ソロモンの偽証4 第II部決意 下 [読書全般]
今日も冷える冷える。朝から昨夜録画した深夜アニメを見たり、朝に録画した「題名のない音楽会」を見たり。10時前にネットにつないで「チケット大相撲」のサイトにアクセスするけれど、常にアクセスが混んでいてつながらず。40分ほど繰り返し、結局つながったときには前売り券は完売。新横綱誕生ということで殺到したんやろう。こういうのは稀勢の里の新横綱の場所以来。あの時は当日券を手に入れるためにかなり早くから雨の中、体育館まえに並んだんやけれど、さて、この年になるとその体力があるか。それより、当日券の販売があるのか。前売り券だけしか販売せんのやったら、今年は年に一度の楽しみがなくなることになる。当日券があるかどうかは相撲協会のサイトで確認するしかないか。
昼前に出かけ、月例の京都の医者行き。駅から出たら、積雪の跡がある。やっぱり京都は雪が降ったんやなあ。診療が終わって調剤薬局で薬を買うと、外は雪が吹き降り。寒い。電車で母の入っている施設に行く。やはり地面は積雪。歩いているうちに粉雪が舞い始める。面会終了後、施設を出たらボタン雪がかなり強く降っていた。ダウンパーカーのフードをかぶる。かなりましになった。駅まで歩くのが辛い。阪急の特急で帰阪。帰宅してすぐに布団にもぐりこむ。そのまま読書。キムチ鍋の夕食後は、またも布団にもぐりこみ、社説のダウンロードやら読書やら。
いやしかしこの寒さ、相撲のチケットをとれずに傷心の身には追い打ちをかけられてるみたいで辛かった。
宮部みゆき「ソロモンの偽証4 第II部決意 下」(新潮文庫)読了。藤野涼子と神原和彦の証人集めは続く。被告人の大出俊二の子分たちはそれぞれに意志を持って動き出し、仲間割れの末に傷害事件沙汰になる。また、大出の父が逮捕され、大出は混乱。そして告発書をテレビ局に送り付けた人物が判明。中学生たちだけの間と思っていたことが、だんだんと大人の世界に広がり、まだ中学生である涼子たちは常に限界を感じながらも証拠をそれぞれ固めていき、いよいよ開廷直前に……という話。本書では、神原和彦がなぜこの「課外活動」に参加しようとしたのか、野田健一はなぜ弁護人の助手を引き受ける気になったのかなど、裁判に参加する者たちの揺れ動く心情と隠された謎が次々と描かれる。本巻では特に大人の世界と中学生たちの世界がぶつかり合う様子がくっきりと浮かび上がっていく。裁判を開廷するまでの準備などもていねいに綴られているのが、本巻でもこの小説にリアリティを与える。「中学生裁判」というかなり無理のある設定なのに、それを突飛なアイデアとは思わせないところが見事。さて、次巻からはいよいよ裁判になる。涼子や和彦はどれだけ真実に迫れるのか。裁判の過程でどのようなことが明らかになっていくのか、徹夜してでも読みたくなってしまうのであります。さすがに徹夜はしませんがね。
昼前に出かけ、月例の京都の医者行き。駅から出たら、積雪の跡がある。やっぱり京都は雪が降ったんやなあ。診療が終わって調剤薬局で薬を買うと、外は雪が吹き降り。寒い。電車で母の入っている施設に行く。やはり地面は積雪。歩いているうちに粉雪が舞い始める。面会終了後、施設を出たらボタン雪がかなり強く降っていた。ダウンパーカーのフードをかぶる。かなりましになった。駅まで歩くのが辛い。阪急の特急で帰阪。帰宅してすぐに布団にもぐりこむ。そのまま読書。キムチ鍋の夕食後は、またも布団にもぐりこみ、社説のダウンロードやら読書やら。
いやしかしこの寒さ、相撲のチケットをとれずに傷心の身には追い打ちをかけられてるみたいで辛かった。
宮部みゆき「ソロモンの偽証4 第II部決意 下」(新潮文庫)読了。藤野涼子と神原和彦の証人集めは続く。被告人の大出俊二の子分たちはそれぞれに意志を持って動き出し、仲間割れの末に傷害事件沙汰になる。また、大出の父が逮捕され、大出は混乱。そして告発書をテレビ局に送り付けた人物が判明。中学生たちだけの間と思っていたことが、だんだんと大人の世界に広がり、まだ中学生である涼子たちは常に限界を感じながらも証拠をそれぞれ固めていき、いよいよ開廷直前に……という話。本書では、神原和彦がなぜこの「課外活動」に参加しようとしたのか、野田健一はなぜ弁護人の助手を引き受ける気になったのかなど、裁判に参加する者たちの揺れ動く心情と隠された謎が次々と描かれる。本巻では特に大人の世界と中学生たちの世界がぶつかり合う様子がくっきりと浮かび上がっていく。裁判を開廷するまでの準備などもていねいに綴られているのが、本巻でもこの小説にリアリティを与える。「中学生裁判」というかなり無理のある設定なのに、それを突飛なアイデアとは思わせないところが見事。さて、次巻からはいよいよ裁判になる。涼子や和彦はどれだけ真実に迫れるのか。裁判の過程でどのようなことが明らかになっていくのか、徹夜してでも読みたくなってしまうのであります。さすがに徹夜はしませんがね。
ソロモンの偽証3 第II部決意 上 [読書全般]
今日も定休日。ますます寒い。そこらじゅうで豪雪のニュースをやっている。朝から眠た目をこすりながら昨夜録画した深夜アニメを見る。「悪役令嬢転生おじさん」が面白い。今クールでは「全修。」と並んで毎週楽しみにしている。シリアスなものもええんやけれど、私はやはり「笑い」が入っているもの、そしてオタク心をくすぐるものが好きみたいです。
アニメのほかには今週の再放送「カムカムエヴリバディ」と「べらぼう」を見る。「べらぼう」ではおそらく将来東洲斎写楽として登場するであろう存在を匂わせている。なるほど、そう来たかという感じかな。
昼食後、午睡。夕刻目覚めたら外は雪。明日は所用で京都へ行く予定なんやけれど、きっと雪の中を歩かんならんのやろうなあ。おお、今から震えてきた。
