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ベルリン1933 壁を背にして [読書全般]

 朝からあまり調子がよろしくない。残暑が厳しすぎ。週の真ん中の水曜日はただでさえ睡魔に襲われたりしやすいのに、こういう日に限って授業がフルにつまっている。その上校長の授業見学なんてものまで予定に入っていて、同じ中身でも他のクラスより数段できの悪くなった授業を見せるはめに。
 定時に退散。
 帰宅して追っかけ再生でプロ野球中継を見る。まるで東京ドームのジャイアンツのように甲子園でタイガースの打線がホームランを打ちまくってるのを見ると、妙な気分になります。いやいやもっと素直に喜べよ。なんとか明日も勝っていただいて、疲れを吹き飛ばしてもらいたいものです。
 クラウス・コルドン/酒寄進一・訳「ベルリン1933 壁を背にして 上・下」(岩波少年文庫)読了。「ベルリン1919 赤い水兵」に続くベルリン三部作の第二部。前作で幼かったハンスぼうやが成長し、工場で働き始めるところから物語は始まる。ベルサイユ条約の後遺症でドイツは疲弊し、与党の社会民主党と野党のドイツ共産党は激しく対立している。大人の入口に入りかけたハンスもその対立や、対立につけこんで台頭してくるナチ党の激しい権力争いにいやおうもなく巻きこまれてしまう。特にナチスに加入した者たちは権力を笠にきてハンスを半殺しの目にあわせたりもする。ハンスが恋した少女はユダヤ人。ナチスの台頭でいずれは彼女の身の上にも恐ろしいことが起こるのだろうけれど、本書ではそこまでは書かれていない。多感な思春期の少年の目に映る大人たちの醜い姿が、ヒトラーが首相に指名された年に起こった様々な出来事が、どれだけ彼を傷つけていったかが描かれるのみである。そして、本作では第一部で主人公の少年だったハンスの兄ヘレの娘の誕生も描かれる。訳者あとがきによると、第三部はまだ本作では生まれたばかりの赤ちゃんが成長して、ドイツの敗戦を見届ける物語になるという。本書は創作であるけれど、描かれているのはおそらく事実をもとにしたことだろうし、人は自分が優位に立つためにはどんなにひどいことでもできるということをその中ではっきりと示す。読んでいて辛く苦しい展開なのだが、ハンスの何事にもへこたれない姿勢や、恋人ミーツェとの逆境の中での交流など、読んでいて彼らを応援せずにはいられない力がある。第三部でヘレやハンスたちがどのような姿で登場するのかも楽しみの一つである。最終的な感想は第三部読了後に書きましょう。

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