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初ものがたり [読書全般]

 本日は定休日。例によって朝から録画したアニメなどを見る。劇場版「ソードアートオンライン」のように長時間かかるものも見てしまう。やはり劇場版のものはストーリーも凝縮されていて、面白かったけれど疲れた。昼食後、午睡。夕刻起きてスマホをいじったり、夕食時にはサンテレビ「熱血! タイガース党」を見たりする。今週のゲストは大山悠輔内野手。多弁ではないけれど、言葉の一つ一つにチームを背負っているという自覚を感じさせ、ますます好感を持った。
 夕食後は妻と地震の話をしたりしたあと、寝床で読書。面白くて最後まで読み切る。今日は寝落ちせずにすみよかったよかった。
 宮部みゆき「<完本>初ものがたり」(PHP文芸文庫)読了。新潮文庫版もあるけれど、本書はその後に愛蔵版のために書きおろされたものや単行本未収録のものも含めた完全版。舞台は江戸の本所深川。「半七捕物帳」の半七親分を思わせる茂七親分が手下の糸吉、権三とともに様々な事件を解決する捕物帳の連作。それぞれ季節の食材が物語に関わるのでその季節の初ものとひっかけて表題になっている。物語は全部で9編。いずれも親子や兄弟、家族にまつわる事件で、血のつながりと人の情とは別物であるというところがポイント。もと武士で、夜中まで屋台で稲荷寿司を売る親父の正体や、霊感を持つ少年などレギュラーとなる登場人物の秘密についても謎を各編にちりばめているという凝った作りになっているのも楽しい。ただし、<完本>ではあるがそれらの秘密については作者は明かさずにシリーズを完結させている。あとがきによるとやはり本所深川を舞台にした別なシリーズの中で明らかになっていくとのこと。というわけで、今後は作者の時代小説にぼちぼちとつきあうて行くことになりそう。とにかくどの短編も仕掛けがうまく、しかも必ずしも人情ものばかりではなく、人の影の部分をえぐり出すようなものも多く、そこらあたりが本書の魅力になっている。いわば茂七親分は狂言回し的な役割で、主役はそれぞれの作品に登場する人々の光と影、ということが言えそう。茂七親分自身にあまり強烈な個性を持たせていないで、周辺の人物のキャラクターを際立たせているのもそのためなんやろう。私は別に時代小説のよい読み手やないけれど、こういった冷徹さがたぶん他の作家との一線を画していると言えるんやないやろうか。

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