SSブログ

日暮らし [読書全般]

 今日は定休日。一日外出もせず録画した番組を見たり、読書したり、午睡したりして過ごす。妻は日帰り帰省。夕食後、社説のダウンロードなどスマホをいじっていたら、寝落ち。ふらつき以来、ものすごく疲れやすくなっている。どうしたものだか。
 宮部みゆき「日暮らし 上・下」(講談社文庫)読了。「ぼんくら」の続編にあたる。「ぼんくら」では未解決となっていた湊屋と佐吉に関する秘密が殺人事件をきっかけに明らかになっていく。佐吉の実の母で、湊屋の主人がかくまっていた葵が初めて登場し、その人情家である部分を「子盗り鬼」で初めて見せるけれど、「日暮らし」では扼殺死体として再登場。葵という女性そのものの素顔は見せられないまま、平四郎は下手人としてつかまえられた佐吉を助けるために真犯人探し。「ぼんくら」で描かれた人間関係がさらに深められるだけではなく、いくつかの無関係と思われる事件を描いた短編が、「日暮らし」という長編で見事に一つの大きな流れにまとまっていくという、作者の手腕のみごとさを堪能できる。岡っ引きは使わない主義の平四郎が政五郎につい頼ってしまったり、弓之助の名探偵ぶりが際立っていたり、おでこが自分の存在価値について悩んだりと、続編だからできる登場人物の変化なども読みどころのひとつ。実はシリーズものというのは意外と変化を嫌うもので、こうやってちゃんとその変化を(進歩であれ退歩であれ)きっちりと描きながら、それが物語の進行とちゃんとからまっていくというのは難しかったりするものなんですね。
 それが難しいから、ラノベではゲームキャラのようにステータスだのレベルだのの数値を持ちだしてその変化を示そうとしたりするのです。それがいくら興ざめになろうと、そういう方法でしか登場人物の成長を描くことができない作家の力量というてしもうたらそれまでなんやけれど。そやから、ラノベしか読まれへん人にはぜひこのシリーズをお薦めしたい。人間の変化というのはこういうもので、それを表現できる作家の力量とはこういうものなんですよ、と。シリーズはまだ少しだけ続く。次の巻も楽しみです。

 先日の日記「昭和98年」に対してご教示がございました。今年は「昭和99年」でした。産経新聞の論説委員の書きようで、つい今年も100年式典の2年前やと一人合点した私のミスでございます。ちゃんと計算せいよ、と自分に対して叱咤しております。ほんま、アホですわ。申し訳ございません。今後もご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。