目覚めた後はひたすら読書。夕食時はサンテレビ「熱血!タイガース党」を見る。キャンプレポート中心で、選手たちが動いているのを見るのが楽しい。スポーツ紙やと写真だけやからね。
そのあとは社説のダウンロードをしたりしてからひたすら読書。
宮部みゆき「ソロモンの偽証3 第II部決意 上」(新潮文庫)読了。藤野涼子はなんとなく丸く収められた柏木と浅井の死の真相が明らかになっていないことに対してもやもやしている。中学3年生の記念行事として文集を作るという段になり、彼女はかつてのクラスメートたちに「自分たちで裁判をする」という提案をする。柏木は自殺だったのか、他殺なら、告発文のように大出たちに殺されたのか。浅井はなぜ事故死しなければならなかったのか。検事役を担うことになった涼子に対し、弁護人役として柏木の友人だったという私立高校に通う神原和彦が名乗りをあげる。かくして涼子たち検察側と神原たち弁護側はそれぞれに調査を始める……という話。校長代理の反対を自分の首をかけて押しとどめる北尾教諭が登場。それまでなんとなく教員を続けてきた北尾は、教員として何をなすべきかに向き合い、涼子たちの顧問としてこの「課外活動」を支える。教員として何をしてきたかを自分に問いかける北尾に、私は自分の姿を重ねてしまう。中学生として限界を感じながら必死にもがく涼子たちよりも、教員に何ができるかという北尾の方が、私には感情移入しやすいのですね。それは、つまり教員として自分に何ができるか、何をしてきたかを私自身に問いかける作業かもしれん。思いもよらぬ新たな証人の登場。さらには火事で自宅と祖母を失った大出の変化、それぞれの立場で裁判にかかわる決意をした生徒たちの心情など、ここでも作者は非常に丹念にその過程を綴る。開廷までに、涼子たちと神原たちはそれぞれどのような新事実を見つけるのか。下巻もさらに楽しみである。
アニメのほかには今週の再放送「カムカムエヴリバディ」と「べらぼう」を見る。「べらぼう」ではおそらく将来東洲斎写楽として登場するであろう存在を匂わせている。なるほど、そう来たかという感じかな。
昼食後、午睡。夕刻目覚めたら外は雪。明日は所用で京都へ行く予定なんやけれど、きっと雪の中を歩かんならんのやろうなあ。おお、今から震えてきた。
目覚めた後はひたすら読書。夕食時はサンテレビ「熱血!タイガース党」を見る。キャンプレポート中心で、選手たちが動いているのを見るのが楽しい。スポーツ紙やと写真だけやからね。
そのあとは社説のダウンロードをしたりしてからひたすら読書。
宮部みゆき「ソロモンの偽証3 第II部決意 上」(新潮文庫)読了。藤野涼子はなんとなく丸く収められた柏木と浅井の死の真相が明らかになっていないことに対してもやもやしている。中学3年生の記念行事として文集を作るという段になり、彼女はかつてのクラスメートたちに「自分たちで裁判をする」という提案をする。柏木は自殺だったのか、他殺なら、告発文のように大出たちに殺されたのか。浅井はなぜ事故死しなければならなかったのか。検事役を担うことになった涼子に対し、弁護人役として柏木の友人だったという私立高校に通う神原和彦が名乗りをあげる。かくして涼子たち検察側と神原たち弁護側はそれぞれに調査を始める……という話。校長代理の反対を自分の首をかけて押しとどめる北尾教諭が登場。それまでなんとなく教員を続けてきた北尾は、教員として何をなすべきかに向き合い、涼子たちの顧問としてこの「課外活動」を支える。教員として何をしてきたかを自分に問いかける北尾に、私は自分の姿を重ねてしまう。中学生として限界を感じながら必死にもがく涼子たちよりも、教員に何ができるかという北尾の方が、私には感情移入しやすいのですね。それは、つまり教員として自分に何ができるか、何をしてきたかを私自身に問いかける作業かもしれん。思いもよらぬ新たな証人の登場。さらには火事で自宅と祖母を失った大出の変化、それぞれの立場で裁判にかかわる決意をした生徒たちの心情など、ここでも作者は非常に丹念にその過程を綴る。開廷までに、涼子たちと神原たちはそれぞれどのような新事実を見つけるのか。下巻もさらに楽しみである。
ソロモンの偽証2 第I部事件 下 [読書全般]
今日は定休日。やはり寒い。午前中は日曜の午後から録画し、水曜深夜までたまっていたアニメをひたすら見る。さすがにすべては見られなんだけれど、一気に見続け、14本くらいか。アホですわ。仕事もこれくらい一生懸命しろよ、と思わんでもないけれど。
昼食後、午睡。かなりくたびれていたらしく、目覚めた時にはもう窓の外は暗くなっていた。起きてから社説のダウンロードなどをし、あとはひたすら読書。ページを繰る手が止まらん。夕食後、しばらく妻と歓談。ひと区切り着いたところで、また読書の続き。切りのいいところでなんとかしおりを挟んだけれど、この日記を書くという習慣が無かったら、明日の朝まで読みふけっていることでしょう。
宮部みゆき「ソロモンの偽証2 第I部事件 下」(新潮文庫)読了。柏木の死はテレビ番組で取り上げられ、それによって津崎校長と担任の森内教諭は辞職することになる。教頭が校長代理となり、保護者に対しうまく事件をまとめてしまう。一方、第一発見者の野田健二は両親とのトラブルが原因で、二人とも殺害しようと計画を立て、実行に移そうとしてしまうところを、藤野涼子とその父の剛に助けられ、実行直前で殺害せずにすむ。さらに、同じクラスの浅井松子が夜に謎の外出をし、自動車事故で亡くなってしまう。様々な事件に涼子にはいろいろと引っかかることが多く、真実を知らなければならないと考え始め……という話。次々と起こる事柄を非常に丹念に描き、登場人物すべての心情や表と裏の面をリアリティのあるタッチで綴っていく。中学教師たちの動きなどは、若い頃、3年くらい中学校で講師をしていた私にはさもあらんというリアルさがあり、どこまで取材しているんやろうと思う。むろん、主要な登場人物である中学生たちの思春期特有の揺れる思い、そして背景となっているバブル景気時代の状況など、リアリティ満点。全く事件は解決していないのに、解決したことにしてしまおうとする大人たちの思惑は、中学生たちには通じない。かくして、ベースとなる事件は出そろった。次巻からは真相解明に向け新しい展開となる。読みだしたら止まらない。さすが手練れの一言に尽きます。
