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ネット空間「殺人」事件 [SF]

 読売新聞のサイトで「ネット空間『殺人』事件」なる記事を見つける。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081023-OYT1T00275.htm
 例によって引用。

“オンラインゲーム上で「離婚」されたことに逆上し、相手のIDとパスワードを勝手に使い、「夫」だったキャラクターを消去したとして、北海道警札幌北署は22日、宮崎市小松台東3、ピアノ講師泊(とまり)真由美容疑者(43)を不正アクセス禁止法違反などの疑いで逮捕した。
 発表によると、泊容疑者は5月中旬、札幌市北区の男性会社員(33)のIDなどを無断で使い、オンラインゲーム「メイプルストーリー」に侵入し、男性がゲーム上で使っていたキャラクターを消去した疑い。
 同ゲームは、ネット上の仲間と敵を倒しながら自分のキャラクターを育てるロールプレイング・ゲーム。泊容疑者と男性は、ゲーム上でキャラクター同士を「結婚」させていたが、男性側から「離婚」されていた。
 泊容疑者は調べに対し、「勝手に離婚され腹が立った」と供述。IDなどは男性から以前に聞いていたという”

 仮想空間にどっぷりはまりこんで疑似恋愛感情を抱いていた、と解釈したらいいのかな、この場合。「殺人」犯である女性と「殺害」された男性が実際に会うたことがあるのかないのか。この記事だけでは判然としませんが、会うたことがあるかないかで解釈がかなり変わってくると思う。
 会うてない場合は、まさに本物の夫というような感情があって「離婚」もほんまにふられたというような気持ちであり、「殺意」も本物やったかもという気がする。もし現実に会うていたら、ゲームの楽しみを分かっていない相手に対して「お仕置き」程度の感覚で「殺害」したという可能性もある。
 これ、どっちにしても「殺害」された男性が自業自得やったんやないかという気がする。ほんまに恋愛感情が女性にあったんやったら、一方的な「離婚」は現実社会と照らし合わせてみても殺される可能性のある行為やし、ゲームと割り切っていた場合でも一方的に「離婚」することはパーティーとしては裏切り行為やろうしルール上まずいように思う。
 それにしてもこういうオンラインゲーム上のトラブルが新聞で「殺人」と(括弧つきやったとしても)表現される時代やねんなあ。これを「殺人」と多数の読者が認識できるというような共通理解みたいなものがなかったら、こんな見出しはつけへんよね。
 仮想現実というかつては(今でも、か)SFの設定でしかなかったものが、実際の社会に当然あるものとして受け入れられているという、そういう時代になっているのか。もっとも、これは読者がどう反応したかによってph試験紙みたいにその人の同時代感覚を試すような事件かもしれんな。ゲーム上のトラブルをわざわざ報道するということそれ自体理解でけん層もあれば、そもそもオンラインゲームそのものがどういうものかすら知らない層もあるやろうし、女性の感情についてものすごく納得できる層もあるやろう。
 ふと思うたのは、この男女が現実世界で交際していた場合、こういう「殺人」事件にまで発展していたかどうか、ということやね。それはもう少しこの2人の現実におかれた立場みたいなものが報道されてへんのでどうなのか判断がつかんことではあるんやけれど。

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コメント 2

雫石鉄也

仮想現実を扱うのはSFの定番。
もし、この手のことが原因で、現実の殺人事件が起こって、その犯人が、その手のSFの愛読者だったら、、かような小説の愛読者であったことが、事件の遠因、となって、SFがわるもんにされるのが、心配です。
今時、そんなこといいませんかね。福島編集長SFMからの、おじんSFファンの杞憂ですかね。
by 雫石鉄也 (2008-10-24 07:33) 

t-kita

たぶんSFよりも「ゲームの害」をいいたてる「識者」がもっともらしいことを言い立てるような気がしますね。本質的なものは仮想でも現実でもそう変わらないと思うのですけれど。
by t-kita (2008-10-24 23:11) 

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