午睡。夕刻起きてスマホをいじったり読書をしたり。夕食も軽めにしておく。今日は節分なんで福豆を食べるけれど、61個も腹には入らんので6粒で60個に換えておく。まあ縁起物なんやから気持ちの問題。
 夕食後も寝床で読書。明日あたりもう少し体調がよくなってくれへんと、明後日からの3連勤がまたきついものになるなあ。
 宮部みゆき「本所深川ふしぎ草紙」(新潮文庫)読了。作者初期の時代小説集。「深川七不思議」を題材に取り、7編の人間模様をミステリ仕立てで描く。通しで登場するのは回向院の茂七親分。「初ものがたり」では主役を演じることになる親分の初登場シリーズということになる。いずれも女性が主として登場し、なんとも切ないほろ苦い後味を残すものが中心。決して事件解決万々歳にならないのは初期からのものやったんやね。本書では幼い頃の約束をころに残していた男と、そんなことをすっかり忘れていた女の話や、優しくしてくれた継母の正体が父を殺害しようとしていた女盗賊であることを知った少女の衝撃。事故で娘を亡くし精神に異常をきたした女将の偽の娘役をさせられる女性が知った狂気の真相など、人の心の闇を「七不思議」に見立てている。それでいて読後感が嫌なものにならないのは、書く短編の主人公たちに対する作者の視線が常に暖かいものだからやろう。ほんまはものすごく残酷な結末やったとしても、「切なさ」にされていくあたりがデビュー当時から持つ作者の力量の確かさなんやと思う。すっかり宮部時代小説にはまった私はもう既に何冊か読もうとキープしているのです。他にも読みたい本は山とあるのにねえ。

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野性の証明 [読書全般]

 今日は月例の京都の医者行き。昼前まで昨日録画したサンテレビ「熱血! タイガース党」などを見てから出発。今月も患者さんが多くて、行きの車中から待合室からずっと読書。診療のあと、電車で施設に行き、母に面会。元気そうにしていたのでよかった。
 阪急の特急で帰阪。帰宅後、寝床で読書の続き。読了後、録画した大相撲初場所14日目を見る。豊昇龍が休場で、照ノ富士が不戦勝。というわけで、霧島と琴ノ若の勝った方が照ノ富士と2敗で並ぶことになり、琴ノ若が霧島を馬力で下して勝ち残る。明日の千秋楽、琴ノ若と照ノ富士が勝つと2人での優勝決定戦。琴ノ若が勝ち霧島が勝つと琴ノ若の優勝。琴ノ若が負けて照ノ富士が勝つと照ノ富士の優勝。琴ノ若が負けて霧島が勝つと照ノ富士と霧島と琴ノ若の優勝決定巴戦。さて、どのパターンになるか。琴ノ若は豊昇龍が休んだため翔猿と組まれた。曲者だけに手こずるかも。私は朝乃山と当てるかなと思うていたんやけれどね。なにしろもと大関で実力は大関クラス。私の予想では照ノ富士有利、かな。
 夕食後、またしばらく読書したりスマホをいじったり。今日は午睡しなかったんで、明日、ゆっくりと寝たいところです。
 森村誠一「野性の証明」(角川文庫)読了。過疎の村の住人と、女性ハイカーを皆殺しにする殺人事件が起こる。唯一生き残った少女は記憶障害に。その少女の里親となった生命保険の外交員味沢は、殺されたハイカーの妹、朋子に接近する。朋子の父は、市内全域を支配する大場一族を糾弾する新聞を発行していたが、「事故死」してしまう。大場一族の不正の証拠をつかんだ朋子と味沢はそれを報道しようと策を練るが……という話。映画化を前提に書かれたということやけれど、映画とはいささか展開が違うらしい。映画の方も見ていないのでそこについてはわからんけれど、主人公の味沢の隠された過去などはちょっと不自然な感じであるし、大場一族の支配というのも大仰。また、結末はネタバレになるのでここには書かれへんけれど、私は無理に物語を盛り上げようとしているようにしか見えなんだ。どうなっていくのか気になってどんどん読ませるだけの力を持つ小説ではあるけれど、「証明」3部作の中では一番荒削りやなあと感じた。「青春の証明」の結末も強引な感じがしたけれど、本書はそれ以上。「人間の証明」が一番よくできていたと思う。とはいえ、複雑に入り組んだ人間関係と複数の一見無関係な殺人事件が主人公を中心に一本にまとめあげられていくあたりはなかなか読みでがあった。確かに映画化を前提にするならばこれくらい誇張した設定である方がよかったんやろうね。