昼食後、午睡。かなりくたびれていたらしく、目覚めた時にはもう窓の外は暗くなっていた。起きてから社説のダウンロードなどをし、あとはひたすら読書。ページを繰る手が止まらん。夕食後、しばらく妻と歓談。ひと区切り着いたところで、また読書の続き。切りのいいところでなんとかしおりを挟んだけれど、この日記を書くという習慣が無かったら、明日の朝まで読みふけっていることでしょう。
宮部みゆき「ソロモンの偽証2 第I部事件 下」(新潮文庫)読了。柏木の死はテレビ番組で取り上げられ、それによって津崎校長と担任の森内教諭は辞職することになる。教頭が校長代理となり、保護者に対しうまく事件をまとめてしまう。一方、第一発見者の野田健二は両親とのトラブルが原因で、二人とも殺害しようと計画を立て、実行に移そうとしてしまうところを、藤野涼子とその父の剛に助けられ、実行直前で殺害せずにすむ。さらに、同じクラスの浅井松子が夜に謎の外出をし、自動車事故で亡くなってしまう。様々な事件に涼子にはいろいろと引っかかることが多く、真実を知らなければならないと考え始め……という話。次々と起こる事柄を非常に丹念に描き、登場人物すべての心情や表と裏の面をリアリティのあるタッチで綴っていく。中学教師たちの動きなどは、若い頃、3年くらい中学校で講師をしていた私にはさもあらんというリアルさがあり、どこまで取材しているんやろうと思う。むろん、主要な登場人物である中学生たちの思春期特有の揺れる思い、そして背景となっているバブル景気時代の状況など、リアリティ満点。全く事件は解決していないのに、解決したことにしてしまおうとする大人たちの思惑は、中学生たちには通じない。かくして、ベースとなる事件は出そろった。次巻からは真相解明に向け新しい展開となる。読みだしたら止まらない。さすが手練れの一言に尽きます。
香君3・4 遥かな道 [読書全般]
今日も出勤日。朝から寒い。出勤するだけで辛い。昼休み、一服つけに外に出たら、風はきついは粉雪は舞うは。がたがた震えるというところまではいかなんだけれど、体力を削られる感じ。
4コマの授業をなんとかこなし、定時に退出。一目散に帰宅。妻は日帰り帰省。妻の実家も相当冷える土地柄。かなりきつかった模様。夕食をはさんで読書やら社説のダウンロードやら。気がつけば寝落ち。明日は休みと思うとよけいにほっとして疲れが出たか。いやはやきつい一日でした。
上橋菜穂子「香君3・4 遥かな道」(文春文庫)読了。下巻を二分冊したもの。上巻と同様2冊一気に読んでしまう。オアレ稲につく害虫オオヨマ。アイシャが捕らえられたオゴダ藩では肥料を工夫してオオヨマにも負けないオアレ稲を栽培していた。帝国の版図にその栽培法が一気に広まるが、アイシャにはオアレ稲の悲鳴が聞こえていた。そしてオオヨマの天敵の新種のバッタが大量に飛来してくるが、そのバッタはオオヨマを食らうと産卵して一気に増え、オアレ稲はおろかあたりの植物を一気に食らいつくす。香君オリエとともにアイシャとマシュウは帝国の版図を救う策を考えつくが、帝国の貴族たちの反発にあい……という話。植物の声が香りとともに消えるアイシャの異能がこの物語のカギ。そして上巻でも触れたが、食糧をもとに周辺諸国を従えてきた帝国が、害虫により根本から揺さぶられる危機にあうのをどのようにアイシャが救うのか、アイシャたちの策がどのようにして帝国の貴族たちに受け入れられるのか、そのあたりがこの物語の山場となる。作者の物語の中では比較的地味な物語ではあるが、主食を支配の手段としてきた帝国の弱点はその主食にあったという皮肉な展開が、作者の狙いであるることは間違いないやろう。現実の世界では去年から米の価格が急騰し、都市部ではスーパーから米が消えてしまうという事態になった。作者がそれを予見していたとは言わんが、そういう危機が訪れた時にどうすべきかというのは人類史上常につきまとう問題であることは確か。作者は主食をいかに確保するか、1種類の主食に頼りすぎることの危険性と、食糧自給の重要性をファンタジーという器で読み手に警告しているんやね。アイシャという少女の数奇な運命がその危機を救うことになるけれど、上巻の初めに彼女が殺されかけるのをマシュウが救うたことがのちに帝国全体を救うことになるという皮肉。目先の欲得で簡単に異能者を排除してしまう貴族の愚かさなども、本作の読みどころとなっている。作者のテーマは常にそういう特別な存在の孤独や、そういうマイノリティにより救われる社会というところにある。本作もまた、そういう多様性の重視がテーマとなっている。作者のシリーズでは比較的地味ではあるけれど、重い問題提起をしている秀作であると感じた。
4コマの授業をなんとかこなし、定時に退出。一目散に帰宅。妻は日帰り帰省。妻の実家も相当冷える土地柄。かなりきつかった模様。夕食をはさんで読書やら社説のダウンロードやら。気がつけば寝落ち。明日は休みと思うとよけいにほっとして疲れが出たか。いやはやきつい一日でした。
