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安野光雅の死 [追悼]

 今週で3年生の授業がすべて終わる。私は週12コマのうち3年生の授業を8コマ担当しているので、来週からは1年生4コマに減る。試験監督が入ったりするからまるまるなくなるというわけにはいかんけれど、月曜日なんか2時間目から6時間目まで連続5コマというハードなスケジュールやったから、1コマくらい試験監督が入ってても楽なものです。これで成績を出さんでええんやったらもっと気楽なんですが。とにかくがんばりましょう。
 というわけで、5コマ終了後、放課後は会議。帰宅した時にはへろへろ。だらだらと録画した相撲中継を見る。大栄翔が宝富士の引き技で地に這う。正代が2敗を守り、3敗で朝乃山らが追うという展開。さて、正代が優勝するという私の予想は当たるか。
 少し書くのが遅れたけれど、画家で絵本作家の安野光雅さんの訃報 に接する。享年94。死因は肝硬変。
 私が幼稚園に通うていたころやから、もう55年近くも前のことになる。「さかさま」というタイトルの不思議な絵本に魅了された。他の子が外で遊んでいる時も、私は毎日のようにその絵本を見ていたんやからね。そして他の部屋の本立てに「ふしぎなえ」というこれまたタイトル通りの不思議な絵本を見つけた。「あんの みつまさ」という作者の名はこの時点でもう幼い私の脳に刻みこまれたのでありました。
 エッシャーのだまし絵を初めて見た時、安野さんの方がスマートでロジカルであることに気がついたのはいつのことやったやろうか。気がつけば、不思議な絵の絵本作家は独特の画風で本の装丁や挿絵なども描く人気画家になっていた。
 でも、私は安野さんの本領はやはり絵本にあると思う。「旅の絵本」のシリーズを見たら、それがようわかる。いろいろな土地の風景が描かれているんやけれど、主人公の旅人がいつもどこかにまぎれこんでいる。その巧妙な仕掛けは、私が幼い日に出会うた「さかさま」を思い出させる。
 ちくま文庫のカバーのフォーマットは安野さんの手になるものなんやけれど、その色使いなど、確かに安野さんのものやとわかる。和田誠さんの装丁がそうやったように。
 気がつけば、幼稚園の男の子は還暦を目前としたおっさんになっていて、それでも安野さんの絵は目の届くどこかにいつもあったように思う。
 きっと、ちくま文庫の文庫手帳は今後も安野さんの絵で飾られるんやろうなあ。手帳なんか使わん私がついつい買うてしまうていた、あの魅力的な装丁のままに。
 謹んで哀悼の意を表します。

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