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戦後日本政治史 [読書全般]

 今日も定休日。昨日の深夜に録画した分まで、なんとか午前中に見てしまう。昼食を取っていたら妻から携帯電話に出てと言われる。妻のスマホにNTTから電話がかかってきて、名義人である私に出てほしい、とのこと。何の電話かと思うたら、バッテリー交換やプラン見直しのセールス電話。何やら読み上げ始めたので「ドコモショップに直接行きますから」と言うて切る。平日の昼食を取っている時間帯にセールス電話をかけてくるというような非常識な者の相手になんかなってやるもんか。もしかしたら詐欺ではないかと妻が検索したら、そういう電話があちこちでかかってきていて警察やNTTのサイトで注意を喚起している。詐欺の電話はまず自動音声でかかってくるらしいから今日のは詐欺やないみたいやけれど、歳を取るとひっかかりやすくなりそうなんで、注意せんとな。
 昼食後、午睡。その間に妻は日帰り帰省。夕刻起きてきて、昨日通販で買うた新しいカバンに荷物を入れ替えたりしてから、録画した相撲を見る。幕内の相撲の終わりごろに妻が帰宅。夕食をとりながら優勝のかかる霧島対豊昇龍、照ノ富士対琴ノ若の相撲を見る。霧島は二枚蹴りで豊昇龍を下し、照ノ富士は琴ノ若を寄り切って2敗で照ノ富士、霧島、琴ノ若が並ぶ展開に。豊昇龍にもまだチャンスはある。いやあ、上位力士のみでの優勝争いというのは理想的な展開やなあ。
 夕食後、しばらく読書など。明日は外出予定。予報では最高気温は10℃を切るようなんで、出かけたくないけれど、そうも言うてられません。
 境家史郎「戦後日本政治史 占領期から『ネオ55年体制まで』」(中公新書)読了。戦後すぐの占領下の時代から、2020年までの政権と政策の移り変わりをコンパクトにまとめた一冊。著者は東大大学院の教授。新書版ということを意識して、戦後の政治史を非常にわかりやすくまとめてある、基礎教養的な一冊。1978年生まれなんで、私がリアルタイムで知っているところなどの記述は非常に簡略化されているなあという感じ。どうしてもこういうものは自分自身が見聞したところがくわしくなりがちなんで、ある程度仕方ないか。もっとも政治史の基礎教養なんで、昭電疑獄、ロッキード事件、リクルート事件、モリ・カケ・桜疑惑などの政権を揺さぶったスキャンダルに関してはあまり詳しく記述してへんし、沖縄返還前の西山事件に至っては名前も出てこない。全共闘とあさま山荘事件も名前だけでどんな事件かわからんし、三島由紀夫自決なども政権や政策には無関係とばかりにサクッと無視。そういったスキャンダルに関しては別な本を読んでね、ということなんやろうけれど、あまりに簡略化したんでは「時代」というものの空気が伝わってこないので、政権交代の時の社会状況などがわからんのはちょっとどうかと思う。バブル経済の社会の狂乱ぶりや、バブル崩壊後の社会の停滞など、もう少し細かく記述しておかんと、本書を読む限りではなんでこの政権が短命に終わり、なんであの政権は長期にわたったかというあたりがわかりにくい。ページ数の都合上仕方ないのかもしれんけれど、ほんま、大学で本格的なことを学ぶ前に最低限これくらいは知っときやというような感じのものになっている。そやから、著者が主張する「現在は『ネオ55年体制』ととらえている」というところがあまり実感として伝わってこないのですね。せめてこの2倍位の厚さか2分冊で出すかくらいは必要やったんやなかったと感じた次第。

