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バイオリン狂騒曲 [読書全般]

 本日も出勤日。ただし、昨日授業の交換をした関係で授業はなし。それでも先の授業の準備はしておかんとあかん。教材もストックしておかんとあかんしね。
 ほか、今週は土曜に出勤日があるので、そちらにからんでもやらねばならん仕事があり、体はそれほど使うてへんけれど、頭が疲れた。
 定時に退出。帰路、日刊スポーツとサンケイスポーツのタイガース日本一特集号を購入。あとはベースボールマガジン社から出るのを待つくらいか。とはいえ、各社新書で「岡田阪神優勝の秘密」みたいなタイトルの便乗本が暮れにかけてどんどん出るんやないかとにらんでいる。全部買うて読んでもたいてい同じような内容なんやないかと思うので、内容を精選して買うかどうか決めることになるやろうな。
 帰宅後、どぶさりつつ社説のダウンロードなどをしていたら、ついうとうと。遅めの夕食をとり、少し読書など。
 ブレンダン・スロウカム/東野さやか・訳「バイオリン狂騒曲」(集英社文庫)読了。若い黒人バイオリニスト、レイの持っていた名器ストラディバリウスが盗難された。チャイコフスキーコンクールに挑戦することが決まっている。バイオリンの行方が気にかかる上に、代替のバイオリンを慣らす時間も必要とあって、レイは苦しむ。心の支えはビオラ奏者の恋人ニコルと恩師のジャニス。物語は事件の発端を描いた後、レイが貧しい黒人家庭に生まれ、理解のない母親に邪魔されながらも音楽の道に進んでいく経緯を描いていく。そして彼のストラディバリウスが数奇な運命をたどりながら祖母の家の屋根裏部屋に埋もれていた物語、ストラディバリウスの所有権をめぐり、奴隷だった祖先の主人の子孫や、身内が訴訟を起こそうとするなど、レイとバイオリンをめぐるさまざまな狂騒が次々と描かれる。むろん、いわれなき黒人差別の描写も生々しく描かれる。盗まれたストラディバリウスの行方は、そしてチャイコフスキーコンクールの結果は……。途中でページを閉じるのがもったいないくらいスリリングで面白い。特に作者も実は黒人のクラシック奏者で、作中でレイが受けた差別は自分の体験をそのまま描いているということに辛いものを感じたりする。音楽家としての才だけではなく文才にもたけているとは羨ましい限り。主人公の才能を信じた祖母や、彼を見出し音楽大学まで導いた恩師などの彼への愛情には心を打たれること間違いなし。クラシック音楽に詳しくなくてもきっと面白く読めるはず。くわしければより楽しめる。お薦めの一冊です。

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