SSブログ

明治開化 安吾捕物帖 [読書全般]

 朝から少しだるく、録画した深夜アニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」を見ながら朝食をとったあと、少し寝る。これで割とすっきりしたんで、昼前に出かける。
 今日は実家にいとこと娘さん、お孫さんが遊びにくるというので、またも日帰り帰省をすることにしたのです。もう10年以上会うてへんのと違うかなあ。特に娘さんたちとはほんまに久しぶり。なにしろお孫さんが小学生ですからね。たぶん初対面。というわけで大人たちは昔話に花を咲かせていたんやけれど、お孫さんにしたら退屈やったやろうなあ。初めて行くおうちで初めて会うおっちゃんやおばちゃんに囲まれて親の子どもの頃の話を聞かされても、ねえ。妹が買うてきてくれたケーキはしっかり食べてましたけれど。お膳の上のモナカには手を出してなんだな。ミルクボーイの漫才を思い出したぞ。
 父もしんどいところを見せんように気張ってたので、いとこたちが帰ってから少し間を置いて私もまた帰宅。往路の特急では座れたけれど、復路はずっと立ちっ放しでした。ああ疲れた。帰宅して、アニメを見てから夕食。おせちもいいけどカレーもね。うーむ、このネタがわかる人は私と同年代かそれ以上の人だけか。
 坂口安吾「明治開化 安吾捕物帖」(角川文庫)読了。「不連続殺人事件」などミステリもかく作者による連作ミステリ。明治初期を舞台に紳士探偵・結城新十郎が不可解な事件の謎を解く。その謎を勝海舟のもとに剣術使いの泉虎之介が謎を持ちこんで海舟先生の名推理が披露されるんやけれど、惜しいところで真相にたどり着かず、新十郎がみごとに解決するという構成。この海舟先生の推理の微妙な外し具合が見事。全く的外れでも面白くないし、ズバリ謎解きをしてしまうと名探偵の出番がなくなる。事件は華族や士族のからむものあり、貧民のからむものありと、新時代になって混乱した状況の中での人間関係が原因になるものばかり。トリックそのものはたいしたことがなくても、なんでそんな事件が起こったかに焦点を当てているから、非常に興味深い。書かれたのは終戦直後。解説の尾崎秀樹さんは戦後の世相を明治初期に照らし合わせているとしている。同時代を生きた尾崎氏やからこそそこらあたりの機微がわかるんやろうけれど、高度経済成長期に産まれた私にはそういう読み方はできず、純粋に短編ミステリを読むという感じで楽しめた。一族の持病が原因で事件が起きるという「万引一家」や、真珠の密漁にからんで殺人が起こる「血を見る真珠」などが特に面白かった。非ミステリ作品である「桜の森の満開の下」に通じる、人がどこまで残酷になれるかを追求したものやからかもしれんね。本書はシリーズ前半のものだけを集めてあり、残りは「続 明治開化 安吾捕物帖」のタイトルでまとめられているので、続けて読むことにしよう。海舟先生の推理ミスは安楽椅子探偵の限界をミステリファンやった作者が示したものと見たけれど、そこらあたりはどうなんやろうかなあ。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。