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貧乏神あんど福の神 なぞなぞが謎を呼ぶ [読書全般]

 今日は出勤日。月曜日は毎週いつものことやけれどスケジュールがぱんぱん。数少ない空き時間は教材作成。今日は日中は温くそのせいか非常にだるかった。提出された課題をチェックしたりしていたら少し遅い退出となった。
 帰宅後、しばらく寝床でどぶさっていたけれど、夕食時には録画した相撲を見る。なんと1敗で先頭に立っていた朝乃山が休場。これやから予想は難しい。琴ノ若、大の里、阿武咲が1敗を守る。大の里の勢いがすごい。明日は大関を狙う琴ノ若と割が組まれた。これは楽しみですねえ。幕下では若隆景が5連勝。伯桜鵬も勝ち越し。来場所は十両復帰か。
 相撲を見たあと、寝床で少し読書してたら寝落ち。明日は一気に冷えこむらしい。歳のせいで衰えている自律神経がもたんわい。
 田中啓文「貧乏神あんど福の神 なぞなぞが謎を呼ぶ」(徳間文庫)読了。シリーズ第4巻。表題作は判じものの絵を殺害現場に残す連続殺人犯が登場。葛幸助の長屋になぞなぞの名人を自称する問多羅江雷蔵が登場するが幸助はまるで歯が立たんのに、お福旦那はどんな判じものも解いて見せる。連続殺人犯の正体をめぐりなぞなぞというか地口というか判じものが飛び交う怪作。百物語にのめりこむ主人を丁稚の亀吉が救う「怪談なんて怖くない」と、海の素材を使う料理屋と川の素材を使う料理屋の料理合戦に長屋の家主の娘がまきこまれる「なぞなぞがまた謎を呼ぶ」の3編を収録。表題作は田中さんお得意のだじゃれ満載。ここのところあまり地口に偏った話が少なくなっていた鬱憤を晴らすかのよう。全体に語り口が落語の呼吸で書かれており、楽しい。一転して「なぞなぞがまた謎を呼ぶ」は勧善懲悪もので、スリリングなタッチ。作風が幅広くなっているところを見せてくれる。全体に肩の凝らない楽しい読物ではあるけれど、巻を重ねるごとに貧乏神の存在感が薄くなっているのと、お福旦那の謎めいた部分がそれほど見られなくなっているのが気になる。根本的なテーマだけに、次の巻ではそこを強調したものを期待したい。

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受験生は謎解きに向かない [読書全般]

 今日も午前中はテレビの前に釘づけ。「ウルトラマンブレイザー」は今週で最終回。まだ見てへん人もいてると思うので詳しくは書かんけれど、怪獣を倒す組織や、その上部組織、そしてウルトラマンがなぜ隊長を変身相手に選んだか、宇宙からの侵略者がなぜ地球を攻撃しようとしたか、などなど一貫したテーマのストーリーと、ウルトラQやウルトラマンへのオマージュがあったりと、非常に楽しめた。前にも書いたけれど、小林泰三さんが存命であればどんなに喜んで見ただろうかと思う。
 昼食後、少し午睡。夕刻起きて外出。月例となった血圧の内科医に行く。血圧の薬とアレルギー性鼻炎の薬を処方してもらう。帰宅後、録画した相撲を見る。朝乃山は7連勝。照ノ富士が正代に攻め立てられて敗れたため、1敗は霧島、琴ノ若、阿武咲、大の里の4人。放送のゲストは女子レスリング50kg級の金メダリスト、須崎優衣さん。格闘技で相通じるところがあるのか、力士の動きなどについて実にわかりやすく的確な解説をする。しかももと白鵬の宮城野親方が横にいて、これまた非常にわかりやすい解説をしてくれるから今日の中継を見た人は非常にお得やったと思う。これで実況が吉田賢アナウンサーやったら、解説者が3人もいてるような具合になっていたかもね。
 夕食後、朝に録画した「題名のない音楽会」を見たりしてから、しばらく読書。薄手で読みやすく、一気に読み切った。
 ホリー・ジャクソン/服部京子・訳「受験生は謎解きに向かない」(創元推理文庫)読了。「自由研究には向かない殺人」の前日譚。まだ自由研究を何にするか決まっていないピップが友人に誘われて、架空の殺人犯当てゲームに参加。最初は乗り気やなかったけれど、のめり込んだら夢中になるピップは真剣に謎解きに取り組み始める。ブックレットや付属の証拠品などを使い、犯人当てゲームは白熱。ピップはついに真犯人を特定したのだが……という話。「向かない」三部作で関係性が変わってくる友人たちがまだみんな事の真相を知らないため良好な人間関係を保っているけれど、この後にいろいろとそれぞれの上に運命を変えるような事態が、それもピップの謎解きで起こると思うと、それだけであれやこれやと感慨深いものがある。それ抜きでも、犯人当てゲームを読み手とピップが共同で解決していくような趣向になっているので、三部作を読んでなくても単品でも楽しめるあたり、作者の手腕に脱帽する。そして物語は「自由研究」につながっていく。ここらあたりの仕掛け方もうまい。それにしてもまだまだ無邪気な彼らが後にあんな風になるんやなあと思わせるということは、それだけ作者の人物造形が確かなものやということ。未読の方は本書を読んでから三部作に取りかかってもええかもしれんね。

