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「砂の器」の面白さ [読書全般]

 今日は「たちよみの会」の例会。常連のMさんが郷里に帰ったので、もしかしたら今日は他には誰も来ないんと違うかと思いつつ家を出る。予想は大当たり。喫茶店で黙々と読書。まあ、ここのところ集中して本を読むなんてでけてへんかったから、それはそれでええんやけれどね。ドイル「バスカヴィル家の犬」を角川文庫版新訳で再読。松本清張「砂の器」も一気に読了。実は「砂の器」は映画で大昔に見ただけで原作をちゃんと読むのは初めて。
 偉く印象が違うなあ。被害者の身元もわからなんだ殺人事件から始まる連続殺人事件を、とにかく足で稼ぐ老練な刑事がわずかな手掛かりに食らいついてついに犯人を逮捕する、という話。
 うーむ、社会派ミステリなんて言われてたんか、これ。そうやないよね。昭和30年代に、まだまだ残っていた地域コミュニティとそこから切り離されたい都市住人の若い芸術家たちの相克とも読めるし、古い文化を破壊するという世間の評価を受けた若者たちが、実は世間の目を気にする俗人であった、というような話とも読めるし、ひとつの事件に賭ける叩き上げの刑事の執念を描いた小説とも読めるし。
 それでも、特に上巻は殺人ひとつだけでぐいぐいと読み手を引きつける力強さが感じられ、面白かった。トリックで勝負するミステリ作家やないので、謎解きなどの部分に不満はあるけれど、「なぜただただ善良なだけの老人が殺害されなければならなかったか」という殺人動機をとことん掘り下げるという点を楽しむミステリでありましょう。
 まあ個人的にはトリッキィなミステリの方が好きなので、ここから清張作品を次々読みたいということにはならんけれど。松本清張は歴史短編集の方が私には面白く読めたなあ。
 帰宅して相撲を見る。栃ノ心が豊ノ島のうまさにしてやられた。昨日あれだけほめたのがいかんかったかなあ。

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