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ブルックナー譚 [読書全般]

 今日はみどりの日。朝は早く目覚め、昨夜録画した番組やずっと以前に録画してみてなんだ番組を見る。早起きし過ぎたせいか眠くなり、昼食後、リビングでうとうと。体に良くないので寝床に移って午睡。夕刻目覚め、スマホをいじったりしたあと、しばらく読書。読了後、追っかけ再生でナイター中継を見る。今日はBS日テレ。昨日みたいな祭りではなく、厳しい投手戦。延長戦となり、サヨナラ負け。ビジターやとやっぱり延長戦は不利になるわな。
 試合終了後も、しばらく読書。
 高原英理「ブルックナー譚」(中央公論新社)。生誕200年を迎えたブルックナーの伝記。とはいえ音楽評論家の手になるものではなく作家の手になるものなので、ただの伝記ではない。伝記の部分と交互にその時の情景を小説の一場面として描きだし、ブルックナーという作家の姿を生き生きと描き出す。
 ブルックナーは近年とみに録音や演奏が増えた。一時はマーラーの人気が高く、どんな指揮者もマーラーを手がけるようになったけれど、バースタインだけはマーラーに近い第9番だけしか録音してへんというような感じでどの指揮者も必須という感じやなかった。しかし、昨今はマーラーの録音はなくてもブルックナーは全曲録音しているなんて指揮者もいてるくらい。私は今ひとつブルックナーの交響曲にはピンとこない点があり、最近はよく聴くようになったけれど、それでも第5番と第9番くらいしかすごいなあと思われん。ただ、ブルックナーが一般受けしないからというので弟子たちに勧められて改訂を繰り返し、同じ曲でもいろいろと版があり、どのスコアを使うか指揮者の好みがあるとか、どのスコアを使うているかとか、お好きな方はかなり細かいところまで気になるようです。私はそこまで思い入れがない。なんでそんなに改訂しているか。とにかくブルックナーという人物は階級を気にしたり、自分の作品がどう評価されるか気になる人やったらしい。音楽は壮大かつ茫洋とつかみどころのない他の作曲家にはとても書けんようなものなのに、人間としてはリンツの田舎者でウィーンではかなり苦労した。ワーグナーとか偉い人のお墨付きがないと安心できなかったり、敵対する批評家の書く悪評が気になったり、およそ芸術家らしくない野暮天やったりするのですね。著者は、ブルックナーは音楽を先取りし過ぎて、誰にもその真価を理解してもらえなんだ人物として描く。そして、自分のやりたいことをしている時だけ天才となるコミュ障を、現代の「おたく」と結びつけたりする。異論がないではないけれど、私もどちらかというと承認欲求が強い方なんで、ブルックナーの気持ち、なんとなくわかるんやなあ。クラシックファンの方にはお薦めしたい。ブルックナーの交響曲の聴こえ方がけっこう変わってくる伝記なのです。

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