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人魚ノ肉 [読書全般]

 今日は日帰り帰省。昼食後に家を出て、昼過ぎに実家に。正月以来の帰省という不孝者です。まあ、3月末はいろいろと多忙で帰省する暇はなく、5月の連休は片づけものを最優先にしていたから、こちらにはこちらの事情があるわけですが。
 父は外出中で、母に持っていった洋菓子の詰め合わせを食べてもらいながらゆったりとした時間を過ごす。父が帰宅後もゆっくり過ごし、父の車で阪急の駅まで送ってもらう。さすがに両親とも認知力が落ちていて、なにかあったらすぐに実家に帰れるように、転勤をかなり本気で希望していかんならんと感じた次第。お山の学校から実家に帰ろうと思うたら、ほんまに交通手段が限られてしまうのです。
 帰宅後、夕食をとりながらプロ野球中継を追っかけ再生で見る。メッセンジャーの粘りの投球などで快勝。いや、横浜スタジアムではほんまに負ける気せんね。
 木下昌輝「人魚ノ肉」(文春文庫)読了。「宇喜多の捨て嫁」で多面的に対象を描く手腕を発揮した作者が、本書でも幕末を舞台に様々な人物の視点から物語を綴っていく。本書のポイントはタイトルになっている「人魚ノ肉」。人魚の肉を食らえば妖となり、血を飲めば不死となる。若き日の岡田以蔵、坂本龍馬、中岡慎太郎、そして新撰組の幹部たちが人魚の肉を食い、それぞれの形で妖となる。史実の真相は人魚の肉によって生じたものやったというのがこの作品のキモ。本書の伝奇妖異小説としてのおもしろさは、奇想天外な発想というだけやなく、そこにうまく史実を当てはめているというところにある。「宇喜多の捨て嫁」同様鬼気迫る筆致で読ませる。山田風太郎賞候補になったというのも当然でしょう。史実と違うとかいうて怒りだす方には薦めませんが、伝奇小説ファンにはお薦めであります。

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