 明日、1月21日は「たちよみの会」例会の予定です。インフルエンザなどの感染症があちこちで増えておりますので、今月も13:00~15:00の短縮バージョンで行います。ご参加お待ちしています。

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青春の証明 [読書全般]

 今日は定休日。午前中は昨日までに録画した番組を見て過ごし、昼食後、午睡。夕刻、いつもより早く目覚めると、妻が日帰り帰省をしに出るところやった。そのまま起きて、録画した相撲中継を見る。幕内では朝乃山が錦木にてこずりながらも勝ち、琴ノ若が若元春に完敗したため唯一勝ちっ放しに。阿炎が豊昇龍を引き落として今場所の初勝利。ここまで前に出ながらも気持ちと体がかみ合うてなんだ感じやったけれど、勝つ時はあっけなく勝つ。勝負というのはほんま、不思議なものです。
 妻が帰宅して、夕食。サンテレビ「熱血! タイガース党」を見る。毎年恒例のドラフト1位と2位の新人選手がゲスト。1位の下村選手は初めてテレビの生放送に出演したというのにかなり落ち着いている。西宮出身で、子どもの頃はサンテレビの野球中継を見ていたとか。2位の椎葉選手は契約金でまず釣り道具を買うたというほどの釣り好きで、サンテレビの番組も野球中継やなく釣り番組を見ていたという。さて、この2人、プロでどう活躍するのか、今は楽しみしかないですね。
 その後はしばらく読書。
 森村誠一「青春の証明」(角川文庫)読了。結婚を目前にしながら、夜の公園で殺人事件を目の前にして恐怖で動けなかった笠岡は恋人から「卑怯者」と絶縁される。その恋人、麻子は戦争で死んだ姉の代わりに特攻隊から生還した矢吹と結婚する。笠岡は「卑怯者」という言葉にとらわれ警察官に転身し、自虐的に、自分の目の前で死んだ刑事の娘、時子と結婚する。笠岡は妻の父を殺した犯人「くりやま」を探すが、あきらめていたところで「栗山」という男の死体を発見し、その男を殺した犯人を追う。笠岡の息子の婚約者の両親とあわせ、3組の夫婦とその子どもたちがそれぞれが知らぬところで関係を持ち、物語は笠岡を中心に一つにつながっていく……という話。ミステリとしては、複数の事件で誰が誰を殺したかというところに焦点が置かれるけれども、それが主眼ではなく、錯綜する人間関係と微妙な心理の動きがテーマとなっていて、ここらあたりの展開は「人間の証明」と同様、一見無関係と思われる出来事がどこかでつながっているという構造になっていて、それが収斂されていくあたりが読みどころ。結末はなんともほろ苦く、まさに「青春」という時期と壮年期に入った時期との比較をしながら登場人物の生き方そのものを解き明かすミステリとなっている。おそらく若き日に読んでいたとしたら、このほろ苦さを実感でけなんだんやないかと思われる。傑作とは言いかねる部分もあるけれど、なんと言えん味わいのある話やった。

