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阪神VS巨人 [読書全般]

 今日は定休日。昨日疲れていたせいか、目覚めは遅め。午前中は例によって、日曜深夜から昨日の深夜までに録画した番組をひたすら見る。ただ、量が多く、すべて見ることはできず。何本か残したので、残りは明日見ることにする。NHK朝のテレビ小説「らんまん」の最終週も残っていたので、一気に見てしまう。これでやっと「ブギウギ」が見られる。
 午睡は少し長め。夕刻起きて、社説のダウンロードやら読書やら。夕食後も読書。
 とにかくテレビを見ているか本を読んでいるかスマホをいじっているか寝ているか、という一日。
 橘木俊詔「阪神VS巨人 『大阪』VS『東京』の代理戦争」(潮新書)読了。別に優勝便乗本やないです。発行は2020年9月。ジャイアンツは原監督が復帰してカープから丸選手をフリーエージェントで獲得し連覇を果たした年。タイガースは矢野監督1年目でなんとか3位にすべりこんだ年。「伝統の一戦」といわれるタイガースとジャイアンツの対立の構図を、大阪と東京の対立の構図に当てはめ、それ以外の東西の比較も取り入れたもの。著者は労働経済学者。ただ、この東西対立の構造という図式がすでに古臭い。むろん著者は3年後にタイガースが岡田監督のもとで日本一となり、その対戦相手がバファローズであるということはむろん知り得ないわけで、ついでに言うと、本書の発行された年の日本シリーズはホークスとジャイアンツで、ジャイアンツが2年連続でホークスに4連敗し、そこからジャイアンツの凋落が始まるということも予測できてへん。そのことを踏まえたうえで読んでも、いささかこじつけめいた感があることは否めん。しかも本の構成はタイガースとジャイアンツの創立以来の「ライバル」史と景浦対沢村にはじまるライバル選手列伝を少しばかり書きしるし、鉄道会社と新聞社という比較しようのない親会社の比較をしたり、大阪と東京の経済的な比較、大阪漫才対東京落語などの文化の比較と、なんとか東西の対立からタイガースとジャイアンツがライバルとして対戦するのが関西偉人と東京人の代理戦争であると無理に結論づけている。いろいろと資料を読みこんでいるけれど、それをうまく使いこなせていない印象がある。さらに「江川ドラフト破り」の時にはやった「エガワる」(ルール破りをしながらも開き直る、くらいの意)のことを「エガワル(悪)」と誤認していたりとするような事実誤認も散見される。たぶん私が本書を買うた時は、何か新しい知見があるんやないかと期待したんやと思うけれど、買うてすぐに読んでもたぶん感想は変わらなんだと思う。前提となる大阪と東京の対立という図式が古臭く、構成も散漫。おそらく当時話題になったW・ケリー「虎とバット」に触発されて書いたものやないかと想像するんやけれど、内容的にはそれよりも薄いと断じざるを得ん。たまたま未読の本の中から目についたんで読んでみたんやけれど、内容的には残念なものやったとしか言いようがない。

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雫石鉄也

この手の本では、私は井上章一さんの
「阪神タイガースの正体」が一番記憶に残ってます。
https://blog.goo.ne.jp/ebisu0014/e/227b8001bf163709a37ef3d70db49f71

喜多さんには釈迦に説法かも知れませんが、タイガースははじめはパリーグに所属するはずだったんですね。それが阪急、南海、近鉄といった電鉄仲間を裏切って巨人恋しさにセリーグにいったんですね。
阪神が本気でライバル視してたのは阪急だったそうですね。
by 雫石鉄也 (2023-11-10 07:45) 

t-kita

 私も「阪神タイガースの正体」は愛読していました。ただ、この「阪神VS巨人」という本は大阪と東京の代理戦争という視点でタイガースとジャイアンツの比較をするというつくりなので、「阪神タイガースの正体」とはちょっと性質が違うもので、本文に書いたようにこじつけめいたところが目立つという難点があるので比較にもなりません。
 毎日新聞社のもくろみでは関西の電鉄会社を一つのリーグで争わせることで人気を高めようとしたのでしょうね。ここらあたりの内情は松木謙治郎「タイガースの生い立ち」などにくわしく書かれています。ちなみに初代監督の森茂雄さんがクビになったのは、最初のトーナメント戦で阪急軍の後塵を拝したからやったと思います。タイガース対阪急軍の試合は両方の社員を動員して激しい応援合戦をしたということです。
by t-kita (2023-11-11 00:22) 

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