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熊倉一雄の死 [追悼]

 ここのところエラリィ・クィーンの新訳版ミステリをたてつづけに読んでいる。「中途の家」(角川文庫)、「災厄の街」(ハヤカワミステリ文庫)。私は熱狂的なミステリファンやないけれど、昔からクィーンは好きなので、こうやって新訳版で読み直せるのはありがたいことです。あと、手元には新訳版の「九尾の猫」(ハヤカワミステリ文庫)がある。これは初読なのでもう少し間を置いて読もうと思うております。
 夜、ネットのニュースサイトで俳優の熊倉一雄さんの訃報に接する。享年88。死因は直腸癌。
 一度聞いたら忘れられないあの独特の声と口調。ものごころつくかつかないかのころの「ひょっこりひょうたん島」のトラヒゲ。小学生時代に楽しんだ「ネコジャラ市の11人」のガンバルニャン。どちらも藤村有弘さんとの掛け合いが実に絶妙で楽しかった。
 テレビまんが(アニメなんて言葉はなかった時代です)の主題歌ではもちろん「ゲゲゲの鬼太郎」。滝口順平さんや吉幾三さんのバージョンもあるけれど、不気味さとユーモラスな感じが表裏一体になっているという点で、やはり熊倉さんの歌が一番ではないか。「さるとびエッちゃん」のエンディング「エッちゃんが好きや」もよかったなあ。関西弁の犬であるブクのキャラクターソングで、イントネーションは少しおかしかったけれど(本編のブクの吹き替えは関西ネイティブの永井一郎さんなので違和感全くなし)、そんなことは気にならなんだ。歌で演技をしてはったんやね。
 顔出しも多かった。「巨泉前武 ゲバゲバ90分」にもレギュラーで出てはった。人形劇の声と実物との間にイメージのギャップがなかったと、子ども心に思うていました。
 舞台の演出もしてはるとか、そういうのを知ったのはもっと後。昔の声優さんは、まず俳優としての本業があって、仕事の一環として声の芝居があったのですね。熊倉さんの場合、特にその声の特徴が抜きんでていたから、声優としての仕事も多かったんやろうね。
 最近では朝の5分番組「Eテレ0655」で「吾輩は亀」の歌を歌ってはったけれど、それが昔と変わらぬ感じやったんで、まだまだお元気でやってはるんやなあと思うていた。でも、米寿やったんやね。
 テレビっ子やった(今はテレビおっさんの)私にとって、長く親しんできた声がまたひとつ、消えた。NHKもまだお元気なうちに「ひょっこりひょうたん島」のリメイクをしておいてくれてよかったですよ。
 謹んで哀悼の意を表します。

 10月18日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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