 1月21日は「たちよみの会」例会の予定です。インフルエンザなどの感染症があちこちで増えておりますので、今月も13:00~15:00の短縮バージョンで行います。ご参加お待ちしています。

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安倍晋三VS.日刊ゲンダイ [読書全般]

 朝から小雨。ただし、傘をさすまでもなし。次第に雲も減り、昼には日がさしてきたりもしていた。ただ、幾分寒い。歩いて汗をかき、冷気で冷え、また汗をかき、冷え……の繰り返し。教室に高校生がぎっしり詰まっていると、それだけで熱気がびんびんくる。
 今日は日程ぱんぱんの月曜日。放課後は生徒に見せられる動画を探したりして過ごし、同僚と打ち合わせなどしてから少し遅めに退出。帰宅した時にはもうへろへろ。それでもすぐに録画した相撲を見る。新入幕の大の里は強いなあ。あの腰の強い琴勝峰を何もさせずに吹っ飛ばした。昨日はやはり緊張していたんやな。大関陣は連勝。照ノ富士が若元春と長い相撲を取り、スタミナ不足を露呈して敗れる。一番危惧された部分が出てしもうた。まあ、明日は速攻を心がけて相撲を取るやろう。その切り替えができるから横綱なんですよね。夕食時も相撲を見、その後は寝床にどぶさってスマホをいじったり本を読んだり。
 週のスタートとしてはまずまず、かな。
 小塚かおる「安倍晋三VS.日刊ゲンダイ」(朝日新書)読了。常に安倍内閣に対して批判の矛先を向けてきた日刊ゲンダイの編集主幹による、安倍内閣に対する総括。いかに安部という総理大臣が何の展望もなく権力維持のためだけにどのようなことをしてきたかを、その時々の日刊ゲンダイの記事などを引用しながら検証する。私は常々なぜ安倍晋三という人物に対して自民党の政治家が唯唯諾諾と従っていたのか不思議に思うていたんやけれど、マスメディアに対して放送法の解釈をねじ曲げて脅迫したり、小選挙区の議員で自分を批判する者に対しては支援を与えず落選させたり、自分に従う者や仲良くする者には優遇したりという手法で権力を強め、権力が確立したらまわりが忖度してくれるのをいいことに「私は何もしていない、まわりが勝手にやっただけ」と責任逃れをしたり。
 まあ、日刊ゲンダイの記者の主観が強く入っているから、よけいに安倍晋三に対してきつくあたっていると言えるわけやけれど、それでも日刊ゲンダイに掲載された識者の言葉を多数引用し、ただ批判のための批判をしていただけではないということも指し示している。そして、これまた政治家としてのビジョンのない岸田文雄が安倍が試みながらもできなかった軍拡などを平然とやってのけ、岸田政権が安倍政権の延長にあることを指摘する。
 長期政権やったら、大きなビジョンを描いてじっくりとその実現に向けて取り組むこともできたはずやのに、場当たり的にスローガンを打ち出し、失敗したら別のスローガンを出して糊塗するという行為を積み重ねての繰り返しで日本の政治を歪めてきた、というのが本書による安倍晋三評。むろん異論のある人もいてるやろう。それはそれでええと思う。私は安倍晋三がなぜ長期政権を維持できたかという事に対する得心の行く理由が書かれているというところで、本書を評価したい。安倍晋三亡き後、安倍派による裏金問題が明らかになっているけれど、安倍晋三が生きていたら、またお得意の論点すり替えや無意味なスローガンの打ち出しで糊塗して、「モリ・カケ・桜」問題と同じようにうやむやにしてしまうんやろうなあと感じた次第。安倍晋三大好きという方はきっと読みたくないし読まんのやろうけれど。

 1月21日は「たちよみの会」例会の予定です。インフルエンザなどの感染症があちこちで増えておりますので、今月も13:00~15:00の短縮バージョンで行います。ご参加お待ちしています。

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初ものがたり [読書全般]

