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文明交錯 [SF]

 今日から2月。今日は定休日。昨日同様に倦怠感。それでもちゃんと朝は起きて午前中は録画した番組をしっかりと見ているんやからなあ。ただ、内容が頭の中に入っているか素通りしているか。もう限界が来たので、昼前に少し寝て、昼食をとってからまた午睡。
 目覚めれば外はもう暗い。スマホをいじったりしてから少し読書。夕食後、続きを読んでしまう。半日寝たら少しはましになったものの、倦怠感は続く。鼻の具合も今ひとつ。明日は外に出られるようやったら耳鼻科にでも行くか。
 ローラン・ビネ/橘明美・訳「文明交錯」(東京創元社)読了。若い頃は書評の仕事として毎月嫌になるほど歴史改変小説(特に架空戦記)を読んでいた。実際嫌になった。一部の作家を除いて、ほとんどが歴史を改変して遊んでいるだけで、それが例えば何か大きなテーマを持っているとか、そういうのはなかった。本書は久々に歴史改変小説を読んでみたくなって手に取ったものなんやけれど、文明批評、あるいは人間そのものへの批評と、壮大な遊び心にあふれた逸品。インカ帝国がスペインを征服し、インカとアステカの王がヨーロッパを舞台に戦うたりする。なんでそんな歴史が改変されたか、第一部ではその遠因となった出来事が描かれ、第二部では遠征が失敗したコロンブスの航海日誌の断片が公開され、そして第三部ではインカ皇帝のアタワルパが兄との抗争に敗れてスペインにたどり着き、そこでスペインを征服し、ヨーロッパに勢力を築き、やはりヨーロッパに攻めてきたアステカと闘い命を落とすまでの年代記が綴られる。第四部ではセルバンテスを主人公にし、その後のヨーロッパの様子を活写する。綿密に練られた設定といい、史実の裏返し方といい、全体の構成といい、歴史改変小説としては文句のつけようがない。歴史改変小説、というより、「偽志」という感じの凝った作り。いや、参りました。書評を書いていた時に本書に出会うていたら、もうベタ褒めに褒めまくっていたんやないか。
 文庫化を待ってられずにハードカバーで読んだだけのことはあった。文庫化された時にはぜひお読みいただきたい。むろん今すぐ読んでいただいた方がええんですけれど、ハードカバーの本はそれが薦めた相手の好みと合わなんだ時に生じるリスクが大きく、全ての方に今読めすぐ読めとは書きにくいのです。

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