上橋菜穂子「香君3・4 遥かな道」(文春文庫)読了。下巻を二分冊したもの。上巻と同様2冊一気に読んでしまう。オアレ稲につく害虫オオヨマ。アイシャが捕らえられたオゴダ藩では肥料を工夫してオオヨマにも負けないオアレ稲を栽培していた。帝国の版図にその栽培法が一気に広まるが、アイシャにはオアレ稲の悲鳴が聞こえていた。そしてオオヨマの天敵の新種のバッタが大量に飛来してくるが、そのバッタはオオヨマを食らうと産卵して一気に増え、オアレ稲はおろかあたりの植物を一気に食らいつくす。香君オリエとともにアイシャとマシュウは帝国の版図を救う策を考えつくが、帝国の貴族たちの反発にあい……という話。植物の声が香りとともに消えるアイシャの異能がこの物語のカギ。そして上巻でも触れたが、食糧をもとに周辺諸国を従えてきた帝国が、害虫により根本から揺さぶられる危機にあうのをどのようにアイシャが救うのか、アイシャたちの策がどのようにして帝国の貴族たちに受け入れられるのか、そのあたりがこの物語の山場となる。作者の物語の中では比較的地味な物語ではあるが、主食を支配の手段としてきた帝国の弱点はその主食にあったという皮肉な展開が、作者の狙いであるることは間違いないやろう。現実の世界では去年から米の価格が急騰し、都市部ではスーパーから米が消えてしまうという事態になった。作者がそれを予見していたとは言わんが、そういう危機が訪れた時にどうすべきかというのは人類史上常につきまとう問題であることは確か。作者は主食をいかに確保するか、1種類の主食に頼りすぎることの危険性と、食糧自給の重要性をファンタジーという器で読み手に警告しているんやね。アイシャという少女の数奇な運命がその危機を救うことになるけれど、上巻の初めに彼女が殺されかけるのをマシュウが救うたことがのちに帝国全体を救うことになるという皮肉。目先の欲得で簡単に異能者を排除してしまう貴族の愚かさなども、本作の読みどころとなっている。作者のテーマは常にそういう特別な存在の孤独や、そういうマイノリティにより救われる社会というところにある。本作もまた、そういう多様性の重視がテーマとなっている。作者のシリーズでは比較的地味ではあるけれど、重い問題提起をしている秀作であると感じた。
ソロモンの偽証1 第I部事件 上 [読書全般]
今日は出勤日。そろそろ寒波が来るということで、寒い1日。そろそろ試験問題を作らねばならんので、問題のサンプルやら過去問やら、応用問題に使う新聞記事やらを空き時間に見てみたりしてたんやけれど、なんかしらん集中力が散漫で成果なし。明日はなんとかしたい。授業は3コマ。内容的にも大詰め。とにかく試験範囲の予定となっているところまでひたすら授業を続けるのみ。
定時を少し回って退出。書店などに寄ったりしてから帰宅。すぐに寝床にどぶさる。しばらく読書。夕食後、社説のダウンロードなどをしてからまた読書。だんだん眠くなってきた。切りのいいところでなんとか中断。思うてたより疲労感があり、早めに寝て疲れをとらんとあかんね。
宮部みゆき「ソロモンの偽証1 第I部事件 上」(新潮文庫)読了。舞台はバブル経済真っただ中の1990年ごろ。不登校になっていた中学2年生の男子、柏木卓也がクリスマスイブの深夜に学校の屋上から墜落死する。自殺として処理されたが、彼をいじめていた不良たちに殺されたという怪文書が学校などに送りつけられ、その死をめぐって人間関係が動き始める……という話。死亡した卓也の級友、第一発見者の野田健一。優等生とみなされている藤野涼子。感情に流されやすい倉田まり子。不良たちのリーダー格の大出俊次と粗暴な父親の大出勝。コンプレックスの塊である三宅樹理。弟の死に対して含むところのある兄の柏木宏之。冷静に対処する津崎校長。学校内の問題として納めようとする学年主任の高木。生徒に人気のある若い担任の森内。そして涼子の父親である警視庁勤務の刑事藤野剛。様々な人物が、事件に対して複雑な感情を抱きながら動いていく。文庫本で全6冊の第1巻である本書は、それら登場人物が卓也の死に対して抱いた感情や行動を丹念に描いていく。いわば序章というべきところなんやけれど、その登場人物の描き分けや、複雑に絡み合う人間関係の描写に惹きこまれてしまう。こんなものは通勤の車中で読むもんやないですね。仕事なんかほっぼり出して最後まで一気に読みたくなる。いつもならしばらく間をおいて続きを読むところなんやけれど、これはとてもそんなことはできそうにない。でも、2巻目を持って行っていたりしたら、仕事そっちのけで読んでしまいそうやったので、続きをもってぃっていなくてよかった。さて、これら登場人物が今後どう動いていくのか。早く続きを読もうと思う。
定時を少し回って退出。書店などに寄ったりしてから帰宅。すぐに寝床にどぶさる。しばらく読書。夕食後、社説のダウンロードなどをしてからまた読書。だんだん眠くなってきた。切りのいいところでなんとか中断。思うてたより疲労感があり、早めに寝て疲れをとらんとあかんね。
宮部みゆき「ソロモンの偽証1 第I部事件 上」(新潮文庫)読了。舞台はバブル経済真っただ中の1990年ごろ。不登校になっていた中学2年生の男子、柏木卓也がクリスマスイブの深夜に学校の屋上から墜落死する。自殺として処理されたが、彼をいじめていた不良たちに殺されたという怪文書が学校などに送りつけられ、その死をめぐって人間関係が動き始める……という話。死亡した卓也の級友、第一発見者の野田健一。優等生とみなされている藤野涼子。感情に流されやすい倉田まり子。不良たちのリーダー格の大出俊次と粗暴な父親の大出勝。コンプレックスの塊である三宅樹理。弟の死に対して含むところのある兄の柏木宏之。冷静に対処する津崎校長。学校内の問題として納めようとする学年主任の高木。生徒に人気のある若い担任の森内。そして涼子の父親である警視庁勤務の刑事藤野剛。様々な人物が、事件に対して複雑な感情を抱きながら動いていく。文庫本で全6冊の第1巻である本書は、それら登場人物が卓也の死に対して抱いた感情や行動を丹念に描いていく。いわば序章というべきところなんやけれど、その登場人物の描き分けや、複雑に絡み合う人間関係の描写に惹きこまれてしまう。こんなものは通勤の車中で読むもんやないですね。仕事なんかほっぼり出して最後まで一気に読みたくなる。いつもならしばらく間をおいて続きを読むところなんやけれど、これはとてもそんなことはできそうにない。でも、2巻目を持って行っていたりしたら、仕事そっちのけで読んでしまいそうやったので、続きをもってぃっていなくてよかった。さて、これら登場人物が今後どう動いていくのか。早く続きを読もうと思う。