 本日は定休日。例によって朝から録画したアニメなどを見る。劇場版「ソードアートオンライン」のように長時間かかるものも見てしまう。やはり劇場版のものはストーリーも凝縮されていて、面白かったけれど疲れた。昼食後、午睡。夕刻起きてスマホをいじったり、夕食時にはサンテレビ「熱血! タイガース党」を見たりする。今週のゲストは大山悠輔内野手。多弁ではないけれど、言葉の一つ一つにチームを背負っているという自覚を感じさせ、ますます好感を持った。
 夕食後は妻と地震の話をしたりしたあと、寝床で読書。面白くて最後まで読み切る。今日は寝落ちせずにすみよかったよかった。
 宮部みゆき「<完本>初ものがたり」(PHP文芸文庫)読了。新潮文庫版もあるけれど、本書はその後に愛蔵版のために書きおろされたものや単行本未収録のものも含めた完全版。舞台は江戸の本所深川。「半七捕物帳」の半七親分を思わせる茂七親分が手下の糸吉、権三とともに様々な事件を解決する捕物帳の連作。それぞれ季節の食材が物語に関わるのでその季節の初ものとひっかけて表題になっている。物語は全部で9編。いずれも親子や兄弟、家族にまつわる事件で、血のつながりと人の情とは別物であるというところがポイント。もと武士で、夜中まで屋台で稲荷寿司を売る親父の正体や、霊感を持つ少年などレギュラーとなる登場人物の秘密についても謎を各編にちりばめているという凝った作りになっているのも楽しい。ただし、<完本>ではあるがそれらの秘密については作者は明かさずにシリーズを完結させている。あとがきによるとやはり本所深川を舞台にした別なシリーズの中で明らかになっていくとのこと。というわけで、今後は作者の時代小説にぼちぼちとつきあうて行くことになりそう。とにかくどの短編も仕掛けがうまく、しかも必ずしも人情ものばかりではなく、人の影の部分をえぐり出すようなものも多く、そこらあたりが本書の魅力になっている。いわば茂七親分は狂言回し的な役割で、主役はそれぞれの作品に登場する人々の光と影、ということが言えそう。茂七親分自身にあまり強烈な個性を持たせていないで、周辺の人物のキャラクターを際立たせているのもそのためなんやろう。私は別に時代小説のよい読み手やないけれど、こういった冷徹さがたぶん他の作家との一線を画していると言えるんやないやろうか。

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ザリガニの鳴くところ [読書全般]

 今日は成人の日。ハッピーマンデーのため今日になってるけれど、どうせ同じ月曜休みなんやったら本来の小正月である15日を成人の日にしてもええんと違うのんと思うてしまうのは、昭和生まれのおっサンやからかな。だいたい18歳成人になっても市町村主催の「成人式」は「二十歳の集い」などと名前を変えて以前同様20歳になる若者を集めているんやから、もう祝日としての名称も「二十歳の日」にしてしまえよとかどうでもええことを考えてしまう。
 なんか昨日の晩もやたら深夜アニメが多く、午前中はやはりテレビを友とする。昼食後、午睡。
 女優の中村メイ子さんの訃報に接する。享年89。その一生のほとんどを芸能人として生きてきはった生き字引。まだまだお元気な様子やっただけに、残念。「エノケンの孫悟空」などはたぶん見ようと思えば見られると思うので、子役の中村さんが愛らしい演技をしているのを見てもらいたい。声優としても東映動画の初期の長編やテレビアニメ初期のアテレコもしてはる。多芸多才な方やったんやなあ。謹んで哀悼の意を表します。
 ディーリア・オーエンス/友廣純・訳「ザリガニの鳴くところ」(ハヤカワ文庫NV)読了。1960年代後半のアメリカの湿地帯が舞台。父の暴力で家族が次々と逃げ出し、ついには自分一人で生きていくことを余儀なくされ「湿地の少女」と町で呼びならわされた少女カイアが主人公。テイトという少年との交流から読み書きや生物学の知識を得た彼女は、独学で湿地にすむ生き物の生態をまとめあげられるようになる。しかしテイトも大学に進学するため彼女の前から去り、プレイボーイのチェイスと恋に落ちるが、彼は別の女性と結婚してしまう。湿地の生物の生態を描いた図鑑の出版で一人前となったカイアだったが、チェイスが湿地で死体となって発見され、アリバイがあるにもかかわらずカイアは偏見もあって殺人罪で逮捕されてしまい、裁判が始まる……という話。作者はなんと69歳で小説デビュー。もともとは動物学の研究者。それだけに自然描写は非常に生き生きとしている。ただ、カイアの生い立ちを述べた部分もまた非常に細かく描かれているため、そこが濃密過ぎて一気に読むのがちょっと辛かった。それも非常に厳しい生い立ちで、読んでいて苦しくなるのです。裁判のシーンからは描写もそれほど細かくなくなり、一気に読み進めた。証人の証言が陪審員にどう訴えかけてくるのか。陪審員には「湿地の少女」に対する偏見はないのか。そこらあたりの描写も読みごたえがある。自然の中で孤独に生きるというのはどういうことか、社会との接点が限られた貧窮白人の数少ない理解者が黒人の商人であったりと、米国の暗部を突きつけてくるところなど、教養小説であり、社会派小説であり、ミステリの要素も含むという非常に読みごたえのある作品。途中しんどくなってもあきらめず最後の一行まで読むべし。ずんと応えるラストが待ってます。親本発売時には本屋大賞にも選ばれ、本国では映画化もされただけのことはある。いやあ、読み応えがありましたとも。

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人間の証明 [読書全般]

 例年やと元日に録画した「ウィーンフィルのニューイヤーコンサート」を朝から見て、ウィンナワルツで正月気分を味わうんやけれど、昨日の地震報道で放送がぶっ飛んでしまい、再放送枠で見ることになった。そのため、昨年末までのドラマ「ブギウギ」の積み残し分をすべて見てしまう。
 妻の作ってくれた雑煮を食してから、午後は読書。読了後、しばらく午睡。夕刻起きて次の本を読み始めたりする。夕食後、録画しておいたMBS「明石家電視台」を見る。タイガースの選手がずらっと出演し、さんまさんと軽妙なやりとりをする。さすがさんまさん、うまいこと話を引き出すなあ。
 その後はまたしばらくスマホをいじったり本を読んだり。羽田空港で旅客機と海上保安庁の飛行機が接触して海保の乗務員5人が死亡する大事故に。年始から落ち着かん年になった。この1年は自民党の裏金問題とかまだまだもめごとがが多いから、えらい波乱万丈な年になりそう。
 森村誠一「人間の証明」(角川文庫)読了。昨年森村氏が逝去されたのに、代表作を読んでなんだと思い、何冊か購入したものの一つ。発売当時は映画の公開などでベストセラーになってて、逆にそれで読まなんだのですね。
 高層ホテルのエレベーターで刺殺された黒人青年が見つかる。彼の素性もなぜ殺されたかも全く不明。インターポールを通じてニューヨーク市警のシュフタン刑事がスラム街を捜査し、旅費がどうやって作られたかを突き止める。日本では棟居刑事が殺害現場と目される場所に落ちていた麦わら帽子と最上やその詩集を手掛かりに捜査を開始。また、子育ての評論家として売れている八杉恭子とその息子、妻の不倫を追う小山田武夫など、さまざまな人物が登場し、それぞれの物語が綴られ……という話。複数の物語が重層的に進行し、それが最後に一点に収束していく。その巧みさはさすがというほかない。第二次大戦の戦後の混乱、そして、高度経済成長の影など世相を背景にした問題化や時代のひずみが犯罪を生み出していくという社会派ミステリではあるけれど、細かな謎が積み重なり、それが大きな物語に広がっていくところが本書の面白さ。確かにベストセラーになっただけのことはある。もしベストセラーになっていた時に読んだとしても、中学生やった私にはこの面白さはわからなんだやろう。そういう意味では、この年齢になって初めて読んだということにも意味があったかもしれん。まだ2冊ほど訃報に接した時に買うたのがあるんで、そちらもぼちぼちと読んでいきたい。文庫初版時の横溝正史さんによる解説もわかりやすく、おまけに別な掌編もついているお得な一冊でした。

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