力道山 [読書全般]
今日は節分。昨日より寒さはましに。朝から昨夜録画した深夜アニメやら「仮面ライダーガヴ」やら「ブンブンジャー」やらを見る。「プリキュア」は新シリーズの開始。前シリーズはいつもの「プリキュア」とは違う感じ(そういえばカタカナでなく「ぷりきゅあ」とひらがなやった)やったけれど、今回はいつもの「プリキュア」と同じような感じ。ええ歳をしたおっサンが「プリキュア」を語るというのもなんですけれど。
昼食後、午睡。夕刻起きて社説のダウンロードやら読書やら。
夕食はもちろん「恵方巻」などというものは食さず、イワシと福豆。我が家は船場の商家と違うから、そんな風習は関係ないのです。
夕食後も読書の続き。この4日間はほんま、晴読雨読でした。
斎藤文彦「力道山――『プロレス神話』と戦後日本」(岩波新書)読了。「力道山」とは日本にとって何者やったか。「力道山」にとって日本とは何やったかを、その生涯をたどることによって明らかにしようという試み。数多くの文献や当時の新聞記事を読み解き、朝鮮半島出身の若者が何を求めて相撲界に入り、何を思って髷を自ら切り、そしてどのようにしてプロレスと出会い、どのようにプロレスという新しい文化を日本に移植し、定着させていったかをたどっている。そこには日本という狭い枠を脱して広い世界を求めた男と、戦後に復興、発展しようとする時代がものの見事にリンクしていった様子が描かれる。また、力道山とは別ルートでプロレスという世界に入ってきた木村政男らとの比較により、力道山という人物の特別さが浮き彫りにされていく。著者は私と同世代のプロレスライター。したがって力道山を生で見た記憶はない。しかし、力道山の次の世代のジャイアント馬場とアントニオ猪木についてはリアルタイムで見てきた世代である。つまり、力道山が作り上げた「日本のプロレス」をそれぞれの個性で発展、展開させていったのを知っている。そやからこそ、自分たちの世代が知るプロレスの源流というものをたどろうという思いも強かったんやないかと思う。戦前戦後の日本の様子、そしてその中でヒーローとして生きた力道山の実像と虚像。それらを真摯に解き明かそうとした意欲的な試みが本書で、それは昭和へのノスタルジーではなく、歴史となった「昭和」のある一面をあぶりだす試みなんやろう。なぜ今「力道山」なのか。それは読み手の世代別によって受け止め方は変わると思うけれど、「時代と寝る」というのはこういうことなんやと感じさせる一冊になっていることは間違いなかろう。
昼食後、午睡。夕刻起きて社説のダウンロードやら読書やら。
夕食はもちろん「恵方巻」などというものは食さず、イワシと福豆。我が家は船場の商家と違うから、そんな風習は関係ないのです。
夕食後も読書の続き。この4日間はほんま、晴読雨読でした。
斎藤文彦「力道山――『プロレス神話』と戦後日本」(岩波新書)読了。「力道山」とは日本にとって何者やったか。「力道山」にとって日本とは何やったかを、その生涯をたどることによって明らかにしようという試み。数多くの文献や当時の新聞記事を読み解き、朝鮮半島出身の若者が何を求めて相撲界に入り、何を思って髷を自ら切り、そしてどのようにしてプロレスと出会い、どのようにプロレスという新しい文化を日本に移植し、定着させていったかをたどっている。そこには日本という狭い枠を脱して広い世界を求めた男と、戦後に復興、発展しようとする時代がものの見事にリンクしていった様子が描かれる。また、力道山とは別ルートでプロレスという世界に入ってきた木村政男らとの比較により、力道山という人物の特別さが浮き彫りにされていく。著者は私と同世代のプロレスライター。したがって力道山を生で見た記憶はない。しかし、力道山の次の世代のジャイアント馬場とアントニオ猪木についてはリアルタイムで見てきた世代である。つまり、力道山が作り上げた「日本のプロレス」をそれぞれの個性で発展、展開させていったのを知っている。そやからこそ、自分たちの世代が知るプロレスの源流というものをたどろうという思いも強かったんやないかと思う。戦前戦後の日本の様子、そしてその中でヒーローとして生きた力道山の実像と虚像。それらを真摯に解き明かそうとした意欲的な試みが本書で、それは昭和へのノスタルジーではなく、歴史となった「昭和」のある一面をあぶりだす試みなんやろう。なぜ今「力道山」なのか。それは読み手の世代別によって受け止め方は変わると思うけれど、「時代と寝る」というのはこういうことなんやと感じさせる一冊になっていることは間違いなかろう。
スケープゴート [読書全般]
今日も朝から昨夜録画した深夜アニメやら再放送の「カムカムエブリバディ」やら少しだけためていた大河ドラマ「べらぼう」を先週日曜の分まで見たりする。
昼食後、午睡し、夕刻目覚めてからはスマホをいじったり読書をしたり。夕食後もひたすら読書。外は雨。この週末は晴読雨読の毎日ですね。
ダフネ・デュ・モーリア/務台夏子・訳「スケープゴート」(創元推理文庫)読了。英国人の歴史学者ジョンは、フランスでの講義の帰途、自分とそっくりの男、ジャンと出会う。ジャンはジョンが寝ている間に彼の持ち物をすべて奪い、逐電してしまう。ジャンを迎えに来た車に乗せられ、彼はジャン・ドゥ・ギ伯爵として迎え入れられる。かくして1週間、彼はジャンとして生活することになる。険悪な関係の家族たちや、本物のジャンの過去の行状のために翻弄されるジョンだったが、事情が呑み込めるうちに彼はジャンとして直面する様々な問題に対して悪戦苦闘しながらも解決の道を図ろうとするが、それが裏目に出ることも。そんな中、一人娘のマリー-ノエルが失踪してしまい……という話。ジャン・ドゥ・ギなる人物のことがわからないままにその人物になり切ろうとする主人公と本書の読み手は次々と起こる出来事に同じように戸惑い、翻弄されていく。そのサスペンスたるや、読み手をとらえて離さない。ジョンがジャンであると信じて疑わない周囲の人々には違和感を覚えるけれど、そこは作者の仕掛けということで目をつむるしかない。その仕掛けが実にうまくできているだけに、読み手ははらはらしてしまう。ジャンの愛犬だけが主人とは別人であるということがわかって吠えたりするのですね。読んでいるうちに、本物のジャンが帰ってきたらどうなるのかと心配になってきたりする。そこらあたり、ラストまで読まんとわからんようになっているのもうまい。天涯孤独やったジョンが、別人のものとはいえ、家族や故郷を持ち、領地の人々や家族たちに愛着を感じるようになっていくあたりの心情の描写が優れているので、ラストは実にほろ苦い味わい。そして、読後、この物語の後日談を読みたくなってしまうという余韻。なんともいえぬ不思議な味わいの残るお話でありました。
昼食後、午睡し、夕刻目覚めてからはスマホをいじったり読書をしたり。夕食後もひたすら読書。外は雨。この週末は晴読雨読の毎日ですね。
ダフネ・デュ・モーリア/務台夏子・訳「スケープゴート」(創元推理文庫)読了。英国人の歴史学者ジョンは、フランスでの講義の帰途、自分とそっくりの男、ジャンと出会う。ジャンはジョンが寝ている間に彼の持ち物をすべて奪い、逐電してしまう。ジャンを迎えに来た車に乗せられ、彼はジャン・ドゥ・ギ伯爵として迎え入れられる。かくして1週間、彼はジャンとして生活することになる。険悪な関係の家族たちや、本物のジャンの過去の行状のために翻弄されるジョンだったが、事情が呑み込めるうちに彼はジャンとして直面する様々な問題に対して悪戦苦闘しながらも解決の道を図ろうとするが、それが裏目に出ることも。そんな中、一人娘のマリー-ノエルが失踪してしまい……という話。ジャン・ドゥ・ギなる人物のことがわからないままにその人物になり切ろうとする主人公と本書の読み手は次々と起こる出来事に同じように戸惑い、翻弄されていく。そのサスペンスたるや、読み手をとらえて離さない。ジョンがジャンであると信じて疑わない周囲の人々には違和感を覚えるけれど、そこは作者の仕掛けということで目をつむるしかない。その仕掛けが実にうまくできているだけに、読み手ははらはらしてしまう。ジャンの愛犬だけが主人とは別人であるということがわかって吠えたりするのですね。読んでいるうちに、本物のジャンが帰ってきたらどうなるのかと心配になってきたりする。そこらあたり、ラストまで読まんとわからんようになっているのもうまい。天涯孤独やったジョンが、別人のものとはいえ、家族や故郷を持ち、領地の人々や家族たちに愛着を感じるようになっていくあたりの心情の描写が優れているので、ラストは実にほろ苦い味わい。そして、読後、この物語の後日談を読みたくなってしまうという余韻。なんともいえぬ不思議な味わいの残るお話でありました。
天下を買った女 [読書全般]
今日も定休日。昨日までに録画した今週の深夜アニメはほぼ見る。来週から見るのをやめるものがまた1本。もう少し減らしたいところ。あとは少し読書。
昼食後は午睡。その間に妻は日帰り帰省。夕刻起きて、社説のダウンロードやら読書やら。妻が帰宅した後もしばらく読書。夕食後も読書の続き。読めるときに読めるだけ読みたい。明日からは寒さが厳しくなるという予報。明日もアニメと読書で過ごすことになるのかな。
伊東潤「天下を買った女 室町擾乱」(角川文庫)読了。日野富子。室町幕府八代将軍足利義政の妻にして、悪妻、あるいは守銭奴という評判の高い女性。本書は彼女を主人公に、応仁・文明の乱の経緯と、彼女が果たした役割を描いたもの。富子が女性としてできることは、世継ぎを生むことと、銭を大名たちに貸し、それを取り立てることにより大名たちの力をそいで乱を終結させること。東軍の細川勝元や西軍の山名宗全を前に一歩も引かず、政務に関心のない夫義政に代わり幕政を動かす、強い女としての側面と、帝の前で初めて恋心を抱く裏の面などを描く。応仁・文明の乱というのは非常にややこしい戦で、その全体像を作者は非常に細かく綴っている。ただ、小説としてみた時、そこまで細かく説明が必要だったかどうかは読み手によって意見が分かれるところやと思う。私は、あくまで富子の視点からのみ描き、富子が知り得ないところは簡略化すべきやなかったかと感じた。というのも、戦の進行を説明することに追われ、富子の人物像が今一つはっきりと読み手に伝わってこず、乱世を生き抜いた一人の女性の心情に奥深く踏みこめていないという感じがするからで、読了後、富子という女性の生き方に対してあまり感慨深い心境にならなんだからね。他の作家と比較してはいかんのやろうけれど、木下昌輝が描いた応仁の乱は、まさに地獄図ともいうべき戦の描写が際立っていたし、朝井まかての描く女性たちは女性であるということをとことん突き詰めて、そのすさまじい生き方を読み手に叩きつけてくる。そういった凄みが本書からは感じ取れなかった。せっかくすさまじい世を生き抜いた女傑を主人公にしたのに、そこらあたりもったいないなあと感じた次第。作者は応仁・文明の乱とはどういう時代やったかを細かく描写しようと頑張ったと思うんやけれど、もう少し焦点を絞っていたらもっと面白いものになっていたのにと感じた次第。
昼食後は午睡。その間に妻は日帰り帰省。夕刻起きて、社説のダウンロードやら読書やら。妻が帰宅した後もしばらく読書。夕食後も読書の続き。読めるときに読めるだけ読みたい。明日からは寒さが厳しくなるという予報。明日もアニメと読書で過ごすことになるのかな。
伊東潤「天下を買った女 室町擾乱」(角川文庫)読了。日野富子。室町幕府八代将軍足利義政の妻にして、悪妻、あるいは守銭奴という評判の高い女性。本書は彼女を主人公に、応仁・文明の乱の経緯と、彼女が果たした役割を描いたもの。富子が女性としてできることは、世継ぎを生むことと、銭を大名たちに貸し、それを取り立てることにより大名たちの力をそいで乱を終結させること。東軍の細川勝元や西軍の山名宗全を前に一歩も引かず、政務に関心のない夫義政に代わり幕政を動かす、強い女としての側面と、帝の前で初めて恋心を抱く裏の面などを描く。応仁・文明の乱というのは非常にややこしい戦で、その全体像を作者は非常に細かく綴っている。ただ、小説としてみた時、そこまで細かく説明が必要だったかどうかは読み手によって意見が分かれるところやと思う。私は、あくまで富子の視点からのみ描き、富子が知り得ないところは簡略化すべきやなかったかと感じた。というのも、戦の進行を説明することに追われ、富子の人物像が今一つはっきりと読み手に伝わってこず、乱世を生き抜いた一人の女性の心情に奥深く踏みこめていないという感じがするからで、読了後、富子という女性の生き方に対してあまり感慨深い心境にならなんだからね。他の作家と比較してはいかんのやろうけれど、木下昌輝が描いた応仁の乱は、まさに地獄図ともいうべき戦の描写が際立っていたし、朝井まかての描く女性たちは女性であるということをとことん突き詰めて、そのすさまじい生き方を読み手に叩きつけてくる。そういった凄みが本書からは感じ取れなかった。せっかくすさまじい世を生き抜いた女傑を主人公にしたのに、そこらあたりもったいないなあと感じた次第。作者は応仁・文明の乱とはどういう時代やったかを細かく描写しようと頑張ったと思うんやけれど、もう少し焦点を絞っていたらもっと面白いものになっていたのにと感じた次第。
香君1・2 西から来た少女 [読書全般]
今日は定休日。朝はゆっくり目に目覚め、朝食後は昨日の深夜までに録画したアニメをひたすら見る。さすがに未視聴のものすべては見切れず。ただ、来週から見るのをやめるものもあったりする。1本でも見切りをつけておかんとな。
昼食後、午睡。夕刻起きて社説のダウンロードやら読書やら。
夕食後も読書。外は今日も寒く、出る気にならん。
上橋菜穂子「香君1・2 西から来た少女」(文春文庫)読了。親本は上下巻で、文庫化にあたってそれぞれを二分冊している。そのまま文庫化してもええようなもんやけれど、分厚くなると売れんとか、そういう事情があるのかな。というわけで分冊されたものを一気に2冊読む。
主人公は、植物や昆虫の感じていることを香りで聞く事ができる少女アイシャ。彼女の祖父は旧藩主ながら失政をしたということで失踪。彼女と弟は処刑寸前のところを視察官マシュウにより助けられ、帝国の象徴である香君オリエのもとで下働きをする。アイシャの能力を知ったオリエは、自分には備わっていないその能力を生かそうとする。帝国は主食であるオアレ稲の生産法を一手に握ることで各藩を配下におさめていたが、オアレ稲の害虫の発生で小さな藩から餓死者が続出する事態に陥る。オリエとマシュウはアイシャの能力を使い、その危機を乗り切ろうとするが……という話。帝国が食糧を使い権力を集中させているという設定が秀逸。それが害虫によって揺らぎ始めるわけで、強大な力を持つ帝国の権力にほころびが見え始めた時に、異能者である主人公が少しずつ力を発揮し始めるという展開も面白い。なにより、帝国の権力の象徴である香君オリエは、本来なら持っていなければならない異能を持ち合わせず、それは帝国の版図にある人々には知らされていないという設定が、アイシャの存在を際立たせている。この上巻ではアイシャたちが反乱分子を前に窮地に追いやられるところで話が終わっている。この危機をどう打開していくのか、文庫にして残り2冊となる完結編が楽しみである。ファンタジー世界と現実的な政治をうまくブレンドした設定は、「守り人」シリーズなどに続き、健在。異能の使い方のうまさもさすがと思わせられるし、その描写もさすがというほかなし。ただ、「守り人」や「エリン」などよりも物語の展開に起伏がないなあと感じる部分も多々あり、そこらあたり、下巻でどう変わっていくのかに期待したい。
昼食後、午睡。夕刻起きて社説のダウンロードやら読書やら。
夕食後も読書。外は今日も寒く、出る気にならん。
上橋菜穂子「香君1・2 西から来た少女」(文春文庫)読了。親本は上下巻で、文庫化にあたってそれぞれを二分冊している。そのまま文庫化してもええようなもんやけれど、分厚くなると売れんとか、そういう事情があるのかな。というわけで分冊されたものを一気に2冊読む。
主人公は、植物や昆虫の感じていることを香りで聞く事ができる少女アイシャ。彼女の祖父は旧藩主ながら失政をしたということで失踪。彼女と弟は処刑寸前のところを視察官マシュウにより助けられ、帝国の象徴である香君オリエのもとで下働きをする。アイシャの能力を知ったオリエは、自分には備わっていないその能力を生かそうとする。帝国は主食であるオアレ稲の生産法を一手に握ることで各藩を配下におさめていたが、オアレ稲の害虫の発生で小さな藩から餓死者が続出する事態に陥る。オリエとマシュウはアイシャの能力を使い、その危機を乗り切ろうとするが……という話。帝国が食糧を使い権力を集中させているという設定が秀逸。それが害虫によって揺らぎ始めるわけで、強大な力を持つ帝国の権力にほころびが見え始めた時に、異能者である主人公が少しずつ力を発揮し始めるという展開も面白い。なにより、帝国の権力の象徴である香君オリエは、本来なら持っていなければならない異能を持ち合わせず、それは帝国の版図にある人々には知らされていないという設定が、アイシャの存在を際立たせている。この上巻ではアイシャたちが反乱分子を前に窮地に追いやられるところで話が終わっている。この危機をどう打開していくのか、文庫にして残り2冊となる完結編が楽しみである。ファンタジー世界と現実的な政治をうまくブレンドした設定は、「守り人」シリーズなどに続き、健在。異能の使い方のうまさもさすがと思わせられるし、その描写もさすがというほかなし。ただ、「守り人」や「エリン」などよりも物語の展開に起伏がないなあと感じる部分も多々あり、そこらあたり、下巻でどう変わっていくのかに期待したい。
午前三時のルースター [読書全般]
今日も出勤日。朝から冷えこみがきつい。当然手洗いに行きたくなる回数も増えるというもの。ところが昨日からトイレは詰まっていて流れが非常に悪い。起き抜けの手洗いは仕方ないとして、いつもなら出勤前にも手洗いに行くところを少し辛抱して、地下鉄の駅の手洗いですます。こういうのがずっと続くのは嫌やなあと思うていた。
今日は3コマ連続授業というきつい日。と、授業と授業の間の休み時間の時に、妻からLINEでメッセージがきているのに気づく。妻が業者に電話したら、何十回かしつこくラバーカップ(スッポン)で圧をかけ続けたらええと言われ、60回くらいしたところでついに詰まりが取れて水がスムーズに流れるようになったという。いやあ、よかった。それでほっとしたというのもあったか、3コマ目の授業が終わり、昼食をとり、外で一服つけたら無性に眠くなり、少し仮眠。これですっきりし、午後は教材研究に没頭できた。定時に退出し、まっすぐ帰宅。
帰宅後は読書。夕食後は社説のダウンロードなどをしたり読書をしたり。また眠くなり、気がつけば寝ていた。いかんいかん。外は雨。ぐっと冷えこむ。明日も寒いのか。通勤がしんどいなあ。
垣根涼介「午前三時のルースター」(文春文庫)読了。「光秀の定理」を読み、同じ作者の現代ものも読んでみたくなった。本書はデビュー作。完成度が高くで驚いた。宝石店のオーナーである祖父にねだり、ベトナムで失踪した父を探したいという慎一郎少年の護衛兼案内人として、旅行代理店に勤める長瀬は少年とともにベトナムに行く。ところが、予約していたホテルもガイドも、長瀬の名で取り消されていた。現地で信頼できそうなタクシー運転手のビエンと、ガイドとして英語をしゃべることのできる売春婦のメイを雇うが、彼ら一行をつけ狙う謎の勢力と遭遇。さらには地元の売春婦を取り仕切る二つの勢力の争いに巻きこまれ、争いを避けながら慎一郎の父を探すが……という話。スピード感がある。わけがわからないうちにいろいろな勢力の争いに巻きこまれ、そこから失踪した父親の足取りをたどる旅のスリル感など、新人賞の応募作とは思えない。なにより、旅の途中で芽生える4人の連帯感や、まだ中学生である少年が大人の闇を覗きこみながら成長していく様子など、無理がない。語り手を常に冷静な長瀬が担っているので、読み手が比較的客観的な気持ちで読み進める事ができる。こういう仕掛けもなかなかのもの。「光秀の定理」と同様、物語を緻密に組み立てられながら、起伏に富んだものにしている。なるほど、デビュー作からほぼ完成されたタイプの作家なんやな。作者の他のものも読みたいと思わせる一冊。時代小説中心にもう少し読み進めていきたい。未読の方はまずはデビュー作から読むことをお薦めいたします。
今日は3コマ連続授業というきつい日。と、授業と授業の間の休み時間の時に、妻からLINEでメッセージがきているのに気づく。妻が業者に電話したら、何十回かしつこくラバーカップ(スッポン)で圧をかけ続けたらええと言われ、60回くらいしたところでついに詰まりが取れて水がスムーズに流れるようになったという。いやあ、よかった。それでほっとしたというのもあったか、3コマ目の授業が終わり、昼食をとり、外で一服つけたら無性に眠くなり、少し仮眠。これですっきりし、午後は教材研究に没頭できた。定時に退出し、まっすぐ帰宅。
帰宅後は読書。夕食後は社説のダウンロードなどをしたり読書をしたり。また眠くなり、気がつけば寝ていた。いかんいかん。外は雨。ぐっと冷えこむ。明日も寒いのか。通勤がしんどいなあ。
垣根涼介「午前三時のルースター」(文春文庫)読了。「光秀の定理」を読み、同じ作者の現代ものも読んでみたくなった。本書はデビュー作。完成度が高くで驚いた。宝石店のオーナーである祖父にねだり、ベトナムで失踪した父を探したいという慎一郎少年の護衛兼案内人として、旅行代理店に勤める長瀬は少年とともにベトナムに行く。ところが、予約していたホテルもガイドも、長瀬の名で取り消されていた。現地で信頼できそうなタクシー運転手のビエンと、ガイドとして英語をしゃべることのできる売春婦のメイを雇うが、彼ら一行をつけ狙う謎の勢力と遭遇。さらには地元の売春婦を取り仕切る二つの勢力の争いに巻きこまれ、争いを避けながら慎一郎の父を探すが……という話。スピード感がある。わけがわからないうちにいろいろな勢力の争いに巻きこまれ、そこから失踪した父親の足取りをたどる旅のスリル感など、新人賞の応募作とは思えない。なにより、旅の途中で芽生える4人の連帯感や、まだ中学生である少年が大人の闇を覗きこみながら成長していく様子など、無理がない。語り手を常に冷静な長瀬が担っているので、読み手が比較的客観的な気持ちで読み進める事ができる。こういう仕掛けもなかなかのもの。「光秀の定理」と同様、物語を緻密に組み立てられながら、起伏に富んだものにしている。なるほど、デビュー作からほぼ完成されたタイプの作家なんやな。作者の他のものも読みたいと思わせる一冊。時代小説中心にもう少し読み進めていきたい。未読の方はまずはデビュー作から読むことをお